名探偵ポワロ第66話・S13E1『象は忘れない(Elephants Can Remember)』のあらすじ、トリック、ネタバレ解説です。13年前の心中事件をオリヴァ夫人が、老人殺害の事件をポワロが捜査するというエピソードです。このエピソードがファイナルシーズンの第1話となります。
あらすじ
推理作家のアリアドニ・オリヴァは、授賞式でバートンコックス夫人に話し掛けられます。夫人はどうやら13年前に起きたレーブンズクロフト夫妻心中事件の真相を知りたがっているようでした。同じ頃、ポワロはウィロビー研究所の地下で見つかった死体の調査を依頼されます。
オリヴァは13年前の心中事件について真相を確かめるため、関係者から話を聞きます。しかし、有力な証言は得られず、混沌としてしまいます。一方、ウィロビー研究所の殺人事件を調べるポワロはデスモンドという青年が、ウィロビー研究所で治療を受けていたことを知ります。デスモンドはシリアの婚約者で、シリアは心中事件で死んだ夫妻の娘でした。
2つの事件が緩やかに繋がりをみせる中、ポワロとオリヴァは、心中事件の担当刑事ビル・ギャロウェイから事件の詳細を知ります。
実は、心中で亡くなったとされているマーガレット・レーブンズクロフトには、姉がおり、その姉が心中事件の数週間前に死亡しているようでした。姉の名前はドロシア・ジャロー。そして、マーガレットとドロシアは双子の姉妹だったことも明らかになります。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
「ポワロは私の助手です」
登場人物とキャスト
ポワロ以外の登場人物です。このエピソードではアリアドニ・オリヴァが活躍します。
- シリア・レーブンズクロフト
オリヴァが名付け親となった娘。13年前に両親が心中している。 - アリステア・レーブンズクロフト
シリアの父親。元将軍。故人。 - マーガレット・レーブンズクロフト
シリアの母親でアリステアの妻。故人。 - ドロシア・ジャロー
マーガレットの姉。夫を戦争で亡くし病んでしまう。子供が二人いるが一人は溺死している。 - デスモンド・バートンコックス
シリアの婚約者。ピアノ演奏者。やや過剰な記憶力を持つ。 - バートンコックス夫人
オリヴァに心中事件の調査を依頼した女性。デスモンドは養子。 - デビッド・ウィロビー
精神科医。 - ウィロビー博士
被害者。ウィロビー研究所で死んでいた老爺。双子の研究をしていた。 - マリー・マクダーモット
デビッドの秘書で事務仕事をこなす。 - ジュリア・カーステアズ
オリヴァが最初に話を聞いた女性。オリヴァ夫人の友人。 - マッチャム夫人
ばあや。話が断片的で、謎めいている。オリヴァ夫人の友人。 - バックル夫人
ばあやの家にいた女性。 - ゼリー・ルーセル
外国人。心中事件の時、レーブンズクロフト邸にいた秘書。所在不明。 - ビル・ギャロウェイ
心中事件の担当刑事。既に引退している。 - ローゼンテル夫人
カツラ屋の女性。
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Celia Ravenscroft シリア |
Vanessa Kirby |
| Marie マリー |
Alexandra Dowling |
| Desmond Burton-Cox デスモンド |
Ferdinand Kingsley |
| Lady Ravenscroft マーガレット |
Annabel Mullion |
| Dorothea Jarrow ドロシア |
Claire Cox |
事件のまとめ・謎
心中事件は、妻が夫を撃って妻が自殺したのか、それとも、夫が妻を撃ったのか、はたまた、第三者が関わっているのかというのが判然としません。ただし、拳銃の指紋などを根拠に、この事件は心中として処理されているようです。心中事件とウィロビー博士殺害のつながりもまた明確ではありません。
ウィロビー研究所で死んでいたのは、ウィロビー博士という老人で、水治療の浴槽に沈められていました。博士はすでに引退していたようで、息子のデビッドが研究所を引き継いでいるようです。
13年前の1925年、レーブンズクロフト夫妻が心中をはかり、どちらも亡くなりました。
この事件を蒸し返したのはバートンコックス夫人で、養子のデスモンドが、心中で死んだ夫妻の娘と結婚しようとしているため、真相を知りたがったようです。話し掛けられて、とても迷惑そうな雰囲気を出していたオリヴァ夫人ですが、断り切れず、調査を引き受けます。死んだ夫妻の娘であるシリアに直接話を聞いてもいますが、シリアは何も知らないようです。
シリアの婚約者であるデスモンドに関しては、何者かに襲われています。彼は、その昔、ウィロビー研究所に通院していたようですが、事件とのつながりや襲われた理由は不明です。
伏線・手掛かり
博士の殺人と心中の真相を見抜く手掛かりです。
レーブンズクロフト夫妻の心中は13年前の事件ということもあり、証拠と呼べそうなもの登場せず、ほぼ証言といえます。
なお、心中に使われた拳銃には、夫妻の指紋しか残っていませんでした。しかし、どちらが先に触ったのかまでは判断できなかったようです。また、妻の方の死体には、犬がかみついた跡がありました。
なお、デスモンドの実の母親はお金持ちだったらしく、息子のデスモンドに遺産を残していました。この遺産は、デスモンドが25歳を迎えた時、もしくは結婚した時に受け取れるようです。財産を管理しているのは、養母であるバートンコックス夫人です。
証言
オリヴァが心中事件の関係者に話を聞いていますが、むしろ謎が深まる結果に終わっています。まとめると次のようになりますが、あまりあてにはなりません。重要なのはカツラが4つあったと、愛犬がかみついたという話です。
- 夫妻はインドに滞在していた
- 秘書がアリステア・レーブンズクロフト将軍の回顧録を筆記していた
- 将軍と秘書は不倫していた、かもしれない
- マーガレット・レーブンズクロフトは病気、ガンだった、かもしれない
- マーガレットはカツラを4つ持っていた(普通は2つ)
- レーブンズクロフトの一家に精神を病んでいる人がいた
- 治療を受けていた
- マーガレットには姉妹がいたが結婚式には出席していない
- 幼児を溺死させた
- 愛犬は忠実だったがかみついたりもした
ビル・ギャロウェイ警視が心中事件について語ってくれます。内容は以下の通りです。
マーガレット・レーブンズクロフトにはドロシアという姉がいた。ドロシアは軍人と結婚したのだが、その夫は戦死してしまう。夫とドロシアの間には、二人の子供がいた。しかし、下の男の子は溺死。ドロシアは、男の子の姉、すなわち自分の娘が殺したと主張していたのだが、のちにそれは嘘であることがわかる。殺したのはドロシア自身だった。捕まったドロシアは、尋問中に心神喪失となる。精神治療のため入院し、ある一定の効果が認められ、退院しレーブンズクロフト一家のもとへ帰される。心中事件のとき、ドロシアは既に死んでいた。精神安定剤を大量に摂取し、夢遊病状態となって崖から転落した。翌朝まで発見されず、そのまま死亡した。直後に妹のマーガレットが錯乱状態となり2週間入院。退院後、3日後に、心中事件が起きたという。
マーガレットは4つのカツラを持っていました。そのうち2つは心中事件の3週間前に新調したようです。心中する前にヅラを新しくするだろうか、という疑問が浮かびます。
ウィロビー研究所のデビッドは、事件があったとき、実は秘書のマリーと不倫の真っ最中でした。デビッドは最初、妻にアリバイの偽証を依頼したようですが、断られたようです。不機嫌そうにしてたデビッドの妻ですが、どうやら夫の不倫を知っているようです。デビッドはマーガレットとドロシアが双子だったことや、ドロシアがウィロビー研究所で水治療を受けていたことなどをポワロに伝えています。さらに、アリステアが最初に好意を寄せたのはドロシアの方だったということも話しています。
- マリー
秘書のマリーもデビッドと一緒だったことを認めています。ポワロに3月17日の行動について問われていますが、特に何も答えていません。 - ゼリー
デスモンドの記憶力によってゼリーの居場所が判明します。ゼリーは心中事件が起きたとき、夫妻の自宅にいた人物で、彼女は心中事件の真相を知っているようです。
ネタバレ
心中事件で死んだのはマーガレットではなく、姉のドロシアでした。心中の前に死んだとされていたドロシアですが、このとき殺されたのが実はマーガレットでした。マーガレット殺害の犯人はドロシアで、このことを知った夫のアリステアが、ドロシアを撃ち、自殺しました。
ウィロビー博士を殺した犯人はマリー・マクダーモットで、彼女はドロシアの娘でした。
ドロシアは精神的に病んでいました。その原因は、アリステアと妹の結婚や夫の戦死で、これらの不幸な出来事が重なり、息子を溺死させてしまいました。逮捕後、治療を受けることになりますが、ウィロビー博士の水治療は、むしろ症状を悪化させてしまったようです。
それでも退院したドロシアは、自分の妹であるマーガレットを崖から突き落としてしまいます。ドロシアはアリステアの夫という立場を望んでおり、彼女にはマーガレットが邪魔でした。
マーガレットが死に、夫のアリステアはドロシア殺害を計画します。計画を知っていた秘書のゼリーはアリステアに協力していました。
なお、カツラを新調したのはドロシアをマーガレットにみせるためであり、愛犬がかみついたのはドロシア(偽のマーガレット)だったためです。
オリヴァに心中事件の調査を依頼したバートンコックス夫人ですが、その目的は、デスモンドの結婚を阻止することにありました。どうやら夫人はデスモンドの遺産を使い込んでいたようです。そもそも、夫が殺したのか、それとも妻なのかという問題には関心がありませんでした。
博士を殺したのはマリーで、マリーはドロシアの娘でした。動機は復讐です。マリーはドロシアからの手紙で水治療について知っていました。手紙では伝わらなかったようですが、水治療の施設をみて、具体的に理解したようでした。
なお、デビッドの妻に不倫を教えたのは、マリー自身です。そして、デスモンドを襲ったのもマリーです。マリーはシリアのことも恨んでおり、シリアの恋人を殺すことで、シリアを苦しめようとしていました。
結末
シリアが、かつて両親が暮らした屋敷へ足を運ぶと、そこにはマリーがいました。マリーに殺されそうになるシリアでしたが、間一髪のところで助け出されます。その後、ポワロが真相を明かしマリーは連行されます。
感想
話している途中で寝てしまう“ばあや”が可愛かったです。原作には、ドラマにおいてポワロが捜査していた研究所の殺人事件が登場しません。この事件の犯人もドラマオリジナルの登場人物です。原作は過去の心中事件がメインのエピソードとなっています。ドラマではタイトルの意味が語られませんが、これは、象は記憶力が高いので復讐を忘れないという意味のことわざです。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「象は忘れない」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 殺人の調査 |
| 事件分類 | 殺人及び心中 |
| 謎 | 心中の真相 |

