古畑任三郎ファイナル3・最終話「ラストダンス」のあらすじとトリック解説です。古畑任三郎シリーズの最終話です。このエピソードでは双子の姉妹である大野もみじと大野かえで(松嶋菜々子さんが二人一役)が犯人です。

あらすじ
人気脚本家・加賀美京子として活動する双子の姉・大野もみじ(松嶋菜々子)と妹・大野かえで(松嶋菜々子)。二人は華やかで社交的なかえでが表舞台に立ち、内向的で地味なもみじが裏方として脚本を執筆していました。ある日、もみじ(地味な方)はかえで(派手な方)をピストルで殺害。もみじが自殺したように偽装し、注目を浴びるかえでに成りすまして、生活を送ろうとします。
当初、もみじの自殺であると考えられていましたが、古畑は自殺に疑いを持ち、もみじのなりすましにも気付き始めます。
登場人物(キャスト)
主な登場人物をまとめます。もみじとかえでは加賀美京子というペンネームで脚本家として活躍しています。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
大野もみじ (加賀美京子) |
松嶋菜々子 | 犯人 脚本家 |
大野かえで (加賀美京子) |
松嶋菜々子 | 被害者 脚本家 |
杉浦 | 松金よね子 | 事件関係者 秘書 |
犯人
大野もみじ(おおの・もみじ):脚本家。双子の姉。妹はかえで。内向的で妹とは対照的な性格。犯人はもみじに違いないが、双子の入れ替わりトリックが仕掛けられている。もみじは自分自身が自殺したようにみせた上で妹のかえでを殺し、かえでに成りすまそうとしているので、話はいろいろとややこしい。
もみじが自殺したから始まり、他殺を示唆する証拠がいろいろとでてきて、かえでがもみじを自殺にみせかけて殺したと考えられる。ところが、かえでは時間的に犯行が不可能だった。やっぱり、もみじの自殺に違いないということで振り出しに戻る…と思ったら、死んだのはもみじではなく、かえでだった。
犯人だと考えられていた人物は確かに犯人だった。しかし、双子ということで見た目は同じだけど、中身は違っていたという。そんなわけで、倒叙形式ではあるけれども、実はちょっと違うというトリックだった。
最初のセリフ
これまで、何人の殺人犯を逮捕したことでしょうか。中には女性の犯人もいました。その誰もが美しく、そして、誰もが、悲しみを秘めていました。最後の犯人は、その中でも特に美しく、そして、特に、悲しい女性
最後の犯人はとても美しいですが、悲しい女性です。自分を殺し、双子の妹になりすまそうとして……
トリック解説
犯人は自分の自殺を偽装し、さらにアリバイを作ります。
自殺偽装
もみじ(地味な方)とかえでは一卵性の双子です。もみじは自殺の準備をし、かえでと入れ替わってかえでを殺害。かえではもみじに扮装しており、しかも双子なのでもみじが自殺したようにみえます(一卵性双生児はDNAも同じため、違いを見分けるのは難しいとされています。しかし、絶対に不可能ということもないようです)。
- 遺書
予め遺書を残しておきます。もみじが書いた遺書なので、筆跡は当然もみじになります - 時間トリック
今泉と西園寺が検証していたトリックです。かえでは正面玄関を開けることができないため、犯行は不可能と考えられていました。かえでに犯行が不可能ならば、もみじは自殺となります。しかし、実際、かえでではなくもみじだったので、正面玄関の静脈認証セキュリティなどをパスすることができました
犯人のミス
完全犯罪を企てる犯人はミスを犯します。このミスがきっかけとなって古畑は真相へとたどり着くことになります。なお、視聴者にとっては伏線のような役割を果たします。
最大のミスは、かえでになり切れなかったことです。双子なので顔や体型はそっくりですが、内面までは完璧になりすますことができませんでした。古畑がもみじのなりすましを疑う根拠となった事実は下記の通りです。
- 旧式の古いインターフォン
かえでになりすましたもみじは、仕事部屋の古いインターフォンを使いこなします。かえでは、部屋をほとんど訪れなかったため、インターフォンを使えるはずがありませんでした - 黄色いジャケット
もみじは入れ替わり後、古畑に会います。その時、黄色いジャケットに一切反応しませんでした - グラスの口紅
本物のかえでは、グラスについた口紅をそっと拭き取るようにしていました。しかし、もみじにはそういった仕草が身についていませんでした - タクシー
もみじは、車を運転できないため、タクシーで移動していました。かえでであれば、自分の車を使うはずです - 「先生」
古畑はわざとかえでを「先生」と呼んでいます。本来かえでが嫌うはずの呼び方ですが、かえでになりすましたもみじは反応しませんでした - 水槽
もみじの部屋にあった水槽は大型にも関わらず、魚が少なくなっていました。この水槽は、もみじが妹に内緒で自身の変化を確かめるための鏡として使っていました
自殺か他殺かについては、現場に落ちていたピエロの人形が状況証拠になっています。古畑は、人形が銃声1回では落ちない位置にあり、もう一度、大きな音(爆竹の音)がしたはずだと推理しています。
感想
死んだのは妹の方だった、というどんでん返しのあるエピソードでした。犯罪を犯していない人間とはうまく話せないという古畑のキャラクターが面白いです。
古畑任三郎シリーズの最終話ということで、40話という切りのよい数字になっている気がします(前後編の作品を1つとカウントしているため、正確には40エピソードです)。
双子が登場するエピソードは多々ありますが、このブログの記事としては、刑事コロンボ「二つの顔」やガリレオ「念波る(おくる)」などが御座います。
ラストシーンで古畑は「ずいぶん昔になりますが、あなたによく似た女性と会ったことがあります」と語り、シー ズン1第1話の犯人である漫画家・小石川ちなみ(中森明菜)の事件に触れています。ちなみは逮捕後、アメリカに渡り幸せに暮らしているとのことでした。なお、ちなみを無罪にしたのは小清水弁護士(明石家さんま)でした。
この記事のまとめ
古畑任三郎FINAL『ラスト・ダンス』について、あらすじやトリックをご紹介しました。古畑シリーズ最終話ですが、このあと『古畑中学生』というスピンアウト作品が放送されています。
項目 | 内容 |
---|---|
殺人の計画性 | あり |
偽装工作 | 自殺を偽装 |
ミス | 黄色いジャケット |
動機 | 姉への嫉妬 |
凶器 | 拳銃 |
トリック | 双子の入れ替わり |
古畑の罠 | 鎌をかける |
項目 | 内容 |
---|---|
脚本 | 三谷幸喜 |
監督 | 関口静夫 栁川由紀 |
演出 | 河野圭太 |
長さ | 100分 |
放送 | 2006年 1月5日(木) |
視聴率 | 29.6% |
2021年5月21日再放送でも視聴率は13.4%(関東地区)となっています。