名探偵ポワロ・第42話『ポワロのクリスマス(Hercule Poirot’s Christmas)』のあらすじ、ネタバレ解説です。
裕福な老人の部屋から大きな物音と豚を絞め殺したような声が響きます。部屋に駆け付けるとそこには老人の死体がありました。
あらすじ
静かなクリスマスを過ごす予定だったポワロのもとに、シメオン・リーというお金持ちの老人から電話がかかってきます。高圧的で横暴な態度のシメオン・リーは、詳しい依頼内容を伝えず、ポワロを自宅に呼び寄せます。強引な依頼に狼狽するポワロですが、暖房器具が壊れていたため、シメオン・リーの屋敷ゴーストン・ホールを訪ねることにします。
屋敷にはシメオンの息子が二人と、それぞれの妻が暮らしていました。そして、ポワロが屋敷に到着したその日、実は、シメオンの孫娘と、もう一人の息子も屋敷に招待されていました。
シメオンは全員を自室に呼び、そこで、遺言書を書きかえるという話を伝えます。その数時間後、シメオンは自室で死体となって発見されます。
死体発見の直前に、シメオンの自室から大きな物音と、恐ろしい音が響きました。屋敷にいた全員がこの音に気付き、シメオンの部屋に駆け付けましたが、部屋の扉には鍵がかかっていました。数名の男が扉を破壊して中に入り、死体を発見。その場にいた数名が、部屋には誰もいなかったと証言します。室内の窓は開いていましたが、わずかしか開かない窓のため、人が通れるほどには開きません。
部屋の中はひどく物が散らかっており、シメオンが取り寄せたダイヤもなくなっていました。のちに、現場の扉は廊下側から鍵をかけたことが判明し、ポワロとジャップ警部は屋敷の関係者のアリバイを確かめます。
それぞれの証言を確かめる中、ピラーが屋敷内で何者かに襲われます。一命を取りとめたピラーですが、彼女は偽物であることが判明します。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
やや不思議な体勢で暖をとるポワロ
登場人物とキャスト
ポワロ、ジャップ警部以外の登場人物です。
- シメオン・リー
被害者。冒頭、仲間を殺し、女性に助けられた男 - アルフレッド・リー
シメオンの息子 - リディア・リー
アルフレットの妻。ミニチュア庭園の女性 - ジョージ・リー
シメオンの息子。下院議員。口うるさい雰囲気 - マグダレーナ・リー
ジョージの妻。美人と評判 - ハリー・リー
シメオンの息子。汽車でやって来た男 - ピラー・エストラバドス
シメオンの孫娘。母親がシメオンの娘であったが、母は既に他界している - ホーブリー
シメオンの召し使い。彼女と映画を見にいった男 - ハロルド・サグデン
警視
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。ピラー役の俳優さんはSherlock(英国ドラマ)の「バスカヴィル家の犬」にも出演されているようです。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Pilar ピラー |
Sasha Behar |
| Magdalene マグダレーナ |
Andrée Bernard |
| Lydia リディア |
Catherine Rabett |
| Sugden サグデン |
Mark Tandy |
事件のまとめ・謎
シメオン・リー殺害の犯人、死体発見の直前に屋敷中に響いた物音と、豚を絞め殺したような声の正体などが謎めいています。
- 物音
死体発見の直前に音や声が聞こえたということは、このとき被害者は殺され、部屋の中には犯人がいたということになります。しかし、音を耳にして駆けつけた住人達のうち数名が、部屋には誰もいなかったと証言しています - 散らかった部屋
被害者は車いすの老人で、激しく抵抗できるような人物ではありませんでした。しかし、部屋はひどく散らかっていました。なぜ物が散乱していたのかは不明です
手掛かり・伏線
殺人の謎を解くヒントです。
被害者が金持ちだったことや、遺言を書きかえると話した直後に殺害されたことなどから、遺産相続をめぐった殺人事件であると考えられます。遺産は書きかえられなかったため、遺産はアルフレッドが半分、残り半分は残った子供、つまりジョージとハリーで均等に分けることになります。残念ながら、孫娘のピラーは相続人にはなれなかったようです。
証拠
孫娘のピラーが、現場でピンクの輪っかとライフルの弾のような形状の小物を拾っています。後日、ピラーは輪っかが風船の残骸であることに気付きます。
- ケース
ダイヤモンド(原石)を入れたケースがマグダレーナの鞄の中から見つかります。このことを突き付けられたマグダレーナは「証拠を自分の鞄に隠すなどという愚かなことはしない」と反論します。 - ダイヤモンド
一方、ダイヤモンドは、リディアが製作していたミニチュア庭園に転がっていました。リディアもマグダレーナと同じように、反論します。 - パスポート
ポワロはピラーのパスポートを拝借し、彼女がピラーではないことを突き止めます。彼女の正体はピラーの友人でした。ピラーのふりをしていた理由は遺産を相続するためです。 - 前科
マグダレーナと召し使いのホーブリーには後ろめたい過去がありました。
アリバイ
被害者の息子たち、妻、孫娘などが、アリバイなどを証言します。
重要なのはリディア・リーの証言で、彼女は、物音と絶叫が響いた時、被害者のシメオンと話すため、部屋の目の前にいました。
- ジョージ
下院議員のジョージは事務所に電話をしていました。電話を終えたのは、死体が見つかる数分前だったため、アリバイがあるとはいえません - マグダレーナ
当初はマグダレーナも電話をしていたと証言していましたが、これは嘘で、本当はジョージの電話が終わるのを物陰に隠れて待っていました。嘘をついていた理由は、電話しようとしていた相手が浮気相手だったためです。相手が誰であろうと、アリバイがあるとはいえません - アルフレッドとハリー
この二人は仲が悪く、ずっと口喧嘩をしていました。二人が共犯である場合を除き、アリバイは成立します - ピラー
ピラーはご機嫌取りのため、被害者の部屋に向かおうとしていました。しかし、部屋の前に誰かがいたため、引き返そうとします。この瞬間に、物音が響きました - サグデン警視
事件が起きたとき、サグデンも屋敷にいました。サグデンはその日、二度、屋敷を訪れており、一回目は寄付を受け取るため、二回目は書類を受け取るためでした。二回目に屋敷に現れたとき、ちょうど、死体が発見されました。
実は、『寄付を受け取る』などの話は嘘で、本当は被害者に依頼されていました。一回目に訪れたあと、再び屋敷を訪れるように言われたサグデンは屋敷の近くに車を停めて時間を潰していました
証言
- 執事
執事が奇妙な証言をしています。判然としませんが、ある出来事について何かを感じとったようです。それは、久しぶりに屋敷に帰ってきたハリーをみたときに関連しているようです - 警視
ポワロが被害者から依頼を受けたとき、被害者は警視からの推薦があったと話しています。しかし、警視は推薦などしていないと否定します - 被害者
被害者はあちこちで種をまいたと豪語しています。本当のことを言っているならば、他にも子孫がいるかもしれません。
何気ない言動
ピラーがビリヤードをしていたとき「若い時の被害者は警視のようだったのではないか」と話しています。
真相(ネタバレ注意)
犯人はサグデン警視です。サグデンは、40年前、シメオンを助けた女性の子供でした。
物音と叫び声のようなものが屋敷に響いたとき、既に被害者は警視によって殺されていました。物音の正体は、積み上げられたサイドテーブルや置物が倒れる音で、豚を絞め殺したような叫び声はジェット風船でした。
サグデンはシメオン・リーの息子です。執事はサグデン警視をみたとき、シメオンの姿にそっくりだったので幽霊を見たような気分になっていました。
ピラーもシメオンの若い頃はサグデンのようだったと話しています。さらに、風船の残骸に気付いたため、命を狙われています。
トリック
犯人は室内にあった家具や置物を積み上げてタワーを作り、これに糸を引っ掛けました。この糸を窓から出しておき、引っ張れるようにしておけば、外からであってもタワーを崩すことができます。
風船の方も、糸を使って外から操作できるようにしておきます。ライフルの弾のようなものは、風船の口を塞ぐ栓でした。
密室に関しては、犯行後、サグデンは室内側から鍵を差し込み、廊下側からペンチで鍵をつかみ、施錠しています。
廊下側から鍵をかけることで、屋敷の中に犯人がいるようにみせようとしたと考えられます。窓から逃げることはできず、物音で住人達がすぐに駆け付ければ、屋敷内を通って逃げることもできません。以上のことから、外部犯という可能性はなくなり、屋敷にいた人物が容疑者になります。
ポワロを推薦したのは警視でした。このことに関して嘘をついていたのは、以前から交流があったということを隠すためです。
結末
ポワロに集められた関係者はある老婆のもとを訪れます。その老婆の息子はサグデン警視で、そのサグデンこそが犯人でした。
感想
ジャップ警部が「日本人は変だ」みたいな事を言っていました(原文はI know the Japanese are peculiar.)。私は日本人ですが、石に関しては、確かに変なのかもしれません。ストーンヘンジはどうなんだと思ったりもしますが。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「ポワロのクリスマス」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | はっきりとせず |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 密室の謎 |

