森博嗣Gシリーズ9作目「キウイγは時計仕掛け(KIWI γ IN CLOCKWORK)」のあらすじ、感想、考察をご紹介します。あちこちでキウイがみつかるお話です。
あらすじ(ネタバレ注意)
建築学会開催の前夜、大学で学長・福川啓司が射殺されます。さらに、学会の最中に副学長・蔵本寛子も銃で死にます。加部谷、雨宮、山吹、海月、西之園、犀川、国枝らいつもの人々は、学会に参加し、事件に巻き込まれます。
最終的に、福川を殺害した犯人として蔵本の息子である留学生のスマリが逮捕起訴されます。他殺だと思われていた副学長の蔵本は自殺でした。自殺の動機は息子・スマリの犯行に気付いたことです。
学長、副学長の殺害などで、γというギリシャ文字が刻まれたキウイがみつかります。これが、真賀田四季の存在を匂わせますが、今回の事件との直接的な関係は明らかにされません。
なお、この物語はリドルストーリーです。殺人罪で起訴されたからスマリが犯人であるという事実に納得するしかない結末です。

感想
「キウイγは時計仕掛け」の感想としては、S&Mシリーズファン満足、キャラの会話を楽しむ、登場人物の変化と成長、結局キウイ謎、などがよく書き込まれています。
話題になっているのは、犀川先生の禁煙、「すべてがFになる」に登場した島田文子の再出、などです。犀川と西之園の結婚について、読者の多くはまだ結婚していない、と考えているようです。
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| レビュー数 | 文章数 | 異なり語数 |
|---|---|---|
| 655 | 3157 | 3305 |
考察
Gシリーズのネタバレがあります
今回の殺人事件とキウイγ、そして、真賀田四季との関係性は十分に明らかになっていません。文庫版の解説にも『十分な説明がない』と書かれています。なお、「χの悲劇」で、キウイの事件は“動機については加害者の証言を得られていない”と書かれています。
以下では、疑問点と考察をご紹介します。
キウイについて
温泉のキウイ、荷物のキウイ、理事長室のキウイ、学長射殺時のキウイ、蔵本自殺時のキウイと、何度も、キウイが登場しますが、いずれも、どうしてそこにあったのか、誰がなんのために用意したのかなどは謎のままです。
温泉のキウイ
加部谷、雨宮、西之園、犀川が宿泊したホテルの温泉で、キウイが見つかっています。物語終盤になるとこのエピソードは、話題になっておらず、どうして浮かんでいたのか謎のままです。
この温泉キウイは、加部谷たちが夕方とはまだ言えない時刻に温泉で発見しています。その後、西之園が午後五時前に入浴していますが、その時にはなくなっていました(考えにくいですが、西之園が見落としたという可能性もあります。
今回の事件の犯人はスマリですが、校舎から離れたホテルをわざわざ訪れてキウイを浮かべたというのは、ありえないと思います。ホテルには、犀川と西之園が宿泊していたので、真賀田四季関係のメッセージ(伏線)として、のちのちその意味が明らかになる、かもしれません。
荷物のキウイ
中盤以降、殺人事件の影に隠れてしまっていますが、物語の冒頭、プルトップの刺さったキウイが、大学に届いています。差出人の電話番号から、東京から発送されたという内容が、小説の中に登場します。
依頼主はG・O・S・I・Pです。物語の中で蔵本とスマリの関係、学長と蔵本の男女関係は秘匿されています。ゴシップ(正確な綴りはgossip)はこの関係を意味している可能性があります。
理事長室のキウイ
学長が射殺される直前に、理事長室でもキウイがみつかっています。これは何だったのか、全くの謎です。この一件も、中盤以降忘れ去られていると思います。
キウイではなくアボカド?
犀川は爆弾にみせるならキウイではなくアボカドにするべきだ、と主張しています。作中で、なぜキウイなのか、は明らかにはなっていません。
アボカドは犀川のジョークだった、プルトップがアボカドには刺さらない(皮がややかたい)、などが考えられますが、いずれも釈然としません。
キウイはスイッチ?
島田は西之園との会話で、真賀田四季はちょっとした一言で人を自殺に追いやることができる、と話しています。この内容からキウイは今回の事件のスイッチだったと想像することができます。
時田玲奈はただの自殺でしたが、今回は、殺人を絡め、より複雑な挙動を真賀田四季が操れるようになったということかもしれません。
「χの悲劇」で、島田は、ギリシャ文字の事件は真賀田四季と直接関係がない、と話しています。なので、このキウイは、四季信者の単なるいたずらの可能性が高いです。
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この大学は「χの悲劇」にも登場します。

