名探偵ポワロ第68話・S13E3『死者のあやまち(Dead Man’s Folly)』のあらすじ、トリック、ネタバレ解説です。祭りの余興で殺人推理ゲームを催すこととなったオリヴァ夫人が、殺人を予感しポワロに助けを求めます。
あらすじ
嵐の夜に、ジョージ卿とハティがナス屋敷へとやってくる…。
1年後。緊急を要する手紙でオリヴァ夫人に呼び出されたポワロは、車でナス屋敷へと向かいます。片言の言葉をしゃべる外国人の旅行者――近くのユースホステルに宿泊しているらしい彼女達は、のちに、近道のためにナス屋敷に侵入し主のスタッブス卿に怒鳴られる――と遭遇しつつ、ポワロがオリヴァ夫人のもとに辿り着きます。どうやら、オリヴァ夫人は、翌日に控えた祭りで行われる殺人推理ゲームでの殺人を予期しているようでした。
ナス屋敷の住人やナス屋敷の元持ち主、そして隣人達が慌ただしさをみせる中、ポワロの前に、殺人推理ゲームで死体役のマーリーンが現れます。そしてマーリーンが「女を殺してそのまま森に埋めた」という意味深な発言をします。
翌日、祭りが始まり、ナス屋敷の主であるスタッブス卿の妻・ハティが姿を消します。ハティは、その日の朝に、いとこ来訪の手紙を受け取って取り乱したり、前の日の夕食中には突然席を立ったりしており、不審な行動が目立っていました。
ハティの居場所がわからぬまま、殺人推理ゲームは始まり、そして、いとこのエティエンヌ・ド・スーザがナス屋敷へとやってきます。そのすぐあとに、ボート小屋で、死体役を演じているはずのマーリーンが、本当に死体となって発見されます。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
お人形さんをもらったポワロ
登場人物とキャスト
ポワロとオリヴァ夫人以外の登場人物です。オリヴァ夫人はこの回が最後の登場となります。
- ジョージ・スタッブス卿
ナス屋敷の主。 - ハリエット・スタッブス
ハティと呼ばれている。スタッブス夫人。爵位をもつジョージの妻であるが、理知的な印象はない。祭りの最中に行方不明となる。 - アマンダ・ブルイス
スタッブス卿の秘書。 - エイミー・フォリアット
ナス屋敷の元持ち主。今はナス屋敷の小屋に住んでいる。夫や二人の息子を戦争や事故で亡くしてる。その後、身寄りのなかったハティを引きとった。 - エティエンヌ・ド・スーザ
ハティのいとこ。お祭り当日にヨットでナス屋敷を訪問する。 - マーリーン・タッカー
被害者。殺人推理ゲームの死体役で、本当に死体になってしまう。 - ガーティー・タッカー
マーリーンの妹。終盤に登場する。 - ジョン・マーデル
船着き場のおじさん。実はマーリーンとガーティーのおじいちゃん。酔って川に落ち死亡する。 - サリー・レッグ
レッグ夫妻。ナス屋敷の隣人。お祭りで占い師を演じることになった女性。 - アレック・レッグ
レッグ夫妻。生物学者。具合が悪そうな雰囲気の男性。破滅的な思想をポワロに話している。 - マイケル・ウェイマン
建築家。東屋を建てたことなどなど、スタッブス家をボロくそに言っている。 - ワーバートン夫妻
中高年の夫婦。夫の名前はジムで大柄の男性、陸軍の大尉。妻はイニッド。ドラマ12分前後で、レッグ夫妻とともにポワロに挨拶しているが、その後はあまり登場しない。
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Sir George Stubbs スタッブス卿 |
Sean Pertwee |
| Hattie Stubbs ハティ |
Stephanie Leonidase |
| Mrs. Amy Folliat フォリアット夫人 |
Sinéad Cusack |
| Sally Legge サリー |
Emma Hamilton |
| Alec Legge アレック |
Daniel Weyman |
事件のまとめ・謎
スタッブス卿夫人であるハティ(ハリエット・スタッブス)の行方がわかりません。ハティ失踪とマーリーンの殺人との関係も不明です。
祭りの殺人推理ゲームで死体役だったマーリーンが首を絞められて殺されてしまいます。
マーリーンは、ポワロに対して何かを知っていそうな口ぶりでしたが、誰の秘密を知っていたのかはわかりません。また、「森に埋めた」という発言と、訳ありの東屋は繋がっていそうですが、具体的には何もわかりません。東屋は1年前の嵐の日のあとに建てられました。スタッブス家は、どうしてもあの場所に建てたかったようです。
祭りのときは、ご機嫌だったハティがどこかへ消えてしまいます。このハティは様々な謎を残しており、トラブルメーカーといえます。
- 夕食のとき、突然せきを立つ
- いとこ(正確には、またいとこ)の来訪を知り荒れる
- いとこは“人殺し”だと声を荒らげる
- マーリーンにお菓子を運ばせる
マーリーンの殺害、ハティの失踪に続いて、ジョン・マーデルという船着き場の男性が酔って川に転落し、死亡します。マーデルはナス屋敷の前の持ち主であるエイミー・フォリアットの家庭事情について詳しいようです。
なお、のちにマーデルはマーリーンの祖父であったことが判明します。
伏線・手掛かり
オリヴァ夫人の直感の通り、殺人推理ゲームで、本物の殺人事件が起きます。ゲームのシナリオを考えたのはオリヴァ夫人ですが、どうやら、数々の変更があったようです。作中では明確に語られていなかったと思いますが、この変更が、オリヴァ夫人に殺人を予感させたようです。
ドラマで語られる変更点は下記の通りで、この中には、終盤や解決編で明かされるものもあります。
- 死体役はサリーだったが、マーリーンに変更された
- ゲームの死体発見場所はパビリオンだったが、東屋という案が持ち上がり、結局ボート小屋になった
- マンガへの書き込みは、もともと「見よハイカーのザックを」だった(ハイカー:歩いて旅行する人)
マーリーンの死体がみつかったボート小屋には鍵がかけられていました。小屋の鍵は三つあったようですが、いずれも殺人時に使われた形跡はなさそうでした。
そして、殺人推理ゲームでは、参加者が庭に隠された小屋の鍵をみつけ、ボート小屋の死体をみつけるという流れだったため、死体役だったマーリーンが自ら鍵を開けることはありません。
もしも、マーリーンが鍵を開けるとすれば、それは主催者側の人間が訪れたからであり、該当するのは、スタッブス卿と妻のハティ、秘書のブルイス、オリヴァ夫人、レッグ夫妻、建築家のマイケル・ウェイマン、ローバートン夫妻、そして、ホリアット夫人となります。
このうち、ローバートン夫妻には祭りで忙しくしていたというアリバイがあります。
証言
秘書のブルイスが、被害者のマーリーンにお菓子を運んでおり、このときマーリーンはまだ生きていたようです。秘書によれば、お菓子を運ぶように指示したのはハティらしいですが、ハティは人を気づかうような性格ではありません。
なお、指示したのは、フォリアット夫人ではないかという話もでてきますが、夫人は否定しています。
スタッブス卿はハティと建築家ウェイマンの関係を疑っています。そして、秘書が二人は男女の関係だったと話しています。秘書は、夕食の時にハティが席を立ったのは密会のためだったと考えているようです。密会かどうかは定かではありませんが、席を立った30分後に、ハティがこっそり屋敷を出て行ったのは間違いないようです。
証拠
ハティの被っていた派手な帽子が川辺でみつかり、さらに、エティエンヌ・ド・スーザの服の中からハティが身につけていた指輪がみつかります。この指輪が決定的な証拠となり、エティエンヌ・ド・スーザは逮捕されます。警察の見立ては、エティエンヌ・ド・スーザがハティを殺し、犯行をマーリーンに目撃されたため、マーリーンも殺したというものです。
ただし、ハティの死体はみつかっていません。
東屋でアクセサリーらしきものの一部が見つかっていますが、これは祭りで占いをやっていたサリーの持ち物です。サリーは建築家のマイケル・ウェイマンと不倫をしており、二人は祭りの最中に、東屋で密会していました。
サリーとマイケルは、不倫を隠すために、嘘の証言をしています。サリーの場合は、祭りでお茶をしたという嘘をつき、マイケルはパブにいたと嘘をついています。
サリーの夫であるアレックは、サリーのことを諦めているようでしたが、ポワロに助言され、サリーを引き止める決心をします。
なお、ポワロが金属の何かをみつけています。みつけた場所はパビリオンで、みつけた物はバックルでしたが、事件との関係は不明です。
ネタバレ注意)
マーリーンを殺したのはハティで、ハティは片言の旅行者に変装して逃亡していました。マーリーンはジョージ・スタッブスがフォリアット夫人の次男であることを知り、ジョージをおどしていました。マーリーンにジョージのことを教えたのは、祖父のジョン・マーデルで、マーデルを殺したのは、ジョージ・スタッブスです。
フォリアット夫人とジョージ・スタッブス卿は親子で、二人はこのことを隠していました。理由は、ジョージ(本名はジェームズ・フォリアット)がメイドを暴行して殺したためです。フォリアット夫人は次男が飛行機事故で死亡したと話していましたが、これは嘘で、罪を犯したジェームズは海外に送り飛ばされていました。
フォリアット夫人はジェームズと縁を切ったつもりでいましたが、その後、ジェームズが英国に戻ってきてしまいます。このとき、彼が母であるフォリアット夫人にお家再興を持ち掛け、夫人が面倒をみていたハティを利用する計画を立てます。
ハティはとても裕福な家庭に生まれた女性でしたが、知能に遅れがみられ、利用しやすい人物でした。
そこでジェームズらは、まずハティの実家の破産を捏造し、その後、ジェームズがなりすましたジョージ・スタッブス卿とハティの結婚を促しました。弁護士を使ってハティにサインさせるなどし、最終的にジョージは莫大な財産を手に入れることになり、ナス屋敷も取り戻します。
しかし、ジョージにはイタリアのトリエステという場所で出会い、結婚したイタリア女がおり、この女が離婚を頑なに拒否します。
面倒な人物を抱えることになったジョージは、嵐の夜、イタリアからナス屋敷へと到着したその日に、本物のハティを殺害。ナス屋敷にはもちろん、英国に本物のハティを知る者はいないため、イタリア女がハティになりすまします。そして本物のハティの死体は森に埋め、その上に東屋を建設します。
ジェームズによるお家再興計画はうまくいったようにみえましたが、ジョージ・スタッブス卿とジェームズ・フォリアットが同一人物であることを知る人物が現れます。マーリーンとジョン・マーデルです。ジョージらは、まず殺人推理ゲームを利用してマーリーンを始末する計画を立て、さらに、マーデルも水難事故にみせかけて殺害します。
実行犯となる偽ハティは、ハイカーに変装して一足先に高飛び先へと向かいます。偽ハティとハイカーが同一人物ではないようにみせるため、ジョージがハイカーを怒鳴ってそこにはいない妻に話し掛けたり、偽ハティが夕食の後に屋敷を抜け出してユースホステルに宿泊したりしていました。
なお、パビリオンにあったバックルは、偽ハティがハイカーに変装するときに落としたものです。そして、パビリオンが死体発見場所にならなかったのは、変装場所に使うためでした。
マーリーン殺害は、いとこのエティエンヌ・ド・スーザに濡れ衣をきせさせることで、完結させようとしていました。
ド・スーザの上着に宝石を入れたのはジョージで、初対面のときにこっそり忍ばせていました。ド・スーザは手紙を3週間前に出したと話していましたが、これは本当のことだったようです。ジョージや偽ハティは、ド・スーザを疑わせるため、いとこからの手紙が突然届いたようにみせ、さらに、殺人者呼ばわりしていたようです。
結末
ポワロはフォリアット夫人に全ての真相を話します。警察が東屋に埋められた本物のハティの死体を掘りかえそうとする中、フォリアット夫人はポワロに、ジョージと話す時間を設けるよう願い出ます。ポワロは承諾し、夫人はジョージのいるナス屋敷へと向かいます。
ポワロやオリヴァ夫人、そして、警官達がナス屋敷を見守っていると、二発の銃声が響き、ポワロがBonと一言発します。
感想
ポワロの最後の“Bon”はシリアスなボンでした。このボンには、ポワロが二人の死を容認したという意味があるようです(ほんとうに死んだのかどうかはわかりません)。原作とドラマのストーリーはほぼ同じです。しかし、ドラマ化にあたって、登場人物の設定やラストシーンの改変があります。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「死者のあやまち」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 殺人が起きそう |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 妻の行方 |

