狂言誘拐
古畑任三郎S1E4「殺しのファックス」のあらすじとトリック解説です。推理小説家の幡随院大(笑福亭鶴瓶さん)が犯人です。

あらすじ
推理作家の幡随院大は、秘書との不倫がバレたため妻を殺害します。妻殺害を誘拐殺人に偽装するため、幡随院は予約送信されるFAXを使って、誘拐犯をでっち上げます。そして、自ら脅迫される立場となり、被害者を装います。
誘拐事件でいちおう呼ばれた古畑は幡随院の不審な行動に違和感を抱き、幡随院による狂言誘拐を疑います。そして、古畑は、予め用意したFAXの文面であるなどの証拠を幡随院に突き付けます。
古畑の追求に対して、言い逃れする幡随院でしたが、あらかじめ用意したFAXの文面と食い違う状況を古畑につくられ、完全に追い込まれます。
登場人物(キャスト)
主な登場人物をまとめます。この事件で被害者のフサ子はほとんど登場しません。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
幡随院大 | 笑福亭鶴瓶 | 推理作家 犯人 |
フサ子 | 高柳葉子 | 犯人の妻 被害者 |
蟹丸義太夫 | 峰岸徹 | 警部 誘拐を担当 |
犯人
幡随院大(ばんずいんだい):推理小説家。秘書の河村ノリ子と不倫関係にあり、それが妻にバレたため、別荘で妻を絞殺する。ファクスなどを駆使して、妻が誘拐されたようにみせた。
最初のセリフ
FAXで手紙を送る時はワープロを使わない方がいいです。FAXは原稿が手元に残ります。消しゴムで消せば1枚の原稿用紙が何回も使えます。ワープロを使わない方がいい理由は他にもあって……。
暗転のセリフ
やはり幡随院先生、あの女秘書にゾッコンで奥さんにバレて結構モメてたようです。これはですね、FAXを使った一種の狂言誘拐。推理作家らしい手の込んだ犯罪です。しかし、彼は大きなミスを犯しました。全てのヒントは今夜送られてきたこのFAXの中にあります。解決編はこの後で。古畑任三郎でした。なんか甘いものない?
トリック解説
妻は既に死んでいますが、幡随院は、妻が誘拐されたと偽ります。そして、自ら身代金を運び、犯人から支持を受ける立場となります。
誘拐殺人偽装
幡随院は、誘拐で身代金の受け渡しに失敗し、妻が殺されたようにみせます。
自動送信のFAX
誘拐犯からの指示は、幡随院があらかじめ用意し、その内容がFAXで届くように仕込みます。
犯人のミス
古畑が誘拐に疑問をもち、幡随院を疑う根拠です。
ちぐはぐな証拠
幡随院の説明のつかない行動、FAXの内容と現実の食い違いなどです。
FAXの枚数
幡随院は、誘拐犯からのFAXが何枚あるか知っているような行動をとります。
FAXの準備時間
身代金の引き渡し役となった幡随院は、身代金を運んでいる最中に、突然、勝手な行動をとります。この行動により、指定の時間に遅れたため、誘拐犯からFAXが届きます。この対応が、あまりにも早く、不自然でした。
公衆電話
幡随院がとった勝手な行動は、仕事の電話をかけるというものです。この時、携帯電話を持っているにも関わらず、わざわざ公衆電話で電話をかけています。
道路工事
工事中で横断できない幹線道路によって、FAXで指示した時間に遅れてしまいます。
公衆電話で電話をかけて遅れた時は、誘拐犯から怒りのFAXが届きました。しかし、この時、誘拐犯は遅れに全くふれませんでした。
電話で遅れる、というのは幡随院の計画通りです。しかし、幹線道路の工事で到着時間が遅れるというのは、不測の事態でした。結果、誘拐犯から届くFAXと現実に食い違いが生まれます。
黒いコートの刑事
「歩道橋の上にいる黒いコートの男は刑事」というFAXの内容を現実のものにしようとして、幡随院は強引な態度をとります。
これを不審に思った古畑は、ある罠を仕掛けます。
古畑の罠
古畑は、歩道橋の上に配置する刑事(今泉)の服装をかえます。これにより、誘拐犯のFAXと現実に、完全な食い違いが生じます。
幡随院は、黒いコートを着ているという理由で今泉を選びます。古畑は、今泉に、結婚式で着た白い衣装を着せ、歩道橋に立たせます。
感想
塩辛いものを食べて、甘いものが欲しくなり、甘いものを食べて……、という状況に陥る古畑が面白いです。
余談
誘拐偽装は刑事コロンボ「死者の身代金」、「悪の温室」などに登場します。狂言誘拐という点は一致していますが、コロンボは90分近いドラマであるということもあり、展開が異なっています。
この記事のまとめ
古畑任三郎の「殺しのファックス」について、ネタバレありであらすじをご紹介しました。
項目 | 内容 |
---|---|
犯行 | 計画殺人 |
手口 | 絞殺 |
動機 | 不倫の発覚 |
偽装工作 | 誘拐殺人に偽装 |
トリック | FAXの自動送信 |
ミス | 工事中の事故 |
罠 | 黒い服の男 |
番組情報
項目 | 内容 |
---|---|
脚本 | 三谷幸喜 |
監督 | 関口静夫 |
演出 | 星護 |
長さ | 46分 |
放送 | 1994年 5月4日(水) |