5時30分の目撃者・あらすじ・ネタバレ解説【刑事コロンボ31】

刑事コロンボ第31話・S4E6『5時30分の目撃者(A Deadly State of Mind)』は、ある目撃者が決め手となるエピソードです。犯人はシリーズ第1作「殺人処方箋」に続き、精神科医です。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、犯人の偽装工作や結末、感想、考察、小ネタ(豆知識やトリビア)などをまとめています。

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あらすじ(ネタバレ注意)

精神科医のマーク・コリアー(ジョージ・ハミルトン)は患者の女性ナディアと不倫の関係にありました。あるとき、ナディアの夫に不倫を勘付かれて口論となり、頭に血の上った夫がナディアに暴力をふるい始めます。マークはナディアを助けるため夫を火かき棒で殴って殺害。その後、マークはナディアに嘘の証言をさせて自分の存在を隠し、夫が強盗に殺されたようにみせようとします。
コロンボは、ナディアの証言がちぐはぐであることを根拠に、強盗殺人に疑念を抱きます。マークはコロンボの追求によるナディアの自白を恐れ、催眠療法と薬を使って、転落死させ、ナディアも殺害します。ナディアの死には、飛び降りる前に服を脱ぐなど、不審な点がいくつか見られましたが、マークが殺したという証拠はありません。しかし、夫殺害については、ある男性が現場から立ち去る車に気付いていました。男性は目が不自由だったので、マークの姿をみたわけではありません。そのため、コロンボは目撃者と偽って男性の兄弟をマークと面通しさせ、マークの目撃情報を証言させます。マークは、目撃者の男性は目が不自由であると反論しますが、マークの目の前にいた男性は、実は、目が不自由ではありませんでした。つまり、マークは、現場のすぐ近くで目が不自由な男性を目撃したと、自ら証言したことになり、逮捕へと追い込まれます。

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登場人物とキャスト

  • コロンボ警部(ピーター・フォーク)
    飄々とした態度で犯人を追い詰めるロサンゼルス市警察の警部。本作では犯人の心理を巧みに読み、大胆な罠を仕掛ける 。
  • マーク・コリアー(ジョージ・ハミルトン)
    犯人。催眠療法を研究する精神科医であり、大学病院に勤務する野心家。患者であるナディアと不倫関係にあり、その夫カールを衝動的に殺害。その後、口封じのためにナディアを催眠術で自殺に見せかけて殺害する。
  • カール・ドナー(スティーブン・エリオット)
    被害者。ナディアの夫である資産家。妻の不倫関係に気づき、別荘でマーク・コリアーとナディアを責めて激高し、コリアーに火かき棒で撲殺される。
  • ナディア・ドナー(レスリー・アン・ウォーレン)
    もう一人の被害者。マーク・コリアーの患者であり愛人。夫のカールが殺害された事件でコリアーと口裏を合わせるが、精神的に不安定なため、コロンボの捜査に対して矛盾した証言をしてしまう。最終的にコリアーに催眠術で操られ、マンションから転落死します。
  • アニタ・ボーデン博士(カレン・マッコーン)
    マーク・コリアーの助手。コリアーが患者に催眠術を深めるための薬を不正に使用していることに気づき、警告する。
  • クレイマー刑事(ブルース・カービイ)
    コロンボ警部の部下として捜査をサポートする刑事。久しぶりの登場。
  • ダニエル・モリス(ジャック・マニング)
    事件当日、コリアーが別荘の門を出る際に轢きかけた盲目の男性。デヴィッド・モリスの弟。
  • デヴィッド・モリス(フレッド・ドレイパー)
    ダニエル・モリスの兄。
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トリック解説

計画的な殺人ではありませんが、マークと不倫の恋人(被害者の妻)は、殺人を隠し、押し入り強盗の犯行にみせようとします。なお、マークは催眠を使って、恋人も転落死させます。

強盗殺人の偽装

恋人が嘘の証言をすることで、マークの存在を隠します。恋人の証言は以下のような内容です。
『居間で寛いでいる時に、車が故障したので電話を借りたいといって、誰かがやって来た。夫がドアを開けると、拳銃をもちストッキングを被った二人組の男が押し入ってきた。強盗のひとりが寝室へ行ったので、強盗はひとりきりになった。夫は、火かき棒を持って強盗に襲い掛かったが、火かき棒を奪われ、逆に殴られてしまった。夫が死んだことを知った強盗は、夫と妻が身に付けていた金目のものを盗み、急いで車で逃げていった』
証言以外の偽装工作は以下の通りです。

  • 金目のもの
    強盗の犯行にみせるため、夫が身に付けていた金目のものを外します。
  • 犯行時刻
    実際の犯行時刻よりも後に、強盗が入ったことにし、マークはアリバイを作ります。

転落死誘導

精神科医の犯人は、催眠療法を受けていた恋人に、自宅マンションのベランダから飛び降りるように催眠術をかけます。

  • アモバルビタールという薬を使い、催眠にかかりやすくします。
  • 催眠術にかけても、自身を傷つけるような行動をとらせることはできません。そこで犯人のマークは、恋人が自宅マンションのベランダから屋外のプールに飛び込むように催眠をかけます。
  • 夫殺害時に奪った金目のものを恋人の自宅に隠します。
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犯人のミス

コロンボが強盗殺人に疑いをもち、マークの犯行を暴く手がかりです。

ちぐはぐな証言

恋人の証言には、矛盾がありました。恋人の証言によれば、強盗は、被害者に襲われて火かき棒を奪い、奪った火かき棒で被害者を殴り殺しています。犯人は拳銃をもっていたはずなので、なぜ、襲われたときに拳銃を使わなかったのか、という疑問が生じます。

  • 現場に犯人の指紋は一切残っていませんでした。
  • 恋人は、強盗が玄関先まで車で乗り付けていたと証言します。居間で寛いでいたのなら、犯人の車のヘッドライトが見えます。なので、車が故障したという強盗の話は嘘だと気付くはずです。不審な人物が現れたにも関わらず、ドアを開けるというのは、不自然な行動です。なお、犯人は「拳銃はベルトにさした」「指紋は強盗がハンカチで拭き取った」「ヘッドライトは消して近づいた」と答え、コロンボの追求を逃れています。
  • 殺人現場には、煙草を吸った痕跡が残っていました。ストッキングを被っていたら、煙草は吸えません。

犯行の証拠

犯人の偽装工作を匂わせる証拠です。

  • タイヤの跡
    玄関先には、細いタイヤの跡が残っていました。このことから、犯人は外車に乗っているということが明らかになります。
  • ライターの石
    現場には、ライターの石が落ちていました。現場となった屋敷は、ずっと使われておらず、最後に使った後は業者が清掃していました。そのため、ライターの石が落ちたのは、事件が起きた日しかありません。コロンボは、マークの恋人もその夫も煙草を吸わないので、煙草を吸う人物がそこにいたと推理します。コロンボは、火を借りるふりをしてマークのライターを確認します。現場に駆け付けたマークが渡したのはマッチでしたが、翌日はライターを渡しています。
  • 解剖結果
    恋人の証言を根拠に、犯行時刻が推定されていましたが、検死の結果、それよりも前に殺された可能性もあるということが判明します。

転落死の不審点

恋人の転落死には不審点がいくつかありました。

  • 恋人は裸でした。衣類はベランダに置かれており、丁寧にたたまれていました。さらに、貴重品はスカーフにくるまれ、靴の中に入れられていました。これは、着替えなどをした際にとる行動です。
  • 死体からはアモバルビタールが大量に検出されます。
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コロンボの罠

犯人のマークは、事件後、屋敷から逃げ出す際、門柱に車をぶつけます。その時、目の前には、目の不自由な男性がいました。
コロンボは、この男性と協力し、マークを罠にはめます。
コロンボは、マークに、マークを目撃した人物がいたと嘘をつきます。マークは、その目撃者は目が不自由であると反論します。この反論により、その男性が屋敷の門柱の前にいたことを証言したマークは、自分がその場にいたことを明言したことになります。コロンボが最初に紹介した人物は目が不自由ではありませんでした。つまり、医者として知識や経験を利用して、目が不自由であるとわかったという言い逃れはできません。

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感想

コロンボが愛車を外車と呼び、それを聞いた刑事が、へぇ外車ですか(あのポンコツが?、と心の中で言っていそうな雰囲気)、と答えるのが面白いです。本作の評価は、視聴者によって大きく分かれる傾向にあるようです。特に結末、すなわちコロンボがコリアーに仕掛けた罠は賛否両論を巻き起こす最大のポイントです。コロンボは事件当日コリアーが轢きかけた盲目の男性ダニエル・モリスの兄である目が見えるデヴィッド・モリスを「目撃者」として連れてきます。コリアーが「彼は盲目だから目撃者にはなりえない」と断言し、雑誌を読ませて盲目であることを証明しようとした瞬間に、デヴィッドが流暢に読み始め、コリアーは愕然とします。否定的な意見もありますが、犯人が完全に状況をコントロールしていると思い込んでいる中で、コロンボが巧妙に心理を突き、犯人自身の口から決定的な証言を引き出すシーンは劇的で、印象的だと思います。コリアーのプライドを利用した心理戦の妙が、本作の最大の魅力です。
原題は「A Deadly State of Mind」で直訳すると「命取りの心境」となります。邦題の「5時30分の目撃者」とは異なります。なお、ストッキングをしていると煙草を吸えない、というのは、古畑任三郎「笑える死体」に登場します。

口コミ分析

海外サイトの口コミには、blind、witness、goodなどが書き込まれています。

国内のサイトには催眠、盲目などが書き込まれています。

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考察

コロンボシリーズの中で、犯人が計画的に殺人を犯さない数少ないケースであり、正当防衛が成立しそうなケースでもあります。原題の「A Deadly State of Mind」は、ナディアの精神状態やコリアーの精神操作を指していると考えられます。。

指摘:門の柱

犯人は、現場から立ち去るとき、門の柱に車をぶつけています。車をぶつけたのであれば、柱に、何らかの痕跡;例えば、車の塗料やごく小さな破片などが残りそうです。しかし、警察はこれを調べていません。

これに対して、①調べたが痕跡は残っていなかった、②痕跡が残っており車種も特定できたが持ち主までは特定できなかった、③そもそも警察は殺人と壊れた柱の関係を知り得ない(柱は以前から壊れていたかもしれない。犯人が逃げる時に車をぶつけたというのは視聴者と目が不自由な男性、そして犯人だけが知っている事実である)、などの状況が考えられます。

指摘:叫び声

催眠状態だった夫人が、プールに飛び込んだ時、叫び声を上げるのは不自然な状況かもしれません。プールに飛び込むときに叫び声を上げる人はいないはずなので、夫人が完全に催眠状態であったのなら、叫び声は上げないはずです。

もちろん①夫人がプールに飛び降りるときは絶叫するタイプの人間だったとも考えられます。そして、②飛び込む瞬間に催眠が解けたとも考えられます。

指摘:真犯人

コロンボは目が不自由な男性の協力により、犯人が現場にいたことを証明してみせます。しかし、これは、死んだ夫人が犯人ではないことを証明したわけではありません。つまり、どちらが殺したのかは、立証されていない状況といえます。
ここでの指摘は、推理(屁理屈をこねる、ともいえます)を楽しむためであって、作品の評価を下げることを意図しているわけではありません。

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余談

  • 邦題「5時30分の目撃者」はその秀逸さが広く評価されています。物語のラストで、この時刻が犯人特定のための重要な伏線となることが明らかになり、視聴者に大きなカタルシスを与えます。
  • シリーズに多くの傑作を提供した脚本家、 ピーター・S・フィッシャーの最後のコロンボ作品となりました。結末のアイデアは原作者の一人であるリチャード・レヴィンソンが提供したとされています。
  • 犯人役のジョージ・ハミルトンはプレイボーイとしての実生活が有名で、そのイメージが役柄にも反映されています。後に「犯罪警報」で再び犯人役を演じています。
  • 被害者カール・ドナー役のスティーブン・エリオットは、14年後に「迷子の兵隊」でパジェット将軍を演じています。
  • 劇中に登場するコンピュータールームの設備はドラマ用の派手なデザインで、当時のコンピュータがどのように認識されていたかがわかります。
  • 病院内でカラーラインに沿って迷路を歩くマウス(ネズミ)の実験シーンと、コロンボが病院の誘導線に沿って右往左往する姿が重ね合わせられるとうユーモラスな演出が登場しています。
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この記事のまとめ

刑事コロンボ「5時30分の目撃者」について、ネタバレありであらすじやトリックをご紹介しました。最後にドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。犯人は、恋人の夫に、不倫がばれたため夫を殺害します。

項目 内容
殺人の計画性 なし
偽装工作 強盗殺人を偽装
ミス 目撃証言
動機 過失致死
凶器 火かき棒
トリック
コロンボの罠 目が不自由な男性
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