刑事コロンボS3E2・第18話『別れのワイン(Any Old Port in a Storm)』のあらすじとトリック解説です。ワイン製造会社経営者のエイドリアン・カッシーニ(ドナルド・プレザンス)が犯人です。被害者を窒息死させるエピソードです。
あらすじ
ワイン製造会社の経営者エイドリアン・カッシーニは、腹違いの弟に会社を売却されそうになったため、カッとなって弟を鈍器で殴ってしまいます。エイドリアンは、まだ息のある弟を金庫(ワイン蔵)に閉じ込め、窒息死させます。そして、弟にスキューバダイビングの恰好をさせ、死体を海に投げ捨てます。
弟の死を不慮の事故に偽装したエイドリアンでしたが、事件当時、雨が降っていたことなどがミスとなり、コロンボに殺人を疑われます。
コロンボはエイドリアンの金庫から黙ってワインを拝借し、それをエイドリアンに飲ませます。エイドリアンは優れた感覚でワインの酸化を見抜きますが、これが金庫の空調換気装置が停止していた証拠となります。
コロンボによって追い込まれたエイドリアンは犯行を秘書に気付かれていたこともあり、潔く自白し、犯行を認めます。
登場人物とキャスト
- コロンボ警部(ピーター・フォーク 声:小池朝雄)
ロサンゼルス市警の警部 - 【犯人】エイドリアン・カッシーニ(ドナルド・プレザンス)
ワイン酒造「カッシーニ・ワイナリー」の経営者。ワインに人生を捧げ、業界でも高い評価を得ている。ビンテージワイン収集に私財を費やすほどの情熱を持つが、それが経営を圧迫している。ワインの味を正確に判別できる、世界でも数少ない味覚の持ち主でもある - 【被害者】リック・カッシーニ(ゲイリー・コンウェイ)
ワイン酒造「カッシーニ・ワイナリー」のオーナー。経営には全く興味がなく、遊び人。4度目の結婚資金のためにワイナリーを売却しようとする。名の知れたスポーツマンでプレイボーイ。スキューバダイビングが趣味 - カレン・フィールディング(ジュリー・ハリス)
エイドリアンの秘書 - ファルコン(ダナ・エルカー)
ワイン協会会員、エイドリアンの友人 - スタイン(ロバート・エレンスタイン)
ワイン協会会員、エイドリアンの友人 - ルイス(レジス・J・コーディック)
ワイン協会会員、エイドリアンの友人 - ジョーン・ステーシー(ジョイス・ジルソン )
リックの婚約者
トリック解説
犯人のエイドリアンは弟を殴りますが、この時、弟はまだ生きていました。自分のアリバイが完璧に成立する状況で弟を死なせるため、ワイン蔵に閉じ込めて酸欠・窒息死させます。
アリバイ工作
エイドリアンにはニューヨークで開かれるワイン競売会に出掛ける予定がありました。弟を殴ったのは、出掛ける直前です。
殴ってしまった後、エイドリアンはまだ息のある被害者を縄で縛り、金庫(ワイン蔵)に閉じ込めています。空調換気装置を停止しておけば、エイドリアンがニューヨークから帰って来た時には、酸欠で弟が死んでいるという寸法です。ちなみに、エイドリアンが戻ってきたとき、弟の頭の位置が反対になっていました。生きていた弟が、もがいたような形跡といえます。
なお、エイドリアンはニューヨークから弟に結婚祝いのため、手紙と5000ドル小切手を送っています。「死んだことを知っていたから送らなかった」という事実を作らないための偽装といえます。
事故死偽装
エイドリアンは弟がスキューバダイビングの最中に、事故死したようにみせます。弟の車は海岸の近くに乗り捨て、あたかも弟が乗ってきたかのようにみせています。当初は「海に潜った時に頭を打って気絶し、そのまま海にいたため、ボンベの酸素が切れ酸欠となり死んだ」と報道されており、一度は偽装に成功します。
犯人のミス
コロンボが真犯人に気付くヒントです。
ちぐはぐな証拠
エイドリアンが乗り捨てた弟の車には、不審な点がいくつかありました。
- 車のほろ
弟の車はオープンカーですが、ほろは降ろされたままでした。雨なのに、ほろが降りているのは不自然です。 - 雨の痕跡
車には、雨の跡が一切残っていませんでした。 - 車の目撃者
エイドリアンが死体を海に捨てたのは、鈍器で殴ってから約1週間後です。そのため、弟は海で死んでから、5日ほど経過して発見されたことになります。その間、ずっと車は置きっぱなしになっていたはずなのに、車の目撃者はいませんでした。 - 死体の状況
解剖の結果、被害者は2日ほど何も口にしていないことが明らかになります。断食などの気配はなかったため、コロンボは閉じ込められていたと推理します。
被害者が死んだ日の天気
弟が死んだのは金庫に閉じ込めた日から2日後でした。この2日後が、弟が海で事故死した日になりますが、その日は雨でした。
雨の日に海に潜るというのは、あり得ない事ではありませんが不自然です。
ワインの移し替え
エイドリアンは、高価なワインをデキャンタに入れ替える作業を必ず自分で行います。しかし、事件当日は、手が震えたため、その場にいた別の人間に頼んでいます。
不自然な言動
エイドリアンがリックの結婚祝いとして5000ドルの小切手を送った直後、ニューヨークの競売で同額のワインを落札していました。コロンボは、エイドリアンがリックの死を知っていたからこそ、この5000ドルが返ってくると考えていたと推理しています。
決定的な証拠
金庫を酸欠状態にするため、空調換気装置を停止したので、金庫内の温度が高くなっていました。しかも、記録的な気温となったため、ワインの酸化が進んでいます。なお、コロンボのキャンプに出掛けて帰った話が、伏線になっています。
また、エイドリアンの秘書が犯行に気付き、エイドリアンに結婚を迫っています。
さらに、ワイナリーの警備員は「リックがワイナリーから出ていくのを見ていない」と証言したにもかかわらず、秘書のカレンは「リックが帰るのをみた」という嘘の証言をしています。コロンボはカレンがエイドリアンをかばっていることに気づき、彼女が嘘をつく動機を探っています。
コロンボの罠
コロンボは、金庫からワインをくすね、それをエイドリアンに飲ませます。
ワインを飲んだエイドリアンは自分のワインだとは知らずに、ワインが酸化していると証言します。その後、エイドリアンは、自分のワインの酸化に気付き、ワインを全て処分しようとします。そこをコロンボに押さえられます。
エイドリアンは、ワインの酸化を認める行動をコロンボに目撃されたことだけではなく、秘書に結婚を迫られたということもあり、自供します。
感想
刑事コロンボの傑作として選ばれることの多い作品です。いいワインと悪いワインの見分け方は値段など、面白いシーンがたくさんありました。
空調を切らなければよかったように思いますが、おそらく、空調には換気機能が備わっています。外の空気を取り入れて、温めたり冷やしたりして、室内に送り込むタイプの空調です。日本の家庭ではほとんどみかけませんが、海外(アメリカなど)では一般的のようです。
手が震えたのでいつもと違った行動をとる、というのは古畑任三郎「さよなら、DJ」に登場します。また、金庫に閉じ込めて窒息死は「死者からの伝言」に登場します。
- ドラマ性が非常に高く、多くのファンから〈刑事コロンボ〉シリーズの最高傑作の一つとして挙げられ、ファン投票でも1位を獲得していることが多いです
- 犯人であるエイドリアン・エイドリアンのワインに対する情熱や、彼が追い詰められていく過程での人間ドラマが深く描かれています
- ラストシーンでのコロンボとエイドリアンの「別れの乾杯」は、感動的で印象深い
- エイドリアンの「よく勉強されましたな」という言葉と、コロンボの「なによりも嬉しいお褒めの言葉です」という返答は名台詞として語り継がれています
- トリックや伏線回収の巧妙さを重視するミステリーファンは、プロットが比較的単純であることなどから物足りなさを覚える場合もあります
口コミ
海外サイトの口コミには、wine、secretary、greatなどが書き込まれています。
国内の口コミサイトには、結婚迫る、海に捨てる場面などが書き込まれています。
小ネタ
- ゲイリー・コンウェイ
被害者リック・カッシーニを演じたゲイリー・コンウェイは、劇中ではワインに無関心な人物として描かれていますが、実際には自身もワイナリーのオーナーであり、ワインの愛好家です - Any Old Port in a Storm
Any Port in a Stormは直訳すると「嵐の中の港」ですが、慣用句として「窮余の策」という意味があります。この慣用句にOld Port(古いポルトガルワイン)を組み合わせたのが原題の「Any Old Port in a Storm」です。コロンボが窮余の策として古いポートワインを使い、事件を解決に導いたことを示唆する、非常に洒落たタイトルといえます
この記事のまとめ
刑事コロンボ「別れのワイン」について、あらすじやトリックをご紹介しました。原題は「Any Old Port in a Storm(嵐の中の古いポートワイン≒窮余の策)」ですので、日本語タイトルの「別れのワイン」とは異なります。最後にドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。犯人は、鈍器で殴っていますが致命傷にはなりません。被害者の死因は、金庫(ワインの蔵)の空調換気装置停止による窒息です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 殺人の計画性 | なし (突発的な殺人) |
| 偽装工作 | 事故死偽装 |
| ミス | 車のホロ |
| 動機 | 経営する会社の売却 |
| 凶器 | 鈍器(金庫) |
| トリック | ― |
| コロンボの罠 | 酸化したワイン |

