マジシャンズセレクト
古畑任三郎S2E8「魔術師の選択」のあらすじとトリック解説です。マジシャンの南大門昌男(山城新伍さん)が犯人です。

あらすじ
マジシャンの南大門昌男は、弟子の毛利サキと恋仲の倉田を自殺みせかけて毒殺します。
南大門はナジックで倉田をサクラ役にし、倉田自らジュースを選んだようにみせて、毒入りジュースを飲ませていました。
自殺に疑いをもつ古畑は南大門が倉田に毒を飲ませた方法を見破ります。そして、毒入りジュースの瓶に指紋がなかったという決定的な証拠を南大門に突き付け、南大門を自白させます。
動機は、男女の関係にあった毛利を倉田に奪われたため、南大門が嫉妬にかられ、倉田を殺害したと考えられていました。しかし、ほんとうは、毛利は南大門の娘でした。南大門は、女癖の悪い倉田から娘を守るために、犯行に及んでいました。
登場人物(キャスト)
主な登場人物をまとめます。被害者役の池田成志さんは第1話「死者からの伝言」でも被害者を演じておられました。
名前 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
南大門昌男 | 山城新伍 | 犯人 マジシャン |
倉田勝男 | 池田成志 | 被害者 マジシャン |
毛利サキ | 松たか子 | 犯人の弟子 マジシャン |
犯人
南大門昌男(なんだいもん・まさお):マジシャン。マジックの最中に弟子を自殺にみせかけて毒殺する。
仮に自殺だったとすると、弟子は大勢の目の前であえて毒をのんだということになる。「たくさんの人に見送ってもらいたかった」みたいな動機といわれればそうかもしれないが、毒を飲んで痙攣して、血とか泡とか吐いているところをみて欲しいだろうか?と思ってしまう。静かに死んでいく毒だったのか。
心情的な細かい点はさておき、被害者自身が毒入りの飲み物を選んだので自殺という理屈である。実際は選んだようにみえただけだったわけで、そのトリックは標的にグラスを配らせ、積極的にグラスを配る手伝いをしつつ、標的が手にした毒入りグラスは受け取らないというものだった。犯人がグラスを受け取らないようにしていたのか、被害者が毒入りグラスを渡さないようにしていたのかは、たぶんわからないはず。マジシャンだし。
ただ、飲み会とかでグラスなんかを回している時、引き取られないグラスがあると、ちょっと気になったりするので、被害者に気付かれないようなテクニックが必要そうである。
動機は娘を守るためだった。なんの前触れもなく「実は親子でした」なんて言われると拍子抜けしてしまうが、美女のボタン事件が伏線になっていた。
トリック解説
犯人の南大門は倉田を自殺にみせかけて殺します。
自殺偽装
自殺にみせるため、動機を捏造し、自ら毒入りのジュースを選んだようにみせます。
カード当てマジック
犯人はカード当てのマジックで倉田が飲み物を飲む機会を作ります。マジックに、その場にいる人の注意を引き付けるような演出(カードを鍵付きの箱に入れる)を加えることで、毒を入れるチャンスを作ります。
このマジックは倉田がサクラです。サクラがカードをみて、あらかじめ決められた暗号をそれとなく伝えることで、カードの絵柄がわかる仕組みです。マジックで、何かを飲むことが決まっていたため、南大門は毒を仕込む機会があることを知っていました。
マジシャンズ・セレクト
南大門は倉田にジュースを配らせます。そして、南大門自身も客に回すのを手伝います。このとき倉田が手にした毒入りジュースは受け取らないようにすることで、倉田に毒入りジュースを飲ませます。
犯人のミス
古畑が倉田の自殺を疑い、真相をつかむ手がかりです。
いつもと違う行動
南大門はマジックや殺人を実行するため、いつもとは違う行動をとります。
マジック中の話し声
南大門は、マジックの途中で邪魔されるのを嫌います。しかし、カード当てマジックの最中、倉田がジュースを飲もうと言い出したにもかかわらず、南大門は一切腹をたてませんでした。
ちぐはぐな証拠
自殺する人間がとる行動にしては、不自然な状況がいくつか見つかります。
マジックのネタ
倉田は服の袖にマジックのネタを仕込んでいました。あり得ない事ではありませんが、自殺する人間にしては不自然な行動です。
クリーニング
事件当日、倉田は着ていた服をクリーニングに出しています。これから死ぬのに、服をクリーニングに出すというのはおかしな行動です。
犯行の証拠
南大門による殺人を匂わせる、もしくは、立証する証拠です。
毛利への気遣い
倉田が死んだとき、毛利は毒入りジュースに触れようとします。この時、南大門は、大きな声で毛利を制します。これは、ジュースに毒が入っているのを知っているような言動です。
瓶ジュースの指紋
カード当てのマジックで選ばれた飲み物は、飲み口の小さい瓶ジュースでした。そのため、瓶を手に持って毒を入れなけらばならない状況となります。
瓶を手にすれば、指紋がつくはずですが、毒入りジュースには、被害者の指紋しかついていませんでした。
事件があったとき、指紋をつけず、瓶に毒を入れることができたのは、手袋をしていた南大門だけです。
感想
カード当てのトリック、指紋がついていない瓶ジュースが証拠になる、南大門と倉田が実は親子だったなど、とても面白い作品でした。
刑事コロンボ「魔術師の幻想」とタイトルが似ていますが、内容は異なります。
この記事のまとめ
古畑任三郎の魔術師の選択について、あらすじやトリックをご紹介しました。
項目 | 内容 |
---|---|
殺人の計画性 | あり |
偽装工作 | 自殺を偽装 |
ミス | ジュースの指紋 |
動機 | 娘の擁護 |
凶器 | 毒 |
トリック | 魔術師の選択 |
古畑の罠 | ― |
魔術師の選択(マジシャンズ・セレクト)というは、毒入りのジュースを自ら選んだようにみせるトリックです。
番組情報
項目 | 内容 |
---|---|
脚本 | 三谷幸喜 |
監督 | 関口静夫 |
演出 | 松田秀知 |
長さ | 46分 |
放送 | 1996年 2月28日(水) |