『スウィートホーム』は2006年10月18日に放送された相棒season5の第2話です。亀山薫と美和子の新婚生活に巻き起こる幽霊騒動と、それに端を発する事件を描いたエピソードです。新居購入という喜ばしい出来事から一転、心霊現象に悩まされる亀山夫妻と、幽霊の正体を解き明かそうとする杉下右京の姿が、コミカルかつミステリアスに展開します。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレ、感想、余談などをまとめています。
あらすじ
結婚したばかりの亀山薫と宮部美和子夫妻は、破格の値段で広大な洋館を購入するが…その家は過去に殺人事件が起きた事故物件であり、心霊スポットとしても知られていた。引っ越した早々、深夜に物音が聞こえたり、窓の外に不気味な幽霊のような姿を目撃したりと、怪奇現象に悩まされる亀山夫妻。特に美和子は心細さを募らせ、体調を崩してしまう。幽霊の存在に人並みならぬ興味を抱く右京は、亀山の報告を受けて、その洋館に現れる幽霊の正体、そして過去の殺人事件の真相究明に乗り出す。亀山夫妻を恐怖に陥れる怪奇現象は本物の幽霊によるものなのか、それとも――。

登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。幽霊には関心がある。 - 亀山薫(寺脇康文)
警視庁特命係の巡査部長。美和子と結婚し、新居として格安の洋館を購入するが、幽霊騒動に巻き込まれる。 - 亀山美和子(鈴木砂羽)
亀山薫の妻。新婚生活を始める洋館で次々と起こる怪奇現象に恐怖を感じ、体調を崩してしまう。 - 諏訪町子(国分佐智子)
亀山夫妻が購入した洋館を管理する不動産会社の社員。物件の背景を知る人物。 - 飯塚久美子(夏生ゆうな)
過去に洋館で起きた殺人事件の犯人が勤務していた喫茶店のオーナー。 - 原タカシ(松嶋亮太)
久美子の喫茶店の従業員。 - 伊丹憲一(川原和久)
警視庁捜査一課の刑事。特命係を何かと敵視している - 三浦信輔(大谷亮介)
警視庁捜査一課の刑事。 - 芹沢慶二(山中たかシ)
警視庁捜査一課の刑事。伊丹の部下。 - 角田六郎(山西惇)
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課長。 - 宮部たまき(高樹沙耶)
小料理屋「花の里」の女将。右京の元妻。
ネタバレ
右京の捜査により、亀山夫妻を恐怖に陥れた幽霊の正体は、人間が覆面をかぶり、幽霊に扮装したものだったことが判明します。この洋館では15年前に、悪魔崇拝の研究家・天城が強盗に殺害され、強盗犯の富田も天城と刺し違えて死亡するという事件が起きていました。右京は、富田が天城殺害を目的としたのではなく、洋館に隠された何かを探していたと推測。捜査を進める中で、富田が過去に勤務していた喫茶店のオーナー・飯塚久美子と、その喫茶店の従業員・原タカシが事件に深く関わっている可能性が出てきます。実は、町子と久美子は、洋館の元持ち主であり、倒産した糸川興産の社長であった糸川重一の娘でした。父親の糸川は、倒産後、洋館のどこかに財産を隠していると豪語しており、その隠し場所を探していたのが富田だったのです。
富田は隠し場所を知り、それを元に久美子に接近して1000万円を要求。久美子は富田に隠し場所の確認を依頼しますが、富田は天城と争いになり死亡しました。その後、町子は不動産屋に就職し、物件担当として父親の財産を守ろうとします。しかし、金の亡者と化した久美子とタカシは、幽霊に扮して亀山夫妻を家から追い出し、財産を独占しようと企みます。彼らは亀山夫妻の留守を狙い洋館に侵入、亀山をサウナに閉じ込め、美和子を縛り上げ、「天使」の絵が描かれた床を掘り始めます。
結末
絶体絶命のピンチに陥った亀山夫妻は、駆けつけた右京に救出されます。右京は、父親が隠した財産「天使の下」とは、シガールームに亀山が描いた「天使の絵」の下ではなく、ローマ人が「天使の木」と呼んでいた洋館の庭にあった月桂樹の木の下だと推理します。月桂樹の下を掘り起こすと、箱が見つかりますが、中から出てきたのは金銭ではなく、幼い頃の町子と久美子が描いた父親の似顔絵やぬいぐるみといった思い出の品々でした。金に目がくらんでいた自分たちを諭された町子と久美子は、父親の深い愛情を悟り、幼い頃の思い出を胸に、新たな人生をやり直すことを誓います。一方、幽霊騒動と監禁事件を経て、結局亀山夫妻はその幽霊屋敷を解約し、元のマンションに戻ることになります。
感想と考察
ホラーコメディで終わらず、人間の欲望と過去の因縁が絡み合うストーリーが魅力です。亀山夫妻が購入した「事故物件」を舞台に、幽霊騒動が巻き起こるという、初期の作品の中では珍しいホラーコメディテイストです。しかしながら右京の冷静な観察によって、物語はミステリーへと転換。期待を裏切らない「相棒」らしい展開に引き込まれます。幽霊の正体は…やっぱり人間でした。新婚の亀山夫妻という設定も活かされていたと思いますし、美和子が金縛りに遭ったり、亀山が幽霊に怯えたりするコミカルなシーンは、二人の人間的な魅力が際立っていました。また、右京が自身の結婚失敗の経験を踏まえ、美和子を気遣うよう亀山に助言する場面は、彼の人間的な優しさが垣間見え、印象深いシーンでした。事件の真相が、父親の娘たちへの愛情に根差していたという結末も、後味の悪さを残さず、希望を感じさせる感動的なオチだったと思います。幽霊騒動という特殊な設定を巧みに使いながら、家族の絆や人間の欲という普遍的なテーマを描き切った魅力的なエピソードだと思います。
余談
- 初回放送日は2006年10月18日で、このときの視聴率は14.7%でした。
- 脚本は古沢良太氏、監督は森本浩史氏が担当しています。
- 喫茶店の従業員、原タカシ役で松嶋亮太さんが出演しています。のちに『容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ』からサイバーセキュリティ対策本部特別捜査官の土師太役で再出演されます。シーズン16の最終話『容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ』についてはこちらにまとめています。
- 右京は幽霊を見たいと常々発言していますが、このエピソードでは残念ながら本物の幽霊を見ることは叶いませんでした。
- 本作には、1989年に公開された同名の日本映画『スウィートホーム』を彷彿とさせるタイトルとホラーテイストがあります。
- 相棒シリーズには、『事故物件』というタイトルのエピソードもあります。こちらも事故物件が登場します。シーズン16第15話『事故物件~死者の告発文!遺産争いの罠』についてはこちらにまとめています。
作中の名言
- 「好きというわけではありませんが、一度お目にかかってみたいものですね」(杉下右京)
宮部たまきに「幽霊お好きでしたよね」と問われた右京が答えた言葉。幽霊という非科学的な存在への純粋な好奇心を表しています。 - 「大事なのは家じゃない、家族だ」(伊丹憲一)
幽霊屋敷を解約し、元のマンションに戻ることになった亀山に対し、伊丹がからかい半分で、しかしどこか本気で語りかけた言葉。

