『犯人はスズキ』は2006年10月25日に放送された相棒season5の第3話です。東京都下町の柳瀬町で発生した殺人事件をきっかけに、特命係の杉下右京と亀山薫は、謎の人物「スズキ」の行方を追うことになります。しかし、捜査が進むにつれて浮かび上がるのは、24年前に町を襲った悲劇と、それを取り巻く町内会の人々の深い闇でした。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
柳瀬町の神社で、町内会に住む白坂という男性の遺体が発見される。第一発見者である豆腐店の井伏節子からの連絡を受け、杉下右京と亀山薫は捜査を開始。聞き込みを進めると、白坂は殺害される直前、最近引っ越してきたばかりの「スズキ」という男性と口論していたという目撃証言が手に入る。しかし、町内会長の池之端をはじめ、誰もスズキの正確な住所や連絡先を知らず、その行方は掴めない。手がかりを求める中、コンビニの防犯カメラに写っていたスズキとみられる男性の指紋から、3ヶ月前、町で空き巣をして逮捕された江島であることが判明する。特命係と捜査一課は江島の自宅へ急行するが、江島は首を吊って自殺していた…。
登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。 - 亀山薫(寺脇康文)
警視庁特命係の巡査部長。 - 宮部たまき(高樹沙耶)
右京の元妻で、小料理屋「花の里」の女将。今回の事件の第一発見者と繋がりがある。 - 池之端庄一(高橋長英)
柳瀬町の町内会長。町内会の重鎮の一人。 - 堂本達也(斉藤暁)
元警察官で、町内の住民パトロール隊員。町の治安維持に尽力している。 - 井伏勝(丸岡奨嗣)
井伏豆腐屋の店主で、町内会のメンバー。 - 井伏節子(前沢保美)
井伏勝の妻で、白坂の遺体の第一発見者。 - 田宮剛史(田口主将)
茶処「たみや」の店主で、町内会のメンバー。 - 田宮志津江(山本道子)
田宮剛史の妻で、町内会のメンバー。 - 白坂英治(白石タダシ)
被害者。柳瀬町に住む男性。 - 江島郁雄(加島祥全)
空き巣の常習犯で、「スズキ」と名乗っていた男。
ネタバレ
杉下右京と亀山薫の捜査により、白坂殺害の容疑者「スズキ」は、実は町内会長の池之端ら町内会のメンバーが作り上げた架空の人物であることが判明します。彼らは、白坂を殺害した真犯人である池之端を庇うために、共謀して「スズキ」という虚像を仕立て上げていました。この事件の根源には、24年前に柳瀬町で発生した幼女殺害事件がありました。殺害された小学生は、池之端の娘である桃代でした。犯人は見つからず時効を迎えていましたが、3ヶ月前に空き巣犯の江島が白坂宅に侵入した際、桃代の遺品である文房具が発見されます。このことで、白坂こそが桃代殺害の真犯人だったことが明らかになりました。娘の仇である白坂と対峙した池之端は、桃代を殺害した白坂の言葉に激昂し、衝動的に白坂を殺害してしまいます。その場に居合わせた元警官の堂本は、自首しようとする池之端を説得し、町内会のメンバーと共に、架空の「スズキ」に白坂殺害の罪を負わせる計画を立てました。さらに、彼らは江島に金銭を渡し、「スズキ」として振る舞わせることで、捜査を攪乱しようとします。しかし、江島が警察に接触し、真実を明かす可能性が出てきたため、口封じのために堂本が江島を自殺に見せかけて殺害したのでした。
結末
右京は町内会のメンバー全員を集め、隠蔽された事件の全容を論理的に解き明かします。24年前の悲劇から始まった復讐と、それを取り巻く町の人々の切ない思いが露呈し、池之端庄一と堂本達也が逮捕されることで、一連の事件は幕を閉じます。町内会の人々は、架空の「スズキ」が自分たちの無念を晴らしてくれたかのような思いを口にし、右京は「それが本当だったら…」と静かに応えます。
感想と考察
「犯人はスズキ」というタイトルが示す通り、犯人はスズキ(偽名)でした。24年前に時効となった幼女殺害事件と、現在の殺人事件が絡み合い、町内会の深い絆と、それが生み出した悲劇的な共犯関係が描かれています。親が子を守れなかった無念、そして犯人が長年身近にいたという悔しさ、これらが町の人々を動かし、架空の「スズキ」という存在を作り出すまでに至った心情は、決して許される行為ではないと知りつつも、人間の深い感情を考えさせられます。一方で、たまきさんの買い物シーンや、右京さんのノリツッコミ、亀山薫と伊丹憲一のコミカルなやりとりなど、シリアスな展開の中に散りばめられたユーモアが物語に絶妙な緩急を与えていました。これらの要素が、ただの復讐譚や犯罪ドラマに終わらない、『相棒』の魅力といえます。
余談
- 本作の初回放送日は2006年10月25日で、このときの視聴率は15.6%を記録しました。
- 日本では、鈴木さんは、佐藤さんに次いで2番目に多い苗字とされています。
- 遺体が発見された神社や町会集会所のロケ地は東京都大田区にある新田神社です。
- 亀山美和子が熱く語ったアニメ「マジカル・リリィ」は、架空の作品です。
- 鑑識の米沢守は、このエピソードで別れた妻の行方を3年間探していることを明かしました。
作中の名言
- 「それが本当だったら、どんなにいいでしょう」(杉下右京)
事件の真相が明らかになり、町内会の人々が「無念を晴らしてくれたような気がする」と語るのに対し、右京が静かに返した言葉です。真実の残酷さと、人々が信じたかった希望が入り混じる、切ない余韻を残しました。

