『二分の一の殺意』は2004年3月10日に放送された『相棒 season2』第20話です。一卵性双生児という題材や、法律の穴を突いた巧妙なトリック、姉妹の間に渦巻く複雑な愛憎劇などがみどころのエピソードです。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレ、感想、余談などをまとめています。
あらすじ
青年実業家・坪井が歩道橋から突き落とされる事件が発生。現場に居合わせたオカマバーのママ・ヒロコは、思いを寄せていた坪井の後をつけていた。しかし、犯行は否定し、「別の女が突き落とした」と証言する。ヒロコの証言から作成された似顔絵により、容疑者として岡村留奈という女性が浮上するが、なんと彼女には留美という瓜二つの一卵性双生児の妹がいた。姉妹は二人とも犯行時刻に同じ喫茶店にいたとアリバイを主張。目撃者であるヒロコも、どちらが犯人か区別がつかなかった。DNA鑑定も通用せず、指紋以外の証拠がなければ、どちらが現場にいたかを特定できない。このままでは起訴できず、完全犯罪が成立してしまう――。前代未聞の難事件に、さすがの右京も苦戦を強いられる。

登場人物
- 岡村留奈/岡村留美(吉本多香美)
事件の容疑者となった双子の姉妹。姉が留奈で妹が留美。瓜二つの容姿を利用して警察を翻弄。(吉本多香美さんが一人二役を演じています) - ヒロコ(深沢敦)
事件の第一目撃者であるオカマバーのママ。 - 坪井真治(田付貴彦)
被害者の青年実業家。姉妹と恋仲にあったが、その裏には……。 - 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。双子が生み出した難攻不落の謎に挑む。 - 亀山薫(寺脇康文)
特命係の巡査部長。ヒロコママに助けを求められる。
ネタバレ
歩道橋で坪井を突き落とした実行犯は姉の岡村留奈です。動機は、坪井に心と体を弄ばれ、金銭まで騙し取られたことへの復讐でした。事件には、もう一つの真相が隠されています。実は、坪井は妹の留美とも関係を持っており、姉妹二人を同時に手玉に取っていました。その事実を知った姉妹は、二人で坪井への復讐を決意します。姉妹の計画は、「どちらが犯人か特定できなければ起訴できない」という法律の穴を突いたものでした。二人は事前に同じ喫茶店を訪れて指紋を残し、完璧な口裏合わせを行うことで、鉄壁のアリバイを構築しました。この完全犯罪を崩したのが、一本のビニール傘です。右京は、几帳面な妹・留美の部屋の傘立てに、普段使っている半透明の傘とは違う「透明な傘」が一本だけあることに気付きます。捜査の結果、事件当日、喫茶店にいた留美は自分の傘を別の客に間違えて持ち去られていたことが判明します。これが原因で留美は、やむなく店にあった透明な傘を持ち帰っていました。傘を間違えた客はみつかり、残された傘から留美の指紋も検出されます。これにより、留美のアリバイは証明され、消去法で犯人が姉の留奈であることがはっきりします。
姉の留奈は、妹も坪井の毒牙にかかっていたことを知りながら、妹を庇って一人で罪を被る覚悟でした。釈放された留美は、姉の想いを知り、一人で坪井に復讐しようと病院へ向かいますが、寸前のところで右京と薫に止められます。最終的に姉妹の深い絆が、最悪の結末を回避させることになります。
感想と考察
被害者である坪井の非道な振る舞いは「殺されても仕方ない」と思わせるほどでした。姉妹の復讐に同情の余地を与えているといえます。解決の糸口が「傘の取り違え」という偶然かつ不測の出来事であったのは、犯人たちの計画が完璧に近かったかを物語っているといえるかもしれません。もしあの日、雨が降っていなければ、特命係は敗北していたかもしれないです。
双子が登場するミステリーは、シリーズ作品なら一回は登場するかなという感じです。すごく怪しい人物がいるけど完璧なアリバイがあって、終盤のほうで「実は双子でした」と明かされるミステリーは最悪ですが…、そういった感じの作品は、ギャグ系でない限り、存在しないと思います(存在して欲しくない)。双子が登場するミステリーでこのブログに記事があるのは、下記3作品です。
余談
- サブタイトルの意味
サブタイトル「二分の一の殺意」は、犯人が姉妹のどちらか50%であるという意味だけでなく、姉妹それぞれが100%の殺意を持っていたことも意味しています。 - ヒロコママの再登場
シーズン1から数えて3度目の登場。特命係、特に亀山薫との腐れ縁を感じさせます。 - 米沢守のスーツ姿
鑑識の制服が定番の米沢さんが、今回は非番と思しきスーツ姿で登場する貴重なシーンがあります。 - ロケ地
事件現場の四反道跨線人道橋や、アリバイの舞台となった喫茶店バンフ(BANFF)は、他のシーズンでも度々登場する。特に喫茶店「BANFF」はシーズン3やシーズン6、さらにはシーズン7以降も何度も登場する相棒ファンにはおなじみの場所です。 - 見事な階段落ち
冒頭の坪井が突き落とされるシーンは見事なスタントで、一部のファンの間では語り草となっているそうです。

