『怪物と聖剣(前編)』は2025年3月5日に放送された相棒season23の第18話で、最終章を飾るスペシャルドラマ前編となっています。匿名流動型犯罪(トクリュウ)の捜査から端を発した事件は、やがて東京都の税金不正流用と巨大な利権構造へと繋がっていきます。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
警視庁に設置された匿名流動型犯罪(トクリュウ)の統合捜査本部に駆り出された杉下右京と亀山薫。2ヶ月にわたり相次いでいた強盗事件の捜査を進める中、右京は都議・橋迫倫子宅での犯行様態の特異性に気づく。倫子の事務所には、都の公共事業や助 成金に関する怪文書が送付されており、そこには100億円以上もの都の税金が不透明な形で流用されているようだった。この文書を裏付けるべく倫子が情報開示を請求した際に出てきたのは、真っ黒に塗りつぶされた、いわゆる「のり弁」状態の公文書…。特命係は真相を求めて東京都知事・一岡を直撃するが、その動きは阻まれ、事件の周辺では謎めいた男たちが暗躍し始める。

登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。。 - 亀山薫(寺脇康文)
杉下右京の相棒。 - 橋迫倫子(愛希れいか)
東京都議。都の公共事業における税金の不正流用疑惑を独自に調査していた。シングルマザーとして娘を育てる。 - 一岡光(片桐仁)
東京都知事。元タレントで、カリスマ性と人気を誇る。 - 木原健二(平山祐介)
唐揚げ屋台「キズナチキン」の店主。気さくな人物。お金のない若者には無料で唐揚げを振る舞うなど、人当たりの良い一面を見せる。 - 浦神鹿(毎熊克哉)
右京に謎めいた接触をしてくる男。「悪」をテーマに小説を執筆するという彼は、底知れない雰囲気をまとっている…。 - 黒崎健太(内田裕也)
週刊トップの記者。元東京地検特捜部検事。都の税金流用に関する怪文書を鑑定し、その信憑性を指摘する。 - 橋迫ほまれ(山中七)
橋迫倫子の娘。事件の恐怖を乗り越え、捜査に重要な手掛かりを提供する。 - 角田六郎(山西惇)
組対部薬物銃器対策課課長。 - 社美彌子(仲間由紀恵)
警視庁広報課長。
ネタバレ
一連の連続強盗事件は、都議・橋迫倫子を狙った本命の事件をカムフラージュするためのものでした。倫子宅への侵入者たちは、 金品を奪うことなく、都の公文書の「のり弁」を模倣するかのように部屋の壁を黒く塗りつぶしました。これは、倫子が追及していた都の公共事業や助成金に関する100億円以上の税金不正流用疑惑から手を引かせるための警告でした。犯人の一人が腕に鶏の刺青をしていたという娘・ほまれの証言を得て捜査が進む中、その刺青を入れたとされる青年が「自殺」に見せかけて殺害され、スケープゴートにされます。この犯行には、唐揚げ屋台の店主である木原健二が関与している様子。特命係は都知事の一岡光がこの利権構造の頂点にいるとみて追及しますが、彼はこれを偽造文書だと一蹴します。一岡はかつて自ら不正を暴いて都民の支持を得ましたが、都知事の座に就くと、与野党や財界、官僚など様々な勢力に税金を分配することで、都議会を支配する「怪物」へと変貌していました。右京は、表面上は分裂しているように見える勢力が、巨大な利権を分け合うために共存していると分析します。
結末
事件の核心に迫る特命係でしたが、上層部からの圧力がかかります。それでも、右京は捜査続行の意思を固めます。すると、一岡都知事が国政進出を宣言する緊急記者会見を開きます。その姿を見た右京が強い危機感を抱く中、一岡主催の会合には、衣笠副総監や社美彌子だけでなく、右京に接触してきた謎の男・浦神鹿も出席し、不敵な笑みを浮かべていました…。事件そのものは解決せず、清田翔也の死体が発見されたあと、さらに多摩川市の強盗事件への関与を裏付ける別の遺体が川で発見されるという、さらなる謎を残したまま前篇は幕を閉じます。
感想と考察
「怪物と聖剣」前編は、現代社会が抱える公金問題や、政治と利権の癒着といった、当時非常にタイムリーだったテーマを扱っていました。文書の「のり弁」という隠蔽の象徴が、政治の不透明さを表現しています。都知事・一岡を「怪物」に、そしてそれに立ち向かう特命係を「聖剣」に見立てたタイトルは、まさに権力との対決を予感させ、謎めいた浦神鹿の存在は、物語に不穏さを加えていました。元検事であり記者となった黒崎健太の再登場がサプライズとなる中、脚本家を担当した真野勝成氏の政治サスペンスの巧みな展開が、次話への期待を一層高めます。
余談
- 本作は2025年3月5日に放送され、10分拡大版でした。視聴率は10.1%を記録しています。
- 脚本は真野勝成氏が担当し、監督は橋本一氏が務めています。
- 右京が浦神鹿と出会う紅茶店「デンメア ティーハウス」は複数回登場しているお馴染みのロケ地です。
作中の名言
- 「僕のテーマは”悪”です。悪によって世界が変わった。そして悪による恩恵を人々が受けている。」(浦神鹿)
紅茶店で右京に接触してきた浦神鹿が、自身の描きたい小説のテーマについて語った言葉。 - 「逃げると追いかけたくなるのが僕の悪い癖です。」(杉下右京)
一岡都知事が特命係の追求をかわそうとした際に、右京が発した言葉。

