バールストン先攻法/バールストン・ギャンビット(The Birlstone Gambit)はミステリーに登場する用語の一つです。この記事では、意味や解説、使用例などをご紹介しています。漫画「十角館の殺人」で登場人物が用いたりします。

意味
言葉の意味は下記の通りです。
なお、“バールストン”というのはある作品に登場する館の名前です。その作品で、バールストン・ギャンビットが使われたため、その名がついています。つまり、その作品の名前を知るとトリックのネタバレになってしまいます。
読者が犯人を容疑者から外すようにするため、真犯人である人物を死んだように見せる手法。
解説
バールストン・ギャンビットはいわゆる死んだふりです。漫画「十角館の殺人」では次のように使われていました。
フランシス・M・ネヴァンズ・ジュニアが云うところの――“バールストン先攻法”なんじゃないか と。
十角館の殺人,清原紘
フランシス・M・ネヴァンズ・ジュニアは大学院の教授であり、推理作家・評論家でもある人物です。この人物が「エラリー・クイーンの世界」という伝記でバールストン・ギャンビットを紹介しました。なお、この言葉はネヴァンズJr.の造語であり、バールストンは前述の通り、ある作品に登場する館の名前からとられています(後述)。ギャンビットはチェス用語の一つで、駒を犠牲にして優位に立つ戦術です。
死んだようにみせるというのが、バールストン・ギャンビットですが、負傷して被害者になるというのも含んでいいかもしれません。誰かに殴られたと言っていたが実は自作自演だったというのはミステリーによく登場します。
自ら傷を負うということと、駒を犠牲にするという部分が重なるため、ギャンビットというチェス用語が使われていると考えられます。
バールストンとは
ネタバレ注意
バールストンが登場するのはシャーロック・ホームズシリーズの作品です。作品名は「恐怖の谷」で、長編推理小説となっています。
名前の由来となっている恐怖の谷ですが、実は、この作品よりも前に、ホームズシリーズでバールストン・ギャンビットが使われています。「ノーウッドの建築業者」という短編作品です。ノーウッドの方は1903年に発表された作品ですので、かなり古い作品といえます。
使用例
バールストン・ギャンビットが使われた作品をいくつかご紹介します。1900年頃から存在するトリックですが、今現在もよく使われています。なお、リストには死んだふりをするだけではなく、負傷する作品も含んでいます。
ネタバレ注意
- ノーウッドの建築業者(シャーロック・ホームズシリーズ)
- 恐怖の谷(シャーロック・ホームズシリーズ)
- ナイルに死す(名探偵ポワロ)
- シンフォニー号連続殺人事件(名探偵コナン)
- 悲恋湖伝説殺人事件(金田一少年の事件簿)
- かまいたちの夜(※進め方によって登場しない場合もある)
所感・参考資料
「十角館の殺人」で使われたことで、やや有名になったかもしれませんが、あまり使われないマニアックなミステリー用語だと思います。以下参考文献です。

