『米沢守再びの事件』は2022年3月2日に放送された相棒season20の第17話です。元鑑識課員・米沢守がひさしぶりに再登場。鉄道愛好家である米沢が遺体を発見したことをきっかけに、特命係の杉下右京と冠城亘が、ローカル鉄道「星川鉄道」を舞台とした事件の捜査に乗り出します。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
引退間近の車両を見るために鉄道スポットを訪れていた元鑑識課員の米沢守は、線路脇で男性の遺体を発見し、特命係の杉下右京に連絡する。現場に駆けつけた右京と亘は、遺体が別の場所で殺害され、線路脇に遺棄されたことを直感。さらに、遺体や遺留品が奇妙な配置で発見されたことから、何らかのメッセージが込められていると推理する。まもなく遺体は茨城県で菓子工場を営む吾妻元彦と判明し、捜査線上に被害者の地元を走るローカル私鉄「星川鉄道」が浮上する。集中豪雨で被災し、廃線の危機に瀕している星川鉄道を巡っては、存続派と廃線支持派の間で激しい対立が起きていた。鉄道への深い愛情を持つ米沢の協力を得て、特命係は廃線問題を背景にした事件の真相を追う。

登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。 - 冠城亘(反町隆史)
右京の相棒。 - 米沢守(六角精児)
元警視庁鑑識課員。現在は警察学校の教官。鉄道をこよなく愛する鉄道ファン。 - 今泉悟志(松浦祐也)
星川鉄道の存続を願う鉄道ファンの一人。 - 松原玲子(中原果南)
星川鉄道を運営する企業の鉄道事業本部長。廃線を推し進める立場。 - 白川洋一郎(野中隆光)
星川鉄道沿線にある旅館「銀河屋旅館」の経営者。「星川鉄道を復活させる会」の会員。鉄道存続を強く訴える立場。 - 吾妻元彦(藤本浩二)
被害者。茨城県内で菓子工場を営む。廃線支持派の中心人物。
ネタバレ
遺体や遺留品は星川鉄道のロゴマークであるオリオン座の星の位置に沿って遺棄されており、当初、線路に侵入して逮捕された鉄道ファン、今泉悟志が容疑者として浮上します。今泉は廃線を推進する吾妻への恨みから犯行に及んだと自供し、自身が末期の病で余命いくばくもないことを明かします。しかし、右京と冠城は今泉が誰かをかばっていると見抜き、特に鉄道存続を強く主張していた旅館経営者の白川洋一郎に目を向けます。捜査を進める中で、白川が実は星川鉄道の運営会社から金銭を受け取り、「星川鉄道を復活させる会」を内部から分断させるためのスパイだったことが判明。彼の過激な言動は、廃線反対派をより孤立させるための工作でした。今泉は白川の犯行だと信じ、鉄道存続のために、その罪を肩代わりしようとしていたのです。しかし、米沢が鑑識として現場に戻り、最新の技術を駆使して駐車場のわずかな血痕から、被害者の血液を含んだ犯人の足跡を発見します。この足跡は完全オーダーメイドの靴のものであり、その持ち主は鉄道事業本部長、松原玲子と判明します。事件の真相は、吾妻が松原による白川への買収工作を知り、世間に公表しようとしたため、口封じのために松原が吾妻をナイフで刺し殺害したというものでした。松原は鉄道を切り捨てようとしていたのです。
結末
松原玲子は逮捕され、事件は解決へと向かいます。米沢は内村刑事部長にとがめられながらも、鉄道への熱い思いと鑑識としての役割を全うしたことに満足感を覚えます。冠城は、今泉が白川の裏切りに気づいていた可能性があり、その上で白川をかばう演技をすることで、人々の心を動かし、星川鉄道の「路線変更」を促そうとしたのではないか、と新たな考察を右京に語ります。それは、今泉が描いた壮大な「ダイヤグラム」だったのかもしれないというものでした。右京もまた、同じ考えに至っていたことを告げ、二人は静かに事件を見つめ直します。米沢は特命係の二人と、いつか星川鉄道が復活したら一緒に乗りに行こうと約束し、久しぶりの現場は幕を閉じました。
感想と考察
六角精児さん演じる米沢守の再登場が最大の魅力で、これだけで意義のあるエピソードになっていると思います。鑑識を離れても鉄道への情熱を失わず、その知識と人間性が事件解決に深く関わる展開は、みどころです。また、鉄道を巡る住民の分断という社会問題を背景に、それぞれの人物の複雑な思惑が絡み合って二転三転するストーリーも楽しめます。最終的に松原玲子の動機が明かされた後も、冠城が今泉の真意について新たな考察を提示することで、事件の深みが一層増しました。「たかが鉄道」と切り捨てる松原と、「たかが鉄道に救われる人もいる」と熱弁する米沢の対比は、趣味や文化が持つ価値、そして人間の価値観の違いを浮き彫りにしているかのようです。
余談
- 本エピソードの初回放送日は2022年3月2日です。この時の視聴率は13.3%を記録しています。
- 普段登場するレギュラー陣の一部(益子、青木、出雲麗音)は不在でした。
- 米沢守役の六角精児さんは、プライベートでも熱心な鉄道ファンです。
- 星川鉄道の「千羽駅」のロケ地は、千葉県市原市にある小湊鉄道線の上総鶴舞駅が使用されました。
作中の名言
- 「たかが鉄道に救われる人もいるんですよ。」(米沢守)
星川鉄道の廃線を巡る議論の中で、白川が鉄道を軽んじる発言をした際、米沢が自身の鉄道への思いを語り、鉄道が人々にもたらす喜びや人生の重なりを力説する場面で登場しました。

