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古畑任三郎vs市川染五郎|若旦那の犯罪【あらすじ・ネタバレ解説・27話】

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vs.落語家

古畑任三郎S3E1「若旦那の犯罪」のあらすじとトリック解説です。
第3シーズンの第1話となるこのエピソードでは、落語家の気楽家雅楽(市川染五郎、現在は十代目松本幸四郎さん)が犯人となります。

あらすじ

落語家の気楽家雅楽(きらくや・がらく)は兄弟子の新作落語を自分のものにするため、兄弟子の殺害を計画します。まず雅楽は、真打に選ばれなかったから兄弟子は自殺した、という動機を捏造するため、殺人の前に事務所へと盗みに入ります。この時、稽古を受けていたというアリバイを作るため、兄弟子に替え玉を依頼。その後、雅楽はナイフで、自殺にみせかけて兄弟子を殺害します。

雅楽は兄弟子殺害後、兄弟子のふりをして老人達に落語を披露し、その後、パーティーにも出席します。
このパーティーに出席中に、兄弟子が自殺したようにみせるはずでしたが、捜査のためにやって来た西園寺に「いつ死んだのか」と尋ねなかったため、古畑に真っ先に疑われることになります。

登場人物(キャスト)

主な登場人物をまとめます。

名前キャスト説明
気楽家雅楽市川染五郎犯人
落語家
気楽家苦楽モロ師岡被害者
兄弟子
気楽家有楽梅野泰靖被害者
兄弟子
犯人

気楽家雅楽(きらくや・がらく):落語家。
ルックスがよく、実力もあるが、創作に関しては兄弟子の苦楽(くらく)の方が上のようである。兄弟子と上手くやれれば問題はなかったのだが、こじれてしまったらしい。性格は、雅楽にも問題がありそうだが、頑固なタイプの苦楽にも落ち度らしきもはあったような気がする。

犯人の犯罪は二つあり、一つは盗難で、もう一つは兄弟子の殺人だった。
盗難は兄弟子の自殺の動機を捏造するために行われ、これにより「兄弟子は自分が真打ではないことに気付き自殺した」という筋書きが作られた。わざわざ盗難事件を起こす必要はなかったように思えてしまう。むしろ、兄弟子が盗みに入った動機も必要になってくるのではないか。自殺の動機を作るために盗難をして、盗難の動機を作るために……、という感じで、なんだか無限ループに陥りそうな雰囲気ではあるのだが、自殺するほど逼迫していたということなのかもしれない。

メインテーマは殺人なので盗難の方はそれほど重要ではないはず、なのだが、盗難時のアリバイを作るために、被害者に替え玉を依頼している。そして、これがダイイング・メッセージへと繋がっている!(被害者はダイニングで死んでいたので、ダイニング・メッセージだったりもする)

殺人について、犯人は犯行時刻を誤魔化すため、被害者になりすまして生きているようにみせていた。そこでつい、本領を発揮してしまったため、お爺さんお婆さん達が大爆笑。兄弟子ならこうはならないというのは兄弟子に同情してしまうが、これがなりすましを見破る手掛かりになっている。

決定的な証拠は被害者の血痕が付着した扇子で、どう頑張っても言い逃れはできそうにない。ただし、いつ付着したかまで正確にわからないのであれば「実は兄弟子とお姉さんのお店に行った時に兄弟子が鼻血を出しましてね」などと言い訳できたかもしれない。言い逃れは結構見苦しいので、さっさと自供してもらいたいことろである(なお『汚れた王将』に登場した犯人は血痕が付着したタイミングについて結構粘っている)。
ちなみにダイイング・メッセージは連想ゲームが含まれるので、証拠としては弱い気がする。

扇子の模様にみえた染みが血だったということや、開いているときは気付かないけど閉じるとよくわかるというのは、日常的に経験することなので、わかりやすい仕掛けだったと思う。扇子の使い方という落語家特有の所作が決定的な証拠につながっていたり、煮干のダイイング・メッセージが古典落語に絡んでいたりするのは、落語家が犯人という感じがする。

最初のセリフ

完全犯罪とかけて、日曜日にお父さんが作る晩ご飯と解く。その心は、必ず失敗します。お後がよろしい様で。

事件のヒントなどには、特になっていないようです。今回の犯人の犯罪は“日曜日にお父さんが作る晩ご飯”という感じのようです。(1999年放送ですので、20年以上経過した今は、料理上手なお父さんも多くなっていると思います)

トリック解説

犯人の雅楽は兄弟子の動機を捏造し、自殺したように偽装します。自殺をもっともらしくするため、被害者から思いつめたような内容の電話があったと嘘もついています。

自殺の動機捏造

雅楽は真打に選ばれなかったた兄弟子が自殺したようにみせるため、真打候補が記された書類を盗みます。そして、書類を盗んだときに、現場の事務所に兄弟子のライターを残し、兄弟子が盗んだようにみせます。また、盗難にあった時刻がはっきりとわかるようにするため、事務所の金庫を動かして、わざと警報を鳴らしています。

ライターは、兄弟子とお酒を飲みに行った際に盗んでいます。

書類盗難時のアリバイ

雅楽は、真打候補の書類が盗まれたときのアリバイをつくります。書類が盗まれたとき、落語の師匠と一緒にいた(稽古を受けていた)、というアリバイです。
実際、師匠と一緒にいたのは死んだ兄弟子でした。

兄弟子自殺時のアリバイ

雅楽は兄弟子が生きているようにみせ、兄弟子が死んだ時間を遅らせようとしました。この偽装工作のため、雅楽は兄弟子の代わりに老人達に落語を披露し、その時まで生きていた様にみせています。兄弟子が落語を披露した後、帰宅し自殺したというストーリーで、このとき、雅楽は夕方のパーティーに出席していたことになります。

犯人のミス

古畑が雅楽を疑い、真相に辿り着くヒントです。口を滑らせる、ちぐはぐな状況(大うけの老人)、ダイイング・メッセージなど、様々なタイプのミスが登場しています。

「いつ死んだのか」

雅楽は、兄弟子の死を知らされた時、「いつ死んだのか」と尋ねませんでした。これに古畑は疑念を抱き、雅楽を疑うきっかけとなります。

新聞

被害者は夕方に帰宅し自殺したはずでしたが、夕刊はポストに残っていました。このことから古畑は、夕刊が配達される前に被害者は死んでいたのではないかと疑います。

大うけの老人達

雅楽は兄弟子殺害後に、兄弟子のふりをして、老人たちに落語を披露します。この落語は、ある老人によって録音されていましたが、残念ながら、雅楽の声は入っていませんでした。ただし、観客の笑い声は綺麗に録音されており、それは、兄弟子にはあり得ないほどの大うけでした。このことから古畑は、老人達に落語を披露したのは兄弟子ではないという推理します。

ダイイング・メッセージ

兄弟子が死に際に握ったにぼし(干物)は、干物箱という落語を意味していました。落語に関して勉強不足の雅楽はこのダイイングメッセージに気付くことができませんでした。

干物箱は実在する古典落語の一つで、若旦那と呼ばれる登場人物が友人に代役を頼んで吉原へ遊びにいくお話です。被害者は、煮干から干物、干物から干物箱を連想させることで、“若旦那に代役を頼まれた”というメッセージを残そうとしていました。

扇子の血痕

兄弟子は死に際に、雅楽の扇子の上に倒れています。この時、雅楽の扇子に血痕が付着しました。

犯人の雅楽は公演中に血痕に気付きます。しかし、客席に古畑がいたため、扇子を閉じずに箸の演技をするという奇妙な行動をとります。
雅楽のおかしな行動に違和感を覚えた古畑は、開いている状態だとわからなくても、扇子を閉じると血痕が明確になってしまうことに気づきます。

結末

古畑によって雅楽は、替え玉を使ったアリバイ工作や兄弟子が生きているようにみせた偽装工作などを次々に暴かれます。そして最終的に、決定的な証拠として雅楽の扇子に付着した兄弟子の血痕(指紋)を突き付けられ、雅楽は罪を認めます。

おめえには華がある。それで十分じゃないか。みんなはそれがなくてずーっと苦しんでんだ。他のものは後からついてくるんだよ。苦楽も死ぬこたぁなかったし、おめぇも殺すことはなかったんだ。

感想

犯人の不自然な行動(「いつ死んだのか」のくだり)、アリバイ工作、ダイイングメッセージなど盛りだくさんのエピソードでした!

落語家が犯人、というのは、やはり刑事コロンボシリーズには登場しません。アメリカの職業でいうと、スタンダップコメディなどで笑いをとるコメディアンといったところかと思いますが、こういった人物はコロンボには登場していませんでした。

この記事のまとめ

古畑任三郎第3シーズン1話「若旦那の犯罪」について、あらすじ、トリック解説、感想などをご紹介しました。

項目内容
殺人の計画性あり
偽装工作自殺に偽装
ミス扇子の血痕
動機新作落語の盗用
凶器刃物
トリック替え玉トリック
古畑の罠

番組情報

項目内容
脚本三谷幸喜
監督関口静夫
演出河野圭太
長さ58分
放送1999年
4月13日(火)
視聴率25.5%
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