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古畑任三郎vs中森明菜|死者からの伝言【あらすじ・ネタバレ解説・1話】

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謎めいたダイイング・メッセージ

古畑任三郎S1E1「死者からの伝言」のあらすじとトリック解説です。少女漫画家の小石川ちなみ(中森明菜さん)が犯人です。

あらすじ

少女漫画家の小石川ちなみは恋人の畑野茂を別荘の金庫に閉じ込め、事故死にみせかけて殺害します。金庫に閉じ込められた畑野は、しばらく息があったため、小石川が犯人であることを知らせる様々なメッセージを残します。

ちなみが第一発見者のふりをして警察に連絡したちょうどそのとき、大雨とガス欠で立往生する破目になった古畑は、明かりをみつけ、ちなみの別荘を訪れます。電話を借りるだけの古畑でしたが、そこで、ちなみから金庫に死体があることを知らされます。土砂崩れの影響で警察の到着が遅れる中、古畑は金庫や被害者の持ち物を調べます。古畑は被害者が犯人の名前を残せる状況にあったのに、紙とペンを握ったまま何も書いていなかったことに疑問を持ちます。さらに不思議な事に、ちなみが閉じ込めただけの被害者には、頭部に殴られたような傷が残っていました。

犯人

小石川ちなみ(こいしかわちなみ):漫画家。28歳。編集者の畑野茂と付き合っていた。コミックと漫画を区別しており、こだわりがある。代表作は「カリマンタンの城」や「アゼルバイジャンの夜は更けて」であるが、どちらも架空の漫画である。勝手に妄想すると、「ボラボラ島の夜明け」とか「スリジャヤワルダナプラコッテの空は群青」などが思い浮かぶ。人気漫画家ということもあり、だいぶ稼いでいるようだが、自身はお金の使い方が下手だと認識している。贅沢な悩みといえる。
ちなみの漫画を読了した古畑は、その内容に感動していたが、読む前は、登場人物が同じにみえるということをうっかり指摘してしていた。どうやらちなみは、キャラの描き分けが苦手らしい。

犯行動機はプレイボーイだった畑野への復讐。畑野と出会ったことで人生を棒に振ったと感じている様子が、ドラマで描かれている。小説版には、直接的に殺害することに躊躇したため、閉じ込めという殺害方法を選んだ、という手口を選んだ理由についても記載がある。
浮気、不倫などは殺人の動機としてよく登場するのだが、当事者でないと、その動機を深く理解するのはなかなか難しい気がする(簡単に、他の男をみつけなさい、とかアドバイスしてしまいがち)。

ちなみは、古畑の犯人の中では珍しく、後日談が他のエピソードで登場する。まず「しゃべりすぎた男」で無罪になったことが語られ、その後、「動機の鑑定」では結婚、「ニューヨークでの出来事」でアメリカに定住…、とライフイベントが明かされている。古畑最終話にあたる「ラスト・ダンス」でもちなみの事が語られている。

犯行計画は、金庫に閉じ込めて事故死にみせかけるというもので、内側からは開けられない大きな金庫があれば、うまくいきそうである。やや批判めいた物言いになってしまうが、人が閉じ込められた時に助けを呼ぶことができない金庫というのは、売り物として危険な気がするので、そうそう手に入りそうにはない。貴族・華族が使っていた古いお屋敷とかであれば存在するのかもしれないが(勝手なイメージです)、屋敷を手に入れるという労力や資金を払ってまでこの殺害方法にこだわるというのは、もう趣味でしかない。
ドラマでは売れっ子漫画家が手に入れた別荘という設定になっていたが、現代風にアレンジするならば、ユーチューバーが建てた豪邸に、そういった類の隠し部屋がある、という設定などが思い付く。そもそも、金庫である必要はなく、密閉された空間であればいいのだが、やっぱり有名ユーチューバーくらいの財力がないと実現できなさそうである(有名ユーチューバーはお金持ち、というのも勝手なイメージです)。

犯人の最大のミスは、被害者のダイイング・メッセージで、作中では、いくつか登場していた。また、被害者が閉じ込められたと思しき日に、犯人が屋敷にいたらしいという状況証拠もいくつかあった。決定的な証拠というのは、刑事コロンボ「死者のメッセージ」で使われているので、そちらを参考にして頂きたい。いずれにしても、死んだ人間が犯人を告発するという結末になるので、“死人に口なし”をくつがえすような、たいへん面白いシチュエーションである。

参考

死者のメッセージ【刑事コロンボ】

登場人物(キャスト)

主な登場人物をまとめます。古畑はこのエピソードで少女漫画を読み、その魅力に気付きます。なお、中森明菜さんがキャスティングされたのは、脚本家の三谷幸喜さんがファンだったからという理由のようです。

名前キャスト説明
古畑任三郎田村正和雨で立ち往生
今泉慎太郎西村まさ彦雨の中GSへ
小石川ちなみ中森明菜少女漫画家・犯人
畑野茂池田成志編集者・被害者
万五郎ベンちなみの愛犬
※ベンはゴールデンレトリーバー

最初のセリフ

犬を飼っている人に一言。名前を呼ぶ時は「ちゃん」を付けるのは止めてください。「ちゃん」を付けると犬は「ちゃん」までが自分の名前だと思い込んで「ちゃん」を付けないと振り向かない場合があります。犬には……、

暗転のセリフ

今回のテーマはダイイング・メッセージ。やはり被害者はこの中に犯人を示すメッセージを残していました。自分を殺したのが「小石川ちなみ」である事を示す十分すぎるほどの手がかりが、この中にあったんです。この謎が解けた時、同時にもう1つの謎も解決するはずです。すなわち、被害者を殴った人物は誰か?ヒントとなったのはこれです。古畑任三郎でした……。

トリック解説

小石川は恋人だった畑野を金庫に閉じ込めて殺害し、犯行を事故死にみせようとしました。
なんらかの拍子に扉がしまってしまう事故が過去にあったことを話し、さらに、被害者とは恋人ではなく仕事上の付き合いであること、そして、最後に別荘を訪れたのは1ヶ月前だったことなどの嘘をついています。

実際、犯人と被害者は3日前に会っており、このとき、犯人は犯行に及んでいます。

犯人のミス

事故死に偽装した犯人ですが、様々な矛盾が生じます。古畑はこれらの矛盾点に気付き、犯人の偽装工作を見抜きます。

ちぐはぐな証拠

辻褄の合わない言動や証言です。

犯人の小石川は古畑に玉子スープを作ります。1カ月ぶりに別荘を訪れたはずなのでに、家に置いてあった卵が腐っていないことを知っていました。

畑野の手帳

小石川は畑野としばらく会っていないと話しています。しかし、畑野の手帳には、3日前に小石川と会っていたことをほのめかす内容が記されていました。これは、仕事仲間であるという話とも食い違う内容です。

犯行の証拠

小石川の犯行を裏付ける証拠です。二つのダイイング・メッセージと、愛犬の悪戯が証拠となります。

ダイイング・メッセージ

畑野は閉じ込められた後、しばらく息がありました。そのため、畑野は、犯人の小石川にばれないように、ダイイングメッセージを残します。

一つ目は手に握った漫画の原稿とペンです。これは、第一発見者が犯人であるという意味でしたが、小石川は気付くことができませんでした。
二つ目のメッセージが、頭の傷です。畑野は自分で自分の頭に傷を残しています。こうすることで、他殺であることを強調しました。

スリッパ

犯行現場となった金庫には畑野のスリッパが片方だけ残されていました。もう一方のスリッパは、どうやら、事件のあった日に小石川の愛犬・万五郎が持ち去ったようです。
死体発見時に万五郎がスリッパを持ち出したとも考えられますが、金庫に犬の足跡は残っていませんでした。その日、外は大雨だったため、万五郎がスリッパを持ち出したなら、足跡が残るはずでした。

感想

コロンボも試聴していれば大体気付くことだと思いますが、このエピソードは刑事コロンボ「死者のメッセージ」と手口がよく似ています。コロンボのエピソードも犯人が金庫に被害者を閉じ込めるというエピソードとなっているわけですが、設定や結末などは異なったりします。古畑のエピソードも面白いですが、コロンボの方も面白く、コロンボシリーズの中で非常に評価の高い作品となっています。

古畑が被害者の手帳をみつけた時、ccといえばクラウディア・カルディナーレと言っていますが、この方はイタリアの女優さんでした。調べました(ググリました)。愛称はccらしく、かなりグラマーな方です。1938年生まれということなので、古畑世代ということのようです。1938年といったら、第二次世界大戦前です。ドラマ名探偵ポワロの時代設定になっている年代でもあります。

余談

スリッパを持ち去ったわんちゃんは、津川雅彦氏出演の「古い友人に会う」などにも登場し、活躍します。

ちなみの無罪について

小石川ちなみは、この事件で逮捕されますが、裁判で無罪となります。担当弁護士は第2シーズンの1話に登場する小清水潔(明石家さんま氏)です。しかしながら、どういった経緯で無罪になったのかというのは語られていません。

無罪になったということは、事故だと認められたということかもしれません。愛犬がスリッパを持ち出したというのは、確かに小石川ちなみがその場にいたことの証拠になり得ますが、殺意をもって、被害者を閉じ込めたかどうかまではわかりません。愛犬が金庫付近で遊んでいて、扉が勝手に閉まってしまったというような事故も考えられます。
閉じ込めが起きたとき、ちなみもその場にいたはずなので、なぜ探さずにその場を立ち去ったのかというのが論点になりそうですが、被害者の姿が見えなくなったけれど寅さんみたいにふらりとどこかへ行ってしまったと思い別荘を後にした、というような言い訳をしたのかもしれません。

上記の経緯は推測に過ぎませんが、小清水が凄腕の弁護士であるということを短文で言い表すエピソードとしては、かなり効果的だと思います。ちなみは、確か、古畑の前で犯行を認めるような内容を話しているので、これをも覆す弁護士というのは、凄腕というよりも、伝説的と言った方がいいかもしれません。

この記事のまとめ

古畑任三郎S1E1「死者からの伝言」について、あらすじやトリックなどをご紹介しました。

項目内容
犯行計画殺人
手口金庫に閉じ込める
動機恋人への復讐
偽装工作事故死偽装
トリック
ミス愛犬の悪戯

番組情報

項目内容
脚本三谷幸喜
監督関口静夫
演出星護
長さ46分
放送1994年
4月13日(水)
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