刑事コロンボS3E6『愛情の計算(Mind Over Mayhem)』のあらすじとトリック解説です。シンクタンクの所長が犯人で、天才少年とロボットが登場するエピソードです。
あらすじ
シンクタンク所長のマーシャル・ケイヒルは、愛する息子の論文盗用が同じシンクタンクの教授に暴かれ、公表されそうになったため、教授を殺害。アリバイを作り、現場は、物取りの犯行にみせつつも、顔見知りの犯行を匂わせる証拠を残します。さらに、罪をなすりつけるような偽装工作も行い、捜査をかく乱します。
頭を悩ませるようなふりをするコロンボですが、犯人は葉巻の愛好家であるという推理をもとに、マーシャルを疑います。そして、パイプの破片から、被害者の教授が、車にひかれて死んだことを突き止めます。アリバイを崩し、マーシャルを追い詰めるコロンボですが、決定的な証拠はつかめません。そこで、息子が犯人であるような証拠をでっちあげ、マーシャルの目の前で、息子を逮捕します。愛する息子が逮捕される姿に耐え切れなくなったマーシャルは、罪を認めます。
登場人物とキャスト
- コロンボ警部
ピーター・フォーク
ロサンゼルス市警の刑事。訓練学校に馴染めなかった(?)愛犬に頭を悩ませている。メモとペンではなく、マイクロカセットレコーダーをメモ代わりに使用。コロンボもハイテク化する。愛犬ドッグは犬の訓練学校を「他の生徒に悪影響を与える」という理由で退学させられてしまう - マーシャル・ケーヒル
ホセ・フェラー
【犯人】シンクタンクの所長。息子の論文盗作を隠蔽するためニコルソン博士を殺害。葉巻愛好家であり、息子への過剰な愛情が事件の動機となる - ハワード・ニコルソン博士
リュー・エアーズ
【被害者】シンクタンクの教授。ニールの論文盗作を見破り、公表しようとするが、ケーヒルに殺害されてしまう。パイプを愛用 - ニール・ケーヒル
ロバート・ウォーカーJr
マーシャル・ケーヒルの息子。亡くなった科学者カール・フィンチの論文を盗用し、「今年最高の科学者」として表彰される予定だった - マーガレット・ニコルソン
ジェシカ・ウォルター
ハワード・ニコルソンの若い妻。心理学者。夫の死に対して感情をあま り表に出さず、患者(ニール)との守秘義務を盾にコロンボへの協力を拒む - スティーブン・スペルバーグ:リー・ハーコート・モンゴメリー
天才少年。子供らしさもある。MM7の開発者であり、コロンボの愛犬ドッグの世話もする - ロス博士:ルー・ワグナー
研究員。ケーヒルが犯行に使用した車の所有者 - マーフ:アーサー・バタニデス
研究所の自動車整備士。研究のため、ロスの車の走行距離を記録
トリック解説
犯人のマーシャルは、アリバイ工作、物取りの犯行偽装、顔見知りの犯行偽装、罪のなすりつけなど、あらゆるトリックを使います。
アリバイ工作
アリバイ作りには人間と同じようなことができるロボットを使っています。このロボットを使うために、天才少年を外出させます。マーシャルは、休暇を与えるという口実で、少年と整備士を映画に行かせます。
犯行偽装
マーシャルは教授の自宅の外で、教授をひき殺した後、母屋へ死体を運びます。
被害者の教授は、死ぬ直前まで、ガレージで研究をしており、その姿を教授の妻がみていました。これにより、被害者がガレージで襲われて、その後、死体が母屋に運ばれたと推理されます。
- 物取りの犯行偽装
教授の札入れや時計、ヘロインを盗むことで、物取りの犯行もしくは麻薬中毒者の犯行にみせます。なお、盗んだ札入れなどは、強酸で溶かして処分しています - 顔見知りの犯行偽装
母屋のテーブルに、お酒の入ったグラスをふたつ用意します。これによって、誰かが来ていたようにみせます - 罪のなすりつけ
教授殺害には、シンクタンクが所有する車を使用します。この時、犯人は部下の車を使うことで、罪をなすりつけようとします。教授殺害に使った車のへこみは、自分の車をぶつけて隠しています。これにより、殺害に使われた車は、翌日、整備士が修理することになります
車の距離計が合わないというのは、犯人のミスにも見えますが、部下へ疑いの目を向けるため、あえて残した証拠であると考えられます。
犯人のミス
コロンボが真犯人に気付くヒントです。
- 被害者のパイプ
死体が見つかった母屋がガレージに、被害者のパイプがありませんでした。このパイプが、外で見つかったため、被害者はひき殺されたということが判明します - 化学式
被害者は研究のためヘロインを自宅(兼研究所)に保管していました。ヘロインが入った缶にはC21H23NO5という化学式が書かれており、専門的な知識がなければ、ヘロインということがわからないようになっていました - 扉に靴のクリーム
犯人のマーシャルが死体を母屋へ運んだ際、被害者の靴がぶつかり、部屋の扉に靴のクリームが残りました。
このクリームが、死体が運ばれた証拠となります - 小柄な部下
犯人が罪をなすりつけようとした部下は、小柄な男性でした。この男性が、死体を運んだ場合、靴のクリームは、扉のもっと低い位置に付着するはずでした。このクリームが根拠となり、部下はあっさり容疑から外れます - フィンチの論文ファイル
ニコルソンの研究室から、亡くなった科学者カール・フィンチの論文ファイルが盗まれていたことが判明します - マッチ
被害者となった教授が倒れていた母屋のリビングには、マッチが、灰皿の上に残されていました。部屋は掃除したばかりで、掃除の後、部屋に入ったのは、たばこをやらない夫人と、パイプ用ライターを使う被害者だけでした - マッチの燃え方
マッチは根元まで燃えていました。これは、葉巻を吸う人間がよくやるマッチの使い方でした。つまり、母屋にマッチの残したのは、被害者と夫人以外の人物であり、その人物は葉巻を吸うということになります
コロンボの罠
天才少年の話を聞きアリバイトリックに気付いたコロンボでしたが、マーシャル逮捕の決定的な証拠にはなりません。
そこで、コロンボは、犯人の動機が息子にあることを利用します。
コロンボは、マーシャルの目の前で息子を逮捕します。息子を守るために教授を殺したマーシャルは、自供せざるを得ない状況に追い込まれます。
感想と考察
天才少年の登場も面白いですが、犬(ドッグ)の活躍も面白いエピソードです。
コロンボは作中で、「すぐ鉛筆をなくす癖がある」「メモ帳もなくしたことがある」と話しており、どうやら自覚はあるようです。キューバの葉巻をもらって嬉しそうなコロンボも印象的です。
エピソードの結末は古畑任三郎「フェアな殺人者」に共通する部分があります。
- 肯定的な意見
SF的な舞台設定やロボットMM7の登場、そして天才少年スティーブン・スペルバーグとの交流についてはユニークで楽しいです。何年か前の作品で描かれた近未来ということで懐かしさを感じたりもします。愛犬ドッグが訓練学校を退学させられるシーンや、コロンボが息子への愛情を利用して犯人を追い詰める結末には、ユーモアや感動を覚える視聴者もいます。ホセ・フェラーの演技や、当時の最先端技術が描かれている点も魅力です - 否定的な意見
犯行やアリバイトリックが現実離れしすぎていると感じるかもしれません。ロボットを使ったアリバイ工作はハイテクなのに、車でひき殺すというのは古典的なので、この落差に違和感を覚えます。また、物的証拠に乏しい中でコロンボが、無実の息子を逮捕して自白させるというのが、自白の強要にみえてしまいます
マーシャルは、コロンボがニールを無令状で逮捕し、これをみて息子を救うためにやむを得ず自白しています。このような状況で得られた自白は、供述の自由を侵害する違法捜査によって生じたものとして、任意性が否定され、証拠能力がないと判断される可能性が高いです。自白以外の証拠(パイプの破片、車の走行距離、靴のクリーム跡、燃え尽きたマッチなど)は、状況証拠に過ぎず、ケーヒルの犯行を直接的に立証する決定的な物的証拠とはいえません。だからこそ、コロンボは罠を張ったわけですが…自白が証拠能力を失ってしまうと、マーシャルは無罪になる可能性が高いです。
口コミ分析
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小ネタ
- MM7
有名なSF映画『禁断の惑星』(1956年)に登場した「ロビー・ザ・ロボット」のモデルが使用されています。このロボットは他にも『トワイライトゾーン』や『アダムスファミリー』といった作品にも出演しています - スティーブン・スペルバーグ少年
名前を耳にした瞬間にスティーブン・スピルバーグ監督の名前が思い浮かぶ…
この記事のまとめ
刑事コロンボ「愛情の計算」について、ネタバレありであらすじやトリックをご紹介しました。原題は「Mind Over Mayhem」で直訳すると「大混乱を乗り越える精神力」です。「愛情の計算」と原題は異なります。最後にドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。犯人は、物取りにみせつつ、顔見知りの犯行も匂わせるというちぐはぐな証拠を残します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 殺人の計画性 | あり |
| 偽装工作 | 物取り/顔見知りの犯行を偽装 |
| ミス | マッチ |
| 動機 | 口封じ |
| 凶器 | 車(ひき殺す) |
| トリック | ちぐはぐな証拠 |
| コロンボの罠 | 息子の逮捕 |

