名探偵ポワロ第67話・S13E2『ビッグ・フォー(The Big Four)』のあらすじ、トリック、ネタバレ解説です。ビッグ・フォーという謎めいた組織の陰謀が関わる事件です。ヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警部など、お馴染みのメンバーが久しぶりに登場します。
あらすじ
ポワロの葬儀がしめやかに執り行われる……。そこには、ポワロの友人であるヘイスティングス大尉、ミス・レモン、ジャップ警部の姿があった。
4週間前、新聞記者のタイソーが外務省の官僚にビッグ・フォーの存在を訴えますが、取り付く島もないようすで、まったく相手にされていませんでした。
ちょうど同じ頃、平和党の集会に参加したポワロは居合わせたジャップ警視監とともに、チェスの対局を観戦します。しかし、対局の途中でロシアのチェス王が倒れ、死んでしまいます。
自然死と思われたチェス王でしたが、ポワロがチェスに仕込まれた電気装置を発見し、チェス王は感電死だったことが明らかになります。ポワロとジャップ警視監は、平和党の幹部でチェス王の対戦相手だった富豪・ライランドに事情を聞こうとしますが、そのライランドも失踪してしまいます。
直後に、平和党の指導者であるリー・チャン・イェンの伝記を書いた作家が殺害される事件が発生し、ビッグ・フォーについて探っていた新聞記者・タイソーの目の前で、人殺しが発生してしまいます。
知っていることを話していなかったタイソーでしたが、目の前で人が死んだため、全てをポワロ達に話す決断をします。その内容は、ビッグ・フォーを名乗る謎の組織から、予告状めいた手紙を受け取っていたというものでした。さらに、タイソーの目の前で死んだ身元不明の男のポケットには、そのメンバーの4人を示唆するカードが入っていました。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
モナミ
登場人物とキャスト
ポワロ、ヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警部(警視監という役職になっています)、そして、執事のジョージ以外の登場人物です。
- タイソー
新聞記者。ビッグ・フォーについて調べている。 - エイブ・ライランド
大富豪。平和党の幹部。ロシアのチェス王を招いて対局する。 - アイヴァン・サヴァロノフ
被害者。ロシアのチェス王。ライランドとの対局中に突然死する。 - レジーヌ・オリヴィエ
平和党の幹部。研究者。 - スティーブン・ペインター
被害者。平和党支持者。オリヴィエと手をつないでいる。 - ダイアナ・ペインター
スティーブンの妻。 - ジェラルド・ペインター
スティーブンの甥。おじであるペインターとは因縁がある。 - クエンティン
ペインターの家庭医。なかなか名前を憶えてもらえない。 - リー・チャン・イェン
平和党指導者。集会は欠席している。伝記のカバー写真でのみ登場する人物。 - ジョナサン・ウォーリー
被害者。リー・チャン・イェンの伝記を執筆した作家。仲の悪い甥がいる。 - ロバート・グラント
ウォーリーの使用人。最近出所したばかり。 - アンドリュース
ウォーリーの家政婦。 - フロッシー・モンロー
劇団の女性。「口づけを4つ」と書かれたカードなどを受け取っている。
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Tysoe タイソー |
Tom Brooke |
| Madame Olivier オリヴィエ |
Patricia Hodge |
| Dr. Quentin クエンティン |
Simon Lowe |
| Flossie Monro フロッシー |
Sarah Parish |
事件のまとめ・謎
ビッグ・フォーの正体が一番の謎といえます。新聞記者のタイソーが受け取った情報提供によれば、列車事故やインドの暴動もビッグ・フォーの仕業で、彼らはチェス王の死や、伝記作家の死も予告していました。
なお、殺人事件が何度か発生しますが、いずれも、犯人を除き、手口などはあっさりと明かされます。以下、ドラマの時系列順に事件をまとめます。
- 最初の事件
ロシアのチェス王アイヴァン・サヴァロノフが突然死します。凶器となったのはチェスの駒で、特定のマスに特定の駒を置くとプレイヤーに電流が流れる仕組みになっていました。サヴァロノフは高齢だったため、電流によってショックを起こし亡くなってしまいます。そして、チェス王の他殺疑惑が浮上したすぐ後に、対戦相手だったエイブ・ライランドが姿を消します。 - 二つ目の事件
ホッパトンという街でリー・チャン・イェンの伝記を書いたジョナサン・ウォーリーが何者かに殺されます。グラントという使用人が逮捕されますが、彼は、象牙の置物を盗んだだけで、殺人犯ではありませんでした。他には、ジョナサンの甥が容疑者に上がっています。 - 三つ目の事件
タイソーの名前を呼んだ男性が、タイソーの目の前で刺殺されます。この男性の身元はわかりませんが、古い上等の服を着ています。男が殺された理由は、ビッグ・フォーを裏切ってタイソーに情報提供しようとしたためだと考えられています。 - 四つ目の事件
平和党の支持者だったペインター氏も殺害されます。顔を焼かれており、かなり残虐な殺し方でした。ウォーリー氏のときと同じように、被害者の甥が容疑者となっています。ペインターとの不倫が疑われていたオリヴィエも、どこかに姿を消してしまいます。この時点で、ライランドやオリヴィエはビッグ・フォーの一員であるという見方が強まります。 - 五つ目の事件
メトセラ劇団について調べていたポワロに、誰かから電話がかかってきます。その後、ポワロが向かったアパートメントで爆発が起きます。この爆発の後、ポワロの葬儀となり、かつての友人達が集まります。劇場の女性に贈り物やカードが届いています。この女性の名前はフロッシー・モンローで、メトセラ劇団に所属していました。メトセラ劇団は、ホッパトンで死んだウォーリー氏の甥が熱を上げていた劇団です。
犯人がチェス王の打ち手を予め予想していなければ、電流を流すことはできません。しかし、チェス王はルイ・ロペスという駒の動かし方を用いることで有名だったため、誰でもトリックを仕掛けることが可能でした。
伏線・手掛かり
ビッグ・フォーの正体を見抜くヒントは、あまり登場しません。唯一手掛かりといえそうなのは、新聞記者の目の前で死んだ男のポケットに入っていたカードです。
カードは4枚あり、それぞれに番号が振られていました。1が“東”という文字が書かれたカード、2はモノポリーのチャンスカード、3がフランス語で書かれたトランプのクイーン、そして、4がタロットの大アルカナのひとつでした。
カードから、ビッグ・フォーのNo.1が中国人のリー・チャン・イェン、No.2が富豪のライランド、No.3がオリヴィエ夫人であると推測されますが、No.4に関しては、誰なのかわかりません。
各殺人事件に登場する証拠は次の通りです。なお、一部証言も含まれています。
最初の事件
- 被害者がチェスのコマを握りしめていた
- 他よりも重いチェスのコマがある
- チェス王はルイ・ロペスが定跡
- 特定のマスに特定のコマをおくと電流が流れる
二つ目の事件
使用人のグラントは殺人犯ではありません。彼は死体の第一発見者でしたが、前科があったため、殺人を疑われると思い、象牙だけ盗んで、黙っていました。
- 死体のそばにグラントの靴と同じ足跡
- グラントのベッドの下から象牙の置物がみつかる
- 2カ月前に出所したばかりのグラントは神父に仕事を紹介してもらったが神父は偽者だった
- 凍ったマトン(肉の塊)があったことから犯人は食肉業者に変装したと推理される
三つ目の事件
前述の4枚のカードが証拠です。身元は最後まで判明しません。
四つ目の事件
- 被害者のペインター氏とオリヴィエの不倫を匂わせる会話
- 顔が焼かれていたが誰も悲鳴などは聞いていない
- ダイイング・メッセージのg
- 被害者はゲルセミンを盛られていた
- オリヴィエは研究者としてゲルセミンを扱っていたはずである
ネタバレ
殺人犯はクエンティンで、ビッグ・フォーなどという組織は存在しませんでした。クエンティンの正体は、ポッパトンで死んだジョナサン・ウォーリーの甥です。舞台女優であるフロッシー・モンローに自分が凄い人物であることを認めさせるため、ビッグ・フォーをでっち上げました。
クエンティンは、まず新聞記者のタイソーに意味深な内容の情報を送り、ビッグ・フォーの存在を信じ込ませました。タイソーがビッグ・フォーを信じたことで、ポワロやジャップ警視監も、その盲信に巻き込まれてしまいました。
チェス王の殺害、ライランド失踪、ウォーリー氏殺害、謎の男の殺害、ペインター氏の殺害、オリヴィエの失踪、ポワロの爆殺など、全ての犯行はクエンティンひとりによるものです。共犯者はいません。
ウォーリー氏(クエンティンにとってのおじ)の殺害では、食肉業者に変装して侵入し犯行に及びました。このとき、使用人のグラントに罪をきせようとしています。
タイソーの目の前で死んだ男は浮浪者で、クエンティンが仕込んだ人物でした。
ペインター氏殺害時にgのダイイング・メッセージを残したのもクエンティンで、ペインター氏の甥であるジェラルドに疑いがかかるようにしていました。
ポワロが爆発に巻き込まれて死んだように思えましたが、死んでいません。危険を察知したポワロは爆発前に避難していました。そして、犯人を油断させておびき出すために、死んだふりをしていました。
ペインター氏とオリヴィエは本当に不倫をしていました。ペインター氏の妻が、直接オリヴィエを問い質していましたが、この時、オリヴィエは白を切っています。
結末
呼び出されたフロッシーが薄気味悪い劇場に入ると、舞台には、ゲルセミンで動きを封じされたライランドとオリヴィエの姿がありました。そこに現れた犯人のクエンティンは愛するフロッシーと共にその場を立ち去ろうとしますが、そこにポワロが姿をみせます。
すべての真相を明かしたポワロに対して、クエンティンは銃をもって襲い掛かろうとしますが、タイソーがおろした緞帳の下敷きになり死亡します。
事件解決後、ポワロの死を信じてどこかへと飛び出していったヘイスティングス大尉がポワロと再会します。
感想
久しぶりのメンバー登場に感動です。新メンバー的存在のジョージと共演もしています。推理作家のオリヴァ夫人もいたらよかったなと思ったりもします。なお、原作とドラマは大きく異なります。ドラマではポワロの旧友が再登場しておりますが、原作小説にこのような趣きはありません。展開など、似ている部分もありますが、発端や結末などは違っております。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「ビッグ・フォー」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | – |
| 事件分類 | 連続殺人 |
| 謎 | ビッグフォーの正体 |

