『ノアの方舟~聖夜の大停電は殺人招待状!』は2009年1月1日に放送された、相棒season7の第10話元日スペシャルです。前話で特命係を去った亀山薫の穴を埋めるかのように、法務省から派遣された姉川聖子との一時的なコンビが形成されます。ストーリーは、クリスマスイブに発生した大規模停電を皮切りに、エコテロリスト集団「ジャッカロープ」の犯行声明、そして豪華客船を舞台にした連続事件へと展開していくスケールの大きな内容となっています。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
クリスマスイブの夜、首都圏の送電線が爆破され、港区と千代田区全域が大規模な停電に見舞われる。犯行声明を出したのは、環境保護を掲げる「ジャッカロープ」…以前にも羽田空港で爆破事件を起こしたテロ集団だった。小野田官房長に呼び出された杉下右京は、行方不明となっている現職法務大臣の息子、瀬田和哉の捜索を秘密裏に依頼される。和哉はテロ事件への関与が疑われており、右京は法務省から出向してきた官房長補佐官の姉川聖子と一時的にコンビを組み、和哉の行方とテロ事件の真相を追うことになる。

登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。 - 姉川聖子(田畑智子)
法務省官房長補佐官。人事交流という形で警視庁に出向し、右京と一時的にコンビを組む。捜査経験はないが、正義感が強く行動力がある。 - 瀬田宗明(渡哲也)
現職の法務大臣。行方不明となった息子の和哉がテロに関与している疑いがあり、右京に捜索を依頼する。 - 瀬田和哉(渡邉邦門)
瀬田宗明の息子。帝都大学の准教授。 - 野上昶(中本賢)
フリーライター。 - 遠藤室人(三浦浩一)
環境問題に力を入れている企業「菱河コーポレーション」の重役。 - 山本平蔵(浜田晃)
菱河コーポレーション社長。 - 根津秀雄(野仲イサオ)
帝都大学の非常勤講師。 - 小野田公顕(岸部一徳)
警察庁官房室長。右京に秘密裏の捜査を依頼。 - 伊丹憲一(川原和久)
警視庁捜査一課の刑事。 - 三浦信輔(大谷亮介)
警視庁捜査一課の刑事。 - 芹沢慶二(山中崇史)
警視庁捜査一課の刑事。 - 角田六郎(山西惇)
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課長。 - 宮部たまき(益戸育江)
小料理屋「花の里」の女将。 - 米沢守(六角精児)
警視庁鑑識課員。右京の捜査に協力する。
ネタバレ
非常勤講師の根津や遠藤がテロに関与していたことが判明し、根津は裏切りを疑った遠藤によって、船上で殺害されてしまいます。そんな中、事件の黒幕が判明します。真犯人はフリーライターの野上でした。野上は、30年前に彼の故郷で起きた菱河石油化学工場による水質汚染と、それに伴う住民の病死、そして、その隠蔽工作に対する復讐を計画していました。野上の両親もその病で亡くなり、半年前に妹までもが同じ病で命を落としたことで、彼の復讐心は頂点に達しました。野上は、当時の工場長であった遠藤室人、さらには30年前の裁判で弁護を途中で降りた法務大臣・瀬田宗明への復讐を目論んでいました。瀬田大臣の息子である瀬田和哉をエコテロリストに仕立て上げることで、瀬田大臣を失脚させようと画策。和哉を拉致監禁し、彼の腕時計を爆破現場に残すなど、巧妙に偽装工作を行いました。また、ジャッカロープの活動を裏で操り、遠藤室人を利用して助成金詐欺を働かせ、その罪を白日の下に晒そうとしました。最終的に、豪華客船「ロイヤルウィング号」でのパーティーを舞台に、遠藤に過去の罪を告白させ、自らも爆弾で自爆することを計画していました。
結末
杉下右京は、野上が仕掛けた数々の偽装工作や、メモに残された暗号を解読。野上が根津を呼び出した真の狙いと、遠藤への復讐計画を暴き、船上で爆弾を巻きつけた野上を姉川聖子との連携プレーで確保します。
事件解決後、瀬田和哉の無実が証明され、瀬田法務大臣は辞任を免れることになります。しかし、瀬田は野上との面会で、30年前の裁判で弁護士として最後まで戦い抜くことができなかった自らの不甲斐なさを謝罪し、大臣の職を辞任して「人々の小さな声なき声に耳を傾ける」仕事に戻ることを決意します。姉川聖子も、右京との捜査を通じて成長し、法務省に残り、自分の足で歩み続けることを選びます。
感想と考察
亀山薫の卒業直後という大きな節目で放送された元日スペシャルです。亀山薫が去り、右京一人体制となった特命係がどのように機能していくのかという期待や、特命係に寂しさを感じる中、テロ集団が登場し、そのスケールの大きさはもちろん、ストーリーテリングも魅力的です。田畑智子さん演じる姉川聖子の一時的な「相棒」としての登場は「女性相棒」の魅力を感じさせました。当初は捜査経験のなさから右京との息が合わない場面も見られましたが、持ち前の行動力と正義感で右京をサポートしています。渡哲也さん演じる瀬田法務大臣の重厚な存在感は、元日スペシャルにふさわしい豪華さを添えました。大物俳優さんの登場は、ほんとうに、特別な回らしさを演出しますね。今回の事件で根底にあったのは、30年前の公害問題です。公害や地球温暖化など、その背景は変化しているかもしれませんが、環境問題という現代的なテーマと絡み合い、テロ事件としてだけでなく、社会的なメッセージ性も強く打ち出されています。
余談
- 初回放送日は2009年1月1日です。この時の視聴率は17.4%を記録しています。
- 亀山薫が去った後、右京は一時的に単独で事件に立ち向かいますが、最終的にはシーズン7の最終話で神戸尊が新たな相棒として登場するまで、相棒不在の状況が続くことになります。神戸が登場する相棒シーズン7第19話(最終話)『特命』はこちらにまとめています。
- 「北新宿駅」は架空の駅です。ロケ地には東葉高速鉄道北習志野駅が使われています。
- 物語の舞台となったのは豪華客船「ロイヤルウイング号」でした。横浜港から実際に就航しているクルーズ船も「ロイヤルウイング号」です。
作中の名言
- 「あなたの行った行為は決して許されるものではありません。しかし、それ以上に許されないのは罪を償うこともせず、命を絶って…自らを終わらせようとすることです」(杉下右京)
爆弾を巻きつけて自爆しようとした野上に対し、命の尊さと罪を償うことの重要性を説いた言葉。 - 「上にいて、待ってるだけでは駄目なんです。そばへ行ってこの手で探し出さないと、見つけることはできません」(瀬田宗明)
法務大臣を辞任し、人々の声に耳を傾ける仕事に戻ることを決意した際に、右京に語った言葉。

