名探偵ポワロ・第15話
名探偵ポワロ『ダベンハイム失踪事件(The Disappearance of Mr. Davenheim)』のあらすじ、トリック解説です。立派な髭の紳士ダベンハイム氏が、ある日突然、失踪。ダベンハイム氏の商売敵が容疑者となります。
あらすじ
ダベンハイム氏が郵便を出しに行くといって自宅を出たあと、姿を消してしまう。身代金の要求はなく、死体もみつからなかった。氏は、その日、仕事で敵対するローウェンを邸に招いていた。当のローウェンはダベンハイム氏が出ていったすぐ後に屋敷に到着していた。「ダベンハイム氏とすれ違わなかった」と証言するが、警察に容疑者扱いされることになる。
後日、屋敷の金庫が壊され宝石などが盗まれていることが発覚する。さらに、ある浮浪者がダベンハイム氏の指輪を持っていることも明らかとなる。その浮浪者は面通しで、ローウェンが指輪を捨てた人物であると証言。ローウェンが犯人であることに間違いはないようだった……。
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス大尉、ミス・レモン、ジャップ警部以外の登場人物です。
- マシュー・ダベンハイム
失踪した人物。立派な髭の紳士 - シャーロッテ・ダベンハイム
ダベンハイム夫人 - ジェラルド・ローウェン
容疑者。ダベンハイム氏の仇敵
注目のシーン
\オテアゲ/

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
謎
金曜日の午後4時40分頃、ダベンハイム氏は家を出て、行方不明となりました。死体は発見されていません。しかし、どこにも姿がありません。
ローウェンには動機があり、さらに、タベンハイム失踪時、彼と同じ道を通って、屋敷へ向かっていました。最も怪しいのはローウェンですが、彼が犯人ではない場合、真犯人やその動機が謎です。
壊された金庫
失踪が発覚した後、屋敷の金庫が壊され、金品が盗まれていたことも明らかになります。金庫の中には、ダベンハイム氏が買った外国の宝石が入っていました。
金庫がいつ壊されたのかはわかりませんが、オーウェンがわざわざ屋敷にやって来たのは金品を盗むためだったという推理が展開されることになります。
手掛かり
失踪の真相を明らかにするヒントです。
失踪前、ダベンハイム氏は屋敷で、クラシック音楽を大音量で聴いていました。『1812年』という曲のようです。
証言
屋敷に招待された日、ローウェンはダベンハイム氏と会っていない(すれ違っていない)と話しています。
ボート小屋のおじさん
ボート小屋の見張りをしているおじさんは、金曜の夕方、1人の自転車に乗った女性と、2人組の浮浪者を目撃したと話します。どうやらダベンハイム氏の姿は目撃していないようです。
コソ泥の浮浪者
ジャップ警部の財布を盗もうとした浮浪者がダベンハイム氏の指輪を持っていました。浮浪者いわく「レースを見にいって、帰りに池のほとりでよろしくやっていたら、口ひげを生やした立派な紳士が捨てた」ということのようです。
証拠
ダベンハイム氏の上着など、失踪を裏付けるような証拠だけではなく、オーウェンが犯人でないことを示唆するような証拠もみつかります。
上着
ローウェン、そして、ダベンハイム氏が通ったと考える道沿いに池があり、その池の中から、ダベンハイム氏の上着がみつかります。
上着だけ捨てられた理由は定かではありません。
指輪
浮浪者の持っていた指輪は、ダベンハイム氏のもので間違いないようです。
ローウェンは上着が池に捨てられていたことを知っているような口振りです。さらに、指輪を捨てたという証言や、仕事でダベンハイム氏に損をさせられたという動機が重なります。
ローウェンのズボン
ローウェンが屋敷を訪れた日、ズボンの色はライトグレーでした。争って泥などが付けばすぐにわかる色ですが、メイドは、そういった痕跡に気付かなったようです。
金庫破り
金庫を破るとき、屋敷に大きな音が出ます。もしもオーウェンが金庫を破壊したのであれば、屋敷にいた夫人やメイドが気付いているはずです。このことは大尉の捨て身の実験によって確かめられます。
キャビネット
ポワロが、大尉に屋敷のバスルームのキャビネットを調べるようお願いしています。この中に、あってはならないものがあるようです。
- 歯ブラシ×2
- ヘアブラシ×1
- スキンクリーム×1
- 肝油(liver drops)×1
- 歯磨きチューブ×1/li>
- シェービングブラシ×1
- かみそりパック×1
- 睡眠薬×1
- 鼻スプレー×1
- 目薬×1
事実
失踪したダベンハイム氏は数カ月前から妻と寝室を別にしていました。さらに、南アフリカのヨハネスブルグで過ごしていた時期があるようです。
失踪後は氏の銀行が破綻します。
真相(ネタバレ注意)
指輪を拾った浮浪者がダベンハイム氏です。彼は銀行の金を横領していました。
失踪の真相
失踪は狂言です。ダベンハイム氏は失踪し、横領の罪から逃れようとしていました。
金庫のトリック
金庫を破壊したのもダベンハイム氏です。『1812年』の大砲の音に合わせて、のみを打ち、金庫を壊しました。
なお、金庫をあえて壊したのは、オーウェンに罪を着せるためです。
ダベンハイム氏の秘密
ダベンハイム氏は実はつけ髭です。キャビネット中に入っていると不自然な物、それは、かみそりなど、髭剃りに関する道具です。ダベンハイム氏は立派な髭を生やしているので、かみそりは必要ないはずです。
寝室が別になったのは、妻につけ髭を隠すためだったというわけでした。
寝て起きたら髭が外れていた、という事態を回避したかったのかもしれません。
浮浪者の正体
浮浪者は髭を剃ったダベンハイム氏です。彼は一度財布を盗んで捕まっています。公けには、ヨハネスブルグで過ごしたということになっているようです。
結末
浮浪者の正体を明らかにしたポワロは、真相を語ります。一歩も出ずに事件を解決するという賭けに勝ったポワロは、約束通り、ジャップ警部から5ポンドを受け取ります。
感想と考察
ポワロの綴りはPoirotで、常日頃、ポワロとは読めない、と思っていました。オウムの綴りParrot(パロット)に似ている気もします。
タイトルの、失踪の踪の字は、ひらがなです。
この漢字は、2010年に常用漢字に追加されたようです。放送当時は、ひらがなにするのが習わしだったのかもしれません。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「ダベンハイム失踪事件」のあらすじ、真相をご紹介しました。このエピソードは英国放送でも第15話です。
- ダベンハイム氏が失踪し、仇敵のローウェンが容疑者になる
- ダベンハイム氏の屋敷にあった金庫が破られているのがみつかる。ローウェンが金目当てで破壊したと考えられる
- 死んだと思われていたダベンハイム氏だが実は生きていた。失踪はダベンハイム氏の狂言で、横領の罪から逃れるため、死んだふりをしていた
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 監督 | アンドリュー・グリーヴ Andrew Grieve |
| 脚本 | デビッド・レンウィック David Renwick |
| 原作 | アガサ・クリスティ Agatha Christie |
| 制作 | LWT (現ITV) |

