「ショーウィンドウを砕く」のあらすじとネタバレ解説(犯人やトリックなどの紹介および考察)をまとめています。原作は有栖川有栖氏による推理小説で、短編集「怪しい店」に収録されています。
あらすじ
愉良というタレントが、自宅で所属事務所の社長・夕狩正比古によって殺害される。夕狩と愉良は恋人のような関係だったようだ。報せを受けた火村とアリスは現場に駆けつけ、夕狩正比古に聞き取り調査を行う。正比古によると、愉良の部屋を訪ねたが応答がなかったため、持っていた合鍵を使用して部屋に入ったという。
愉良の部屋の鍵は3つあった。そのうち二つを愉良本人が、そして、残る一つを正比古が持っていた。ところが、死体発見の二日前、愉良は鍵をなくしていた。夕狩は、紛失した鍵を拾った何某かが部屋に侵入して犯行に至ったと主張する。

ネタバレ
夕狩正比古が犯人というのは、明らかなことです。夕狩は犯行を強盗殺人に偽装するため、部屋を荒らし、貴重品や現金を盗んでいます。強盗殺人犯をでっちあげるために、愉良が鍵を落としてそれを拾った人物がいる、という内容を話しています。被害者の愉良が鍵を失くしたと騒いでいたのは本当ですが、その鍵は鞄の中に入っていました。
犯人の夕狩は、鍵の発見が周囲に知られていないことを利用して、鍵を拾った人物が存在するかのように見せかけようとします。
しかし、愉良は殺害される前の日、鍵の紛失騒動を洋服店の店員に話していたことが判明します。結果、強盗殺人の線は消え、夕狩に容疑がかかかることになります。
夕狩は愉良との最後の接触は服飾店に入る直前だったと主張していましたが、宅麻の財布からは愉良と店員の指紋が付いた1000円札が発見され、夕狩が嘘をついていたことが明らかになりました。この証拠を突きつけられた宅麻は自分の犯行を自白しました。犯人は明らかにサイコパスであったと言えます。
トリック
夕狩は、被害者の鍵紛失の話を利用して、強盗殺人の偽装を企てました。犯行後、強盗の犯行にみせるため、部屋を荒らしたり貴重品を盗んだりしています。
実際のところ、鍵紛失しておらず、この話が他人に伝わっていたことで、犯人の嘘が明るみに出ました。この事実が発覚する前から不自然な点は指摘されていました。まず、犯人は偽装工作のためにスペアキーも持ち去っていますが、鍵を拾った強盗、すなわち鍵を持っているの強盗がスペアキーを奪うのは不自然です。さらに、宝くじが盗まれなかったことが犯人の性格を示し、靴を脱いだというミスは身近な関係者による犯行を示唆しています。
鍵紛失が嘘だったというだけではなく、犯人と被害者が最後に接触したのはいつだったのか、ということについても嘘が発覚します。犯人は犯行ため夜に被害者を訪れていましたが、当然、この真実を正直に話すことはできません。そのため、被害者と最後に会ったのは昼頃だったと供述していました。この主張は事実であったものの、もし本当に昼頃に会ったのが最後であれば、服飾店の店員の指紋がついた1000円札を犯人が手に入れることはなかったはずです。
ドラマと原作の違い
原作とドラマは概ね同じ内容です。宝くじや犯人の回想(ショーウィンドウを砕くシーン)などはドラマオリジナルの演出が加えられています。
「ショーウィンドウを砕く」は「暗い宿」という短編集に収録されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 有栖川有栖 |
| 書名 | 暗い宿 |
| 分類 | 推理小説 (短編集) |
この記事のまとめ
火村英生「ショーウィンドウを砕く」のあらすじ、真相などをご紹介しました。
- 倒叙形式のエピソード
- 夕狩正比古が愉良を殺害し強盗殺人に偽装
- 鍵の紛失を利用して鍵を拾った人物を犯人に仕立て上げる
- 実は愉良は鍵を紛失しておらずこのことを店員に話していた
- 実は愉良は鍵を紛失していなかった

