名探偵ポワロ・第51話・S9E2『杉の柩(Sad Cypress)』のあらすじ、トリックなどの解説です。
恋人を奪われたエリノア・カーライルが、メアリ殺害の容疑で逮捕され、裁判にかけられます。エリノアは無実なのかどうかを確かめるため、ポワロが調査を始めます。
あらすじ
エリノア・カーライルはメアリ・ジェラード殺害の容疑で逮捕され、裁判にかけられていた…。
数ヶ月前、エリノアは婚約者のロディと幸せな時間を過ごしていました。しかし、そこに、ある手紙が届きます。内容は、雪のように真っ白な人物が、エリノアの叔母・ウェルマン夫人にゴマをするというもので、ごますりの結果、エリノアらは夫人の遺言から外され、さらに、夫人も発作で死亡すると書かれていました。
不気味な手紙を受け取ったエリノアとロディは、ウェルマン夫人の屋敷を訪ねます。屋敷には床に伏した夫人と、看護師二人、そして、美人と評判のメアリがいました。
エリノアは手紙を、まず、夫人の主治医に相談し、その主治医が街に滞在していたポアロに相談します。ポアロは真っ白な人物が、羊を飼っていたメアリであると推理し、メアリが送り主ではないかとエリノアに話します。
その後、エリノアはロディとメアリの浮気現場を目撃し、直後にウェルマン夫人が他界します。
警告文には、夫人が遺書を残しているように書かれていましたが、実は夫人は遺言を一切残していませんでした。そのため、最も近い親族であるエリノアが全財産を相続することになります。一方、ロディは、夫人の義理の甥であるにも関わらず、遺言がなかったため遺産を相続できず、しかも、浮気が発覚したため、エリノアとの婚約を破棄することになります。
巨額の財産を手にしたエリノアは、夫人が面倒をみていたメアリに一部財産を譲ると本人に伝えますが、その態度は事務的でした。そして、エリノアはポワロとの会話で、婚約を台無したメアリの死を強く望む、と感情をあらわにしながら口にします。
そうして本当に、メアリが何者かに殺されてしまいます。メアリは、エリノアと看護師のホプキンスとお茶をした直後に死んでいるのが発見されました。死因はモルヒネによる中毒死で、他殺のようでした。メアリの胃の中から、エリノアが作ったサンドイッチと、ホプキンスが入れたお茶が検出され、お茶はホプキンスも飲んでいたということから、サンドイッチに毒が仕込まれたと断定されます。
サンドイッチを用意したのがエリノアであること、メアリの死を望み十分な動機があったことなどが根拠となり、エリノアは有罪、絞首刑を言い渡されます。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
瀕死の探偵
登場人物とキャスト
ポワロ以外の登場人物です。
- エリノア・カーライル
メアリ殺害の容疑者 - ロディ・ウィンター
エリノアの元婚約者。ウェルマン夫人の義理の甥 - ローラ・ウェルマン
エリノアの叔母。遺言を残さず他界 - テッド・ホーリック
屋敷の庭師 - ビショップ
屋敷の家政婦 - メアリ・ジェラード
被害者。ウェルマン夫人が面倒をみていた女性。美人。ドイツから帰国し屋敷に滞在。父親はウェルマン夫人宅の庭師 - ピーター・ロード
ウェルマン夫人の主治医。ポワロの知り合い - ホプキンス
看護師 - オブライエン
看護師。ふくよかな女性
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Elinor Carlisle エリノア |
Elisabeth Dermot Walsh |
| Mary Gerrard メアリ |
Kelly Reilly |
| Roddy Winter ロディ |
Rupert Penry-Jones |
事件のまとめ・謎
エリノアは逮捕され、裁判で有罪となります。彼女はほんとうに犯人なのか?というのが大きな謎です。陪審員はもちろん、ポワロもエリノアの犯行を疑っているようですが、亡くなったウェルマン夫人の主治医はエリノアの無実を信じているようです。
- 手紙の差出人
エリノアが受け取った警告文の差出人が誰なのか不明です。文章に登場する人物『雪のように真っ白な人物』はメアリだと考えられます。しかし、メアリが差出人なのかどうかは定かではありません - ウェルマン夫人の死
主治医ピーター・ロードによって、夫人は病死と判断されています。検死は行われておらず、死後、そのまま土葬されています。ポワロは病死という判断に疑いをもっています - 写真
夫人が発作を起こしたとき、夫人は看護師に写真を取り出すよう懇願しています。写真の人物はルイスという男性のようです。しかし、それ以上のことは何もわかりません - メアリ殺害
メアリはモルヒネで毒殺されました。胃にはサンドイッチと紅茶があり、そのサンドイッチはエリノアが用意したものでした。エリノアは、メアリの好物であるサーモンペーストのサンドイッチ2切れと、カニとエビのペーストを塗ったサンドイッチを4切れ準備しており、サーモンのサンドイッチに毒を仕込めば、確実にメアリを殺害することができます - 紅茶
メアリはサンドイッチのあと、看護師のホプキンスが用意した紅茶も飲んでいます。紅茶に毒が入っていた可能性もありますが、同じポットで入れた紅茶をホプキンスも口にしています。つまり、紅茶のポットに毒が入っていたのなら、ホプキンスも毒を飲んでいるはずです。なお、エリノアは紅茶を飲んでいません
伏線・手掛かり
メアリ殺害の真相を見抜くヒントです。
エリノアはメアリの死を望んでいました。そういった内容の言葉をポワロ自身が耳にしています。
証拠
警告文は証拠といえますが、事件が発生する前にロディが暖炉で燃やしてしまっています。
- モルヒネ
ホプキンスが紅茶のカップなどを洗った部屋で、モルヒネ(morphine Hydro)のラベルが見つかっています。メアリが死ぬ前、ホプキンスがモルヒネの瓶を紛失しており、その紛失したモルヒネが使われたようにみえます - ウェルマン夫人の死因
ポワロの指示で夫人の死体が掘り起こされ、解剖が進められます。結果、夫人はモルヒネを投与され死んだことが判明します。夫人が死んで、その財産を相続したのがエリノアだったため、夫人殺害の容疑はエリノアにかかります - メアリの遺言
メアリは看護師たちにお節介をやかれ、若いのに遺言を残しています。その内容は、唯一の身内であるおばに全財産を相続するというものでした。ウェルマン夫人の財産はエリノアのものになりましたが、エリノアはメアリにそれなりの額を譲っています。メアリが死んだとなると、彼女の財産はすべておばさんのものになります - メアリの正体
メアリはウェルマン夫人の実子でした。父親は庭師でしたが、妻子があったため、結婚はできず、メアリは養子に出されました。このことを明らかにしたのは看護師のホプキンスで、ホプキンスはメアリの死後、赤ん坊を抱いた夫人の写真と手紙を発見したようです。手紙には「そういうわけでメアリ、私は長年、そのことを本人には秘密にして――」と書かれており、ホプキンスはメアリの義理の母親が娘のメアリに宛てた手紙であると話しています - バラ
メアリの死が発覚する直前、エリノアとホプキンスが会話をしています。他愛のない内容ですが、どうやら、ホプキンスはバラのトゲで腕に怪我をしたようです。ホプキンスはバラが原因だと言っていますが、ホプキンスが手入れしたバラにはトゲがありません
ネタバレ
エリノアは犯人ではありません。真犯人はホプキンスです。ホプキンスはメアリのおばで、メアリが死ぬば、彼女の遺産を受け取ることができる立場にいました。メアリ殺害だけではなく、警告文の差出人も、そして、ウェルマン夫人殺害も、すべてホプキンスの犯行です。
毒が入っていたのは紅茶でした。紅茶は犯人のホプキンスも飲んでいますが、ホプキンスは薬を使って意図的に嘔吐し、毒を吐き出していました。
みつかったモルヒネのラベルはモルヒネではなく、アポモルヒネのラベルでした。アポモルヒネは嘔吐作用のある薬物で、ホプキンスはこれを注射し、胃の内容物を吐き出していました。なお、ポワロはモルヒネの最初の文字が小文字だったことに違和感を抱き、アポモルヒネに辿り着いています。
「そういうわけでメアリ(中略)本人には…」という文が書かれた手紙は、メアリの義理の母から、義母自身の妹に送られた手紙でした。妹とは、つまり、ホプキンスのことで、ホプキンスの名前はメアリでした。
メアリ自身に書いた手紙なのに、本人という言葉を使っている部分に違和感があり、ポワロはこの部分に疑問を持っていたようです。
結末
ホプキンスは真相を掴んだポワロを、同じ毒殺手口で殺害しようとします。一枚上手なポワロは、お茶を飲んだふりをして芝居を続け、ホプキンスに犯行を認めるような供述をさせます。
真犯人がつかまり、絞首刑寸前だったエリノアは、無事、釈放されます。
感想
エレベーターが犯行に使われるのかと思いきや、まったく関係ありませんでした。
ポワロが購入した新聞(ウェルマン夫人の訃報を知った新聞)に、作曲家ジョージ・ガーシュウィンの記事が載っていました。こういった演出をみると、なんだか、ポワロが実在したように思えてきます。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「杉の柩」のあらすじ、真相をご紹介しました。原題は「Sad Cypress(杉の柩)」、原作の邦題も「杉の柩」です。裁判のシーンから始まる点、展開や結末など、原作とドラマは、ほぼ同じ内容と言えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 警告文に関する相談 |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 容疑者は無実か |

