現場のワイングラス
シャーロック・ホームズの冒険S3E5「修道院屋敷」のあらすじ、真相ネタバレです。警部の依頼でホームズは現場にかけつけますが、強盗に襲われたということで事件では片付いてしまいます。
あらすじ
ホプキンズ警部から急の知らせを受け取ったシャーロック・ホームズとワトソンはブラッケンストール殺害事件を調査するため、ブラッケンストールの屋敷に向かいます。ホームズ到着後、ブラッケンストール夫人であるメアリーが「犯人は巷を騒がせているギャング」、と証言。メアリーは、死んだブラッケンストールのすぐそばで縛られており、事件の目撃者でした。
ホームズは夫人の話を聞き、現場を調査したのち、汽車で帰路につきます。しかし、現場に残されたワイングラスに違和感を抱き、ギャングによる犯行を否定します。
注目のシーン
ワイングラスを調べるシャーロック・ホームズ。
ドラマ情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作 | アベイ農場 (短編) |
| No. | シーズン3 第5話 |
| 放送日 | 1986/08/06 (水曜日) |
原題
「The Abbey Grange」(アベイ邸宅)
登場人物
シャーロック・ホームズ、ワトソン以外の主な登場人物です。
ユースタス・ブラッケンストール
ブラッケンストールの主人。被害者。酒を飲む。
メアリー
ユースタスの妻。事件当時、犯人に縛られていた。およそ一年前にオーストラリアから渡英。
事件の謎
真犯人は誰か、がこの事件の謎です。
殺人事件の謎
メアリーは犯人が三人だったと証言します。この証言や銀食器が盗まれている状況から、犯人はギャングであると結論付けられます。
しかし、現場には不可解な点が残っていました。
ワイングラス
ワイングラスは三つ、使われた痕跡が残っていました。
一つのワイングラスには滓(おり)が入っていましたが、残りの二つには入っていませんでした。
このことからホームズは、使われたグラスが二つだけだったと推理します。
犯人の人数
グラスからワインが注がれたという状況から、ホームズは犯人が二人だったと推理します。もしも、犯人が二人ならば、メアリーの証言と食い違います。
グラスから飲み残しのワインを注ぐという不自然な行動から、真犯人は、犯人が三人いるようにみせようとしていました。
犬の墓
メアリーの愛犬がブラッケンストールに殺された痕跡が残っていました。
呼び鈴の紐
メアリーは現場の呼び鈴の紐で縛られていました。
壁の高い位置から吊るされた紐は、根元から切れておらず、引き千切られたようには見えませんでした。
真相
メアリーが渡英時に船で出会ったクロッカー船長が犯人です。なお、ブラッケンストールは酔って暴力を振るう男でした。
動機
クロッカー船長はメアリーを愛していました。
夫の暴力を知ったクロッカーはメアリーに会うため屋敷を訪ねます。その密会を目撃されたクロッカーはブラッケンストールを殺します。
偽装工作
クロッカー船長、メアリー、メイドのテレサは共謀してブラッケンストール殺害をギャングの仕業に見せようとします。
しかし、ミスを犯し、ホームズに偽装を見破られます。
メイドのワイン
メイドは気付けの飲酒を拒みました。そのため、グラスからグラスにワインを注ぐ、という不自然な行動が生じます。
不自然な紐
メアリーを縛っていた紐の結び方は船員独特のものでした。
さらに、紐を切るためには、船員のような身のこなしが必要でした。
紐がちぎれたようにみせるため、一端をほぐしています。ところが、紐は切れた場所が不自然でした。このことから、紐がちぎられたわけではないことが明らかになります。
銀食器の行方
銀食器は流木に結ばれ、川の底に沈んでいました。
ホームズは流木が一切動いていないことを不審に思い、銀食器を見つけ出します。
結末
クロッカー船長を呼び出したホームズは、事件のあらましを語ります。追い詰められたクロッカーは観念し、事件の真相を話します。全てを知ったホームズとワトソンはクロッカーによる犯行を公表しないと決意します。
感想
夫の暴力が動機になるエピソードです。
ワイングラスに関する考察
ワイングラスを使ったトリックについて考察します。ホームズの推理には飛躍があるのではないか、という内容です。
残ったワイングラス
ワイングラスは三つ使われた形跡がありました。なお、ワイングラスと夫人の証言により犯人は三人と推測されます。
ワインの残量
グラスに残っていたワインについては、2パターン考えることができます。
一つ目は、グラスに少量残っていた場合です。冒頭“注目のシーン”の画像を見ても、少量残っていると考えるのが有力です。
二つ目は、3つのワイングラスうち2つは空だったとした場合です。空だと、当然、滓(以下ゴミ)が残っているかどうかはわかりません。また、飲み干したとも推理できるため、グラスからグラスに移されたとは断定できません。
やはり、少量残っている、と考えるのが自然です。
飲み干すも移し替えるも、ワインが移動する場所(胃か別のグラスか)が違うだけです。
ゴミの残量
ゴミが残っていたのは一つのグラスだけです。
瓶の状況
瓶は振られており、ワインを注げばゴミが入る状況でした。しかし、ゴミが残っていたのは、一つのグラスだけでした。この状況から、瓶から注がれていないワインがある、というのは確かだとわかります。
ゴミの移動
ここで、ワインが注がれたのは2つのグラスだとします(事実そうです。気付けのために犯人と夫人が飲みました)。そして、二つのグラスから、三つ目のグラスにワインを注ぎます。
この時、前述の通り、二つのグラスにはワインが残るようにしなければなりません。そうなると、三つ目のグラスにだけゴミが移動するというのが不可解です。
ゴミの浮遊
ワイングラスに注がれたゴミが上部にのみ浮遊していたとすれば、三つ目のワイングラスにゴミが移動したとも考えられます。沈殿するゴミではなく、表面に浮くゴミだったと考えることもできます。
表面に浮く場合も、振られていなければ、最初に注いだワインにだけゴミが入ってしまいます。そのため、瓶が振られていたという状況と矛盾しません。
矛盾
ワインが入った三つ目のグラスが存在するのは確かです。しかし、ゴミがワイン上部に浮遊していると考えると、飲むことができなくなります。
飲んでグラスからグラスに注いだ
まず、二つのグラスに注がれたワインを飲みます。上部にゴミは浮いているので、ゴミも飲まれます。そうなるとグラスにゴミの入っていないグラスができあがります。このグラスから三つ目のグラスにワインを注いでも、ゴミは入りません。
まとめ
ゴミが入ったワイングラス1つ、入っていないワイングラス2つを作り出すためには、次の手順が必要です。
まず、ゴミ入りのワイングラスから、ゴミを残すようにしてある程度飲む。そして、ゴミは全て移しつつもワインは少量残しながら、3つ目のワイングラスにワインを注ぐ、という手順です。
ゴミがワインに浮きやすいとすると飲む手順が、沈みやすいと考えるとグラスからグラスへの手順が難しくなります。
この記事のまとめ
シャーロック・ホームズの冒険「修道院屋敷」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 殺人事件の調査 |
| 犯人 | クロッカー |
| 謎 | ワイングラス |
| トリック | 被害者が共犯 |

