ドラマ第61話・S11E4『死との約束(Appointment with Death)』のあらすじ、ネタバレ解説です。1937年にシリアでポワロは遺跡の見学へ向かい、そこでボイントン一家の殺人事件に遭遇します。
あらすじ
ボイントン卿の発掘を見学するため、シリアのホテルで出発までの一時を過ごすポワロ。ホテルにはボイントン卿の家族も滞在しており、ボイントン夫人も一緒でした。新聞がないとがなり立てる夫人には、児童虐待の噂が広まっており、確かに、子供達を支配するような振る舞いをしては、恨みをかっている様子でした。
発掘現場のキャンプへ出発する当日、思いの外おんぼろの車に乗り込んだのは、ポワロと精神科医のジェラール、部屋を間違えたシスター、熱射病で倒れた女性医師、成金らしいアメリカ人、そして、ボイントン卿の連れ子でした。途中、ウェストホルム卿夫人が颯爽と現れ、ポワロ達と共に発掘現場へ向かいます。一方、ボイントン一族は、ぼろい車の前を走る屋根付きの車で発掘現場へと向かいます。
その日の夜、レナードと地元の少年のやり取りを目撃したポワロは、翌朝、ボイントン卿と共に遺跡を見学します。そこで語られたのは、男と死神の話でした。酒場で死神に遭遇した男は、死神から逃れようとしますが、逃亡先で再び死神と遭遇してしまいます。死神は男に、酒場での遭遇は予期していなかったと伝えます。
その後、朝食を迎えたポワロはボイントン夫人がハチに刺される様子を目撃します。夫人は見学ツアーに参加せず、キャンプに残るようでした。その他、ボイントン卿と息子のレナードも発掘のため残り、その他は全員見学ツアーへと向かいます。しかし道中、マラリアを患った様子の精神科医のジェラールが発作を起こしてしまいます。介抱のため、ジニーとレイモンドが付き添い、ジェラールをキャンプへと送り届け、その後、ジェラールとジニーは二人で過ごします。
全員がキャンプに戻りしばらくして、ボイントン卿が叫び声をあげます。一同はボイントン夫人が日光浴をしていた東屋に集まり、夫人の下に、ウェストホルム卿夫人と医師のサラが駆けつけます。ボイントン夫人はどうやら、ノミのようなもので刺され死亡しているようでした。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
ポワロの睡眠
登場人物とキャスト
ポワロとカーバリ大佐以外の登場人物です。
- レオノラ・ボイントン
被害者。ボイントン卿とは再婚で連れ子が三人いる。その三人の子供達を虐待しており、噂も広まっている - ボイントン卿
考古学者。夫人の援助のもと遺跡を発掘する。レオノラの夫。連れ子は一人 - レイモンド・ボイントン
レオノラの息子。熱射病の女性を助ける - キャロル・ボイントン
レオノラの娘 - ジニー・ボイントン
レオノラの娘。情緒不安定な様子 - レナード・ボイントン
ボイントン卿の息子。タクシーの運転手に金を払わない男。屋敷の管理に苦労しているが、ボイントン夫人からは一銭も受け取っていたない - ナニー・テイラー
ボイントン家の乳母。ばあや - テオドール・ジェラール
精神科医。ホテルでポワロに挨拶した男。見学ツアーで具合が悪くなる - セリア・ウェストホルム
自由人。見学ツアーに颯爽と現れた女性。ウェストホルム卿夫人 - ジェファーソン・コープ
発掘の見学にやってきた男。タクシーの支払いで、成金のアメリカ人らしく振舞う - サラ・キング
医師。熱射病で倒れた女性。レイモンド・ボイントンに好意を寄せている - アニエシュカ
シスター。ジニー・ボイントンの部屋に闖入する
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。ボイントン夫人を演じた俳優さんはドラマ「レディ・フランシスの失踪(シャーロック・ホームズの冒険)」でフランシス嬢を演じておられました。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Lord Boynton ボイントン卿 |
Tim Curry |
| Lady Boynton ボイントン夫人 |
Cheryl Campbell |
| Raymond Boynton レイモンド |
Tom Riley |
| Carol Boynton キャロル |
Emma Cunniffe |
| Jinny Boynton ジニー |
Zoe Boyle |
| Leonard Boynton レナード |
Mark Gatiss |
| Dr. Gerard ジェラール |
John Hannah |
| Celia Westholme ウェストホルム卿夫人 |
Elizabeth McGovern |
事件のまとめ・謎
ボイントン夫人の死亡が発覚した後、ジニーがさらわれそうになりシスターが負傷します。そして、乳母のテイラーが自殺します。ボイントン夫人殺害の犯人、シスター負傷と乳母の自殺の真相の他に、レナードと現地人の取り引き、カーバリ大佐の目的、虐待を受けていたレスリーという子供の存在など、様々な謎があります。
ボイントン夫人殺害に関しては、なぜ死体の服に蝋が付着していたのかというのが謎といえます。
ボイントン夫人はノミのような凶器で刺され死亡していました。死後一時間は経過していないようです。一時間ほど前であれば、容疑者のほとんどはツアーに出掛けていました。被害者は評判の悪い女性だったため、誰にでも動機はありそうですが、ほぼ全ての関係者にアリバイが成立します。
ボイントン夫人の殺人が起きた後、ボイントン家の末娘ジニーがさらわれそうになります。ジニーは必死に抵抗し、その場にいた石でシスターを殴ってしまいます。シスターは頭に怪我を負いますが、命に別状はありませんでした。
だれかがジニーをさらおうとしたため、シスターガ助けに入ったが、混乱したジニーが誤ってシスターを殴ってしまったという事件のようです。
さらに、ホテルで乳母のテイラーが自殺します。乳母は間違いなく自ら命を絶ったようです。
伏線・手掛かり
ボイントン夫人の殺害の謎を解く手掛かりをまとめます。
死体発見時の状況についてですが、まず、ボイントン夫人の異変に気付いたのは夫のボイントン卿でした。手に血をつけたボイントン卿の助けを求める声に一同が集まり、ウェストホルム卿夫人、サラ・キング医師の順に夫人の下に駆け付けました。夫人は目を見開いており、医師が瞼をおろそうとしますが、硬直のためか、うまくいきませんでした。
その後、キング医師によって検死が行われ、死後一時間は経過していないと推定されます。凶器はノミのようなもので、犯人は、刺した後に凶器を動かすことで致命傷にしたようです。
朝食時、虫に刺されたらしい夫人は、その後、屋根の上のベンチに横たわって日光浴をしていました。午後一時頃、レナードが夫人に話し掛けていますが、夫人はレナードを無視しています。このことはレネード本人がポワロに証言しています。
アリバイ
ツアーに参加していた人物はポワロと一緒だったためアリバイがあります。キャンプにいたのは、ボイントン卿、息子のレナード、発作を起こしたジェラール、付き添いのジニーとレイモンドです。この中で、ジェラールとジニーは同じテントの中で過ごしていたため、互いにアリバイがあるといえます。しかし、どちらも眠っていた様子です。
証言
ボイントン夫人の息子と娘であるレイモンドとキャロルは自分達がボイントン夫人の実の子供ではなく養子であることを明かします。末っ子のジニーも養子で、三人以外にも養子候補の子供がいたようです。その全員が乳母からの暴力を受けており、暴力を指示していたのはボイントン夫人でした。
虐待を受けている子供達には動機があると言えます。そして、医師のサラも夫人を疎ましく思っていたようです。理由は、レイモンドとの恋の邪魔になるからです。
- 怪しい人影
夫人のもとへと向かうハシゴ近辺で、現地人のような人物がひとり目撃されています。 - 株
アメリカ人のジェファーソン・コープが株の暴落についてポワロに話しています。どうやら、ボイントン夫人の所有する会社の株が暴落し、ほとんど価値のない状態になったようです。コープもその会社に投資しており、大きな損失を被ったようです。 - 乳母の言葉
精神科医が看病する中、乳母は「お父さん」という言葉を口にしています。脈絡のない唐突な言葉に思えます。
証拠
夫人の服には蝋が付着しており、夫人が日光浴をしていた場所の床などにも蝋がこびりついていました。自然と蝋がつくような場所ではないので、事件との関係がありそうです。
- 注射器
乳母のテントから注射器が発見されます。乳母が注射器をもっていたとして、これが何に使われたのかなど、不明な点が多いです。 - 袋の中
ポワロはノミなどが入った道具箱の中から袋をみつけ、そこから歯を取り出しています。 - 死骸
キャンプではヤギの死骸が見つかっています。咽喉を切られたそのヤギは、キャンプ内に放置されていたようです。 - 薬
精神科医ジェラールが乳母に独自に調合した薬を服用させています。この薬をなめたポワロはその直後に、足元がふらついています。 - 資料
大佐がポワロに移民者のリストと使用人の名簿を渡しています。ポワロが大佐に頼んだ資料のようです。
ネタバレ
犯人はセリア・ウェストホルムです。ウェストホルム卿夫人はジニーの実の母親でした。精神科医のテオドール・ジェラールも共犯者で、ジェラールはジニーの父親でした。二人は虐待を受けている子供を救うため、ボイントン夫人を殺害しました。
セリア・ウェストホルムは元使用人で、ボイントン夫人の屋敷で働いていました。屋敷にやってきた客との間にジニーを授かったセリアでしが、ボイントン夫人にジニーを奪われてしまいます。
出産の三週間後、セリア・ウェストホルムはアイルランドの海岸で保護されており、これが移民者のリストに載っていたようです。
虫に刺されたと騒いでいたボイントン夫人ですが、この時、夫人はウェストホルム卿夫人によって注射器で薬物を投与されていました。投与後、しばらくしてこの薬物は麻酔として働き、夫人の一切の動きを封じました。レナードが声を掛けたときはもちろんですが、実は、ボイントン卿が夫人の異変に気付いた時も、夫人はまだ生きていました。夫人が死んだのはウェストホルム卿夫人が駆け付けた時で、この時、夫人はウェストホルム卿夫人によってボールペンで刺され死亡しました。
薬物と注射器を準備したのは共犯者のジェラールで、彼は薬物に詳しくないふりをしていましたが、実は麻酔科医でした。ウェストホルム卿夫人が使った注射器はその場でジェラールに渡され、受け取った注射器をジェラールは乳母のテントに隠し、罪をなすりつけようとしました。
夫人をみつけたボイントン卿の手には血痕が付着しているようでした。このとき夫人は死んでいませんでしたが、体にはヤギの血が付着していました。
ヤギの血を仕掛けたのはジェラールです。彼は娘のジニーを眠らせ、こっそりテントから抜け出しました。そして、ヤギを殺して血液を手に入れ、その血液を蝋のボールの中に入れました。その後、ジェラールは現地人の服をみにつけて、暑さで苦しんでいる夫人に近づき、蝋のボールを持たせました。
しばらくして、暑さで溶けた蝋からヤギの血が流れ出し、全く動くことのできない夫人はとても生きているようには見えなくなります。
偶然マラリアの発作を起こしてキャンプに引き返したジェラールでしたが、実は、マラリアにはかかっていませんでした。ジェラールはマラリアと似た症状が出る薬物を自分に投与し、意図的に発作を起こしていました。
乳母を自殺に追い込んだのはジェラールです。ジェラールが乳母に飲ませていたのは幻覚剤で、投与後、ジェラールは自分がジニーの父親であることを明かし、乳母の虐待を責めました。これにより乳母は自殺しました。
その他隠された真実
シスターの正体と大佐の目的、虐待を受けていたレスリーの正体などは、殺人や自殺とは直接関係がありませんでした。
シスターは奴隷商人でした。彼女の目的はジニーを連れ去ることであり、ジニーを襲ったのはシスター本人でした。カーバリ大佐は奴隷商人を追っていたため、夫人殺害直後に現場に現れました。
ポワロに正体を明かされたシスターは謎解きに乗じて逃げ出しますが、逃亡中にどこかの砂漠で命を落とします。
ボイントン夫人に虐待を受けていたレスリーはアメリカ人のジェファーソン・コープでした。女性だと思われていたレスリーでしたが実は男性でした。
彼は復讐のため、ボイントン夫人の会社に関する悪い噂を流しました。たとえ噂が広まったとしても、夫人が一言いえば、暴落は防げるはずでしたが、夫人は新聞をみることができなかったため、株価の情報を手に入れることができませんでした。その結果、株価は暴落し、会社は無価値同然となりました。ジェファーソン・コープは自分も損をすることで、容疑者から外れようとしていました。
ボイントン卿の発掘隊が白骨をみつけますが、これは息子のレナードが仕込んだ偽物でした。レナードが現地の少年から買ったのは白骨の歯でした。レナードは父親に大発見をさせたかったようです。
結末
全ての真相が明らかにされた後、犯人のジェラールはウェストホルム卿夫人と自分に毒物を投与し、命を絶ちます。
感想
ハラスメント夫人が登場し、殺されてしまいました。この人以外に被害者はあり得ないと思える登場人物でした。ポワロとボイントン卿の死神の話は、死神が二度現れるという内容でした。これは、ボイントン夫人殺害の犯行時刻がずれているということを暗示していたのかもしれません。なお、原作とドラマはほぼ違います。多少、同じ部分もありますが、別の作品であると考えられます。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「死との約束」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 殺人の調査 |
| 事件分類 | 怨恨殺人 |
| 謎 | 死体の蝋 |

