名探偵ポワロ第60話・S11E3『第三の女(Third Girl)』のあらすじ、ネタバレ解説です。若い女性がポワロを訪ね「人を殺したかもしれない」と話します。事実、彼女が暮らしているマンションには、ある女性の死体がありました。
あらすじ
「人を殺したかもしれない」、そんな不安を抱える若い女性がポワロを訪ねます。女性の名前はノーマ・レスタリック、推理作家アリアドニ・オリヴァの紹介でポワロに相談しに来たようでした。しかし、情緒不安定なその女性はポワロの態度に失望し、その場を立ち去ってしまいます。
詳しい話を聞くことができなかったポワロはオリヴァのマンションを訪ね、事情を聞きます。
ノーマ・レスタリックは第三の女と呼ばれており、それは三人目のルームメイトという意味でした。ノーマは他に二人のルームメイトと暮らしており、ひとりがファースト・ガールのクローディア、そしてもうひとりがセカンド・ガールのフランシスでした。
そんな事情を一通り聞いた後、ポワロはマンションの玄関先に刑事の姿をみつけます。どうやら、マンションの一室でノーマの乳母だったラビニア・シーグラムの死体が見つかったらしく、警察が調べているようでした。警察は自殺と見立てているようですが、興味を持ったポワロは死体発見現場を調査し、ある写真をみつけます。その写真の裏には、A・J・バタスビーという名前が書かれていました。
ポワロはまず依頼人といえるノーマの大伯父の下へ向かいます。大伯父は目が不自由で、ほとんど何も見えていない様子でした。そんな大伯父をノーマの恋人・デビッドがポワロよりも一足先に訪ねていました。ノーマの父親なんて見たこともない、と吐き捨てたデビッドは、どうやら、ポワロと同様にノーマの家族について尋ねたようでした。
一方オリヴァはノーマのルームメイト達から話を聞き、誰かに見られているような気配を感じつつも、シーグラムの死体発見現場を調べ、隠された手紙をみつけます。そのまま今度は、ノーマを尾行し、ノーマと待ち合わせていたデビッドを発見、デビッドの追跡を開始し、彼のアトリエへと向かいますが、帰宅途中に何者かに襲われてしまいます。そして、死体発見現場でみつけた手紙は持ち去られてしまいます。
ノーマの父親や写真にあったバタスビーという女性などから話を聴き情報を集めたポワロは、ノーマの母親が自殺し、その死体をノーマ本人がみつけたことなども知ります。ノーマの無実を信じ彼女をかくまうポワロでしたが、精神的に不安定なノーマがついにシーグラム殺害を自供してしまい、警察に捕まってしまいます。

/Bon\
©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
登場人物とキャスト
ポワロ以外の登場人物です。このエピソードには執事のジョージと推理作家のアリアドニ・オリヴァも登場します。
- ノーマ・レスタリック
依頼人。第三の女。乳母のシーグラムを殺したかもしれないと話す - クローディア・リース=ホランド
ノーマのルームメイト。第一の女 - フランシス・キャリー
ノーマのルームメイト。第二の女 - デビッド・ベイカー
ノーマの恋人。画家 - アンドリュー・レスタリック
ノーマの父。ノーマが五歳の時に、妻(ノーマの母)やノーマを捨ててどこかへ消えたが、一年前にイギリスに戻ってきた。第一の女・クローディアの雇い主でもある - ロデリック・ホースフィールド
ノーマの大伯父。目が不自由で、10年ほど前からはほとんど何も見えていない - ソニア・ベンソン
ロデリック卿の秘書 - ラビニア・シーグラム
被害者。ノーマの元乳母 - A・J・バタスビー
ノーマの元家庭教師。家庭教師を辞めて学園を創立した
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Norma Restarick ノーマ |
Jemima Rooper |
| David Baker デビッド |
Tom Mison |
| Claudia Reece-Holland クローディア |
Clemency Burton-Hill |
| Frances Cary フランシス |
Matilda Sturridge |
事件のまとめ・謎
マンションで死んだシーグラムは自殺と考えられますが、のちに他殺であることが明らかになります。ノーマは「人を殺した」という発言をしておりますが、ほんとうにノーマがシーグラム殺害の犯人なのかどうかというのはわかりません。
シーグラムはノーマの乳母でした。手に傷があり、自殺したようにみえましたが、検死によって窒息死であることが判明します。そして、自室に手紙を残していました。オリヴァが手紙を見つけますが、何者かに奪われてしまいます。オリヴァを襲った犯人が手紙を持ち去ったようですが、その正体は不明です。
伏線・手掛かり
シーグラム殺害やオリヴァ襲撃の謎を解く手掛かりをまとめます。
ノーマは自殺した母親の財産を受け取っており、盲目のロデリック卿と秘書が住んでいる屋敷もノーマの所有物でした。もしも、大金持ちのノーマが死亡した場合、財産は最も近しい親族である父と、屋敷を管理している人物、つまり大伯父が相続することになります。ノーマが殺人を犯していれば絞首刑となるため、殺人容疑で捕まれば、死んだも同然です。得をするのは父のアンドリューと大伯父のロデリック卿となります。なお、この内容は元家庭教師の証言によって発覚しています。
ノーマの財産ですが、ノーマが結婚している場合は配偶者に財産が渡ります。ノーマと恋人のデビッドが結婚した場合、財産はデビッドのものになります。
証言
ノーマ自身が人を殺したかもしれないと話しています。要領を得ない話ですが、どうやら、自分の部屋の引き出しにナイフがあり、気付いたら、元乳母シーグラムの死体のそばで、ナイフを持って立っていたようです。殺していないとは断言できない状態で、どちらか言えば、殺したと思っています。この話を知っているのは、父とポワロなどの限られた人物だけであり、事件を担当している警部補は知りません。
- 第一の女の告げ口
ノーマの証言を知らなかった警部補ですが、第一の女であり、なおかつノーマの父の秘書であるクローディアから、話を聞きます。クローディアは警察にノーマの証言を報せたことになります。 - 管理人
マンションの管理人は亡くなったシーグラムが、ここ半年ほど前から、お酒をよく飲むようになったと話しています。そして、シーグラムが死亡する前に、ノーマの父であるアンドリューに手紙を出していたことも話します。どうやら、ノーマは頻繁に、アンドリューは時々、シーグラムを訪ねていたようです。 - オリヴァ
ノーマのルームメイトたちが開いたパーティで、フランシスがアイスを持ってきたとき、ノーマは顔をしかめ、どこかへ姿を消しました。これは、オリヴァが証言した内容です。ノーマにはアイスに嫌な思い出があるようです。幼い頃、帰宅途中だったノーマは、誕生日の日に乳母にアイスをねだりました。そして、これが原因で帰るのが遅れてしまいました。帰宅すると母親が自殺を図っていました。もしも、アイスを買っていなければ、母は助かっていたかもしれない状況だったようです。
証拠
決定的な物証といえるのはオリヴァがみつけた手紙ですが、これは何者かによって盗まれてしまいました。オリヴァは遺書だと言っていますが、この手紙には、実は、犯人を告発するような内容が書かれていました。
- 経営状況
ポワロが警部補に問い合わせた書類には、アンドリューの会社について書かれていました。書類によれば、彼の会社は業績が悪化しており、二年ほど前から一切取引をしていませんでした。つまり、ほとんど機能していない会社といえます。 - 父の写真
ノーマの父親が出て行った時、母親が写真などを捨てており、屋敷に飾られている肖像画も消えています。ノーマの恋人であるデビッドは、ロデリック卿と会ってノーマの父親の写真を手に入れたようです。 - 空白の期間
元家庭教師のバタスビーはノーマの家庭教師を辞め、学園を創立しました。学園創立は1919年ですが、辞めたのは1917年頃のようなので、2年間の空白があることになります。
ネタバレ
犯人はフランシス・キャリーです。ノーマの腹違いの妹であるフランシスは、シーグラム殺害の罪をノーマになすりつけることで、死刑にしようとしていました。フランシスには共犯者がおり、それがアンドリュー・レスタリックです。ノーマの父と名乗っていたアンドリューですが、実は偽者で、本物のアンドリューは既に死亡していました。
アンドリュー・レスタリックは偽者で、本当の名前はロバート・オーウェンでした。どうやら、アンドリューとロバートは親友だったようです。
アンドリューの死後、ロバートはアンドリューになりすまして、アンドリューの会社を手に入れようとします。そこで、アンドリューが偽者であることに気付くであろう乳母のシーグラムを酒で買収し共犯者にしましたが、そうまでして手に入れた会社はほとんど価値のないものでした。
そんな折、ロバートの下に、フランシス・キャリーが現れます。フランシスの母は学園を創設した元家庭教師のバタスビーで、バスタビーはアンドリューが帰国したことを知り、彼と会っていました。このとき、アンドリューが偽者であることを知り、このことを娘のフランシスに話していました。
フランシスは正妻の娘であるノーマを恨んでおり、復讐の機会を伺っていました。そんなフランシスは偽のアンドリュー登場を絶好の機会と捉え、アンドリューになりましているロバートに共謀を持ち掛けました。
ロバートはノーマがいなくなれば財産を受け取れる立場にあるため、フランシスの申し出を受け入れます。こうして、ロバートとフランシスは共犯となり、ノーマにシーグラム殺害の罪をなすりつけるという計画が実行されます。
手口
まず、ロバートは、ノーマがフランシスのルームメイトになるよう斡旋しました。そして、ノーマと暮らすことになったフランシスは優しさをみせつつも、アイスなどを使ってノーマを追い詰めました。さらに、恋人のデビッドを奪おうとすることで、ノーマを孤立させました。
そして、乳母殺害の罪をノーマになりすけるため、全く同じナイフを二本準備しました。一本はノーマの引き出しに入れ、もう一方は枕で窒息死させた乳母の死体のそばに置きました。精神的に追い込まれていたノーマは自室でナイフを握り、さらに死体の近くでナイフを手にしたため、自分がやったように思い込んでしまいました。
なお、ノーマが部屋で握ったナイフは、のちにフランシスが回収しています。
オリヴァを襲ったのはロバート(偽アンドリュー)です。シーグラムが残した手紙には、アンドリューが偽者であるということが書かれていました。シーグラムがこのような手紙を残したのは、フランシスらによるノーマの抹殺計画を知ったためです。アンドリューが偽者であるというのは受け入れることができても、ノーマを殺すような計画には協力できなかったようです。
オリヴァが手紙を発見した時、部屋にはフランシスがいました。オリヴァが手紙を見つけたことを知ったフランシスはロバートに電話して伝え、ロバートはポワロとカフェのウェイトレスの電話を盗み聞きしてオリヴァの居場所を掴みました。
結末
ノーマが屋敷のバスタブで自殺を図った…。誰もがそう考えていたようですが、実はノーマは生きており、全てはフランシスによる凶行を防ぐためのポワロの策略でした。フランシスの犯行を未然に防いだポワロは、フランシスによる乳母殺害の真相を明らかにします。
不幸に見舞われたノーマは、父の親友だったというロバートに、父が娘をどのように話していたのか尋ねます。返ってきたのは「妻の金を独り占めする奴だ」という言葉でした。どん底のノーマでしたが、恋人のデビッドだけは、本当にノーマのことを想っているようでした。
感想
原題は「Third Girl(三番目の女)」で、原作とドラマは異なる点が多いです。登場人物達の設定、真相など、大きく異なりますが、依頼人が「人を殺したかもしれない」と相談にやってくる点は共通しています。なお、真犯人の名前だけは同じです。
父親はどこかへ旅立つし、旅立つ前に家庭教師と不倫して子供作ってるし、母親は自殺するし、帰ってきたと思っていた父は偽物だし、ルームメイトが異母妹だと思ったら殺したいほど憎まれているし、という疾風怒濤の不幸に見舞われたノーマでした。三度目の登場となるオリヴァ夫人ですが、この方がだんだん好きになってきました。執事のジョージにも同じような感想を抱いています。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「第三の女」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 殺人に関する相談 |
| 事件分類 | 自殺 |
| 謎 | 自供の真偽 |

