最後のアトリエ・あらすじ・ネタバレ解説【相棒シーズン9第3話】

最後のアトリエ』は2010年11月10日に放送された相棒season9の第3話です。夭折した天才画家の回顧展を企画していたイベント運営会社の社長が殺害される事件を杉下右京と神戸尊が解き明かします。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレ、感想、余談などをまとめています。

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あらすじ

イベント運営会社「三木プランニング」の社長・三木昌弘がオフィスで他殺体となって発見される。現場に落ちていた書籍の新刊案内から、右京は夭折した天才画家・有吉比登治の生涯を描いた書籍が関与していると推測する。実際、三木の会社は有吉の回顧展を請け負っており、その回顧展では有吉が死の直前に引き裂いたとされる最後の作品「晩鐘」も展示される予定だった。三木のオフィスを訪れた右京と尊は、有吉の友人だったという榊隆平という老人と出会う。榊が回顧展に提供した有吉の手紙を確認すると、初めて訪れたはずのオフィスで迷いなく手紙の入った段ボール箱を選ぶ姿に、右京と尊はささやかな疑問を抱く。捜査が進むにつれ、有吉の小説に描かれた人物像と、手紙から垣間見える榊への態度との間に矛盾が生じ、さらに贋作家の存在や、「晩鐘」を巡る不可解な状況が明らかになっていく。

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登場人物とキャスト

  • 榊隆平(米倉斉加年)
    有吉比登治の友人であり、自身も画家として活動する老人。大蔵画塾の講師も務める。
  • 三木昌弘(貴山侑哉)
    被害者。イベント運営会社「三木プランニング」の代表取締役。
  • 白藤譲(柄沢次郎)
    NANKYU AGENCYに勤務し、回顧展のスタッフを務める。
  • 平野雅子(建みさと)
    三木プランニングのアシスタント。三木の婚約者でもある。
  • 有吉比登治(水谷百輔)
    22歳で病死した天才画家。
  • 江頭(卜字たかお)
    大蔵画塾の関係者。
  • 山下(藏内秀樹)
    銀座の画廊の店主。
  • 矢部(関川慎二)
    城南芸術大学の教授で、絵画の鑑定を行う。
  • 高柳元(荒谷清水)
    前科のある贋作家。三木と揉めていたとされる。
  • 銀座山形屋店員(岡田啓壱)
    榊がスーツを新調した店の店員。
  • 三木プランニング社員(新虎幸明)
    三木プランニングの社員。
  • ミシェル
    有吉の絵のモデルを務めたアメリカ人の少女。
  • 【青年期】榊隆平(島嵜寿)
    若き日の榊隆平。
  • 杉下右京(水谷豊)
    警視庁特命係の係長。
  • 神戸尊(及川光博)
    警視庁特命係の警部補。右京の相棒。
  • 宮部たまき(益戸育江)
    小料理屋「花の里」の女将で、右京の元妻。
  • 米沢守(六角精児)
    鑑識課の巡査部長。
  • 伊丹憲一(川原和久)
    捜査一課の刑事。
  • 角田六郎(山西惇)
    組織犯罪対策五課の課長。
  • 芹沢慶二(山中崇史)
    捜査一課の刑事。伊丹の後輩で、特命係との板挟みになることが多い。
  • 中園照生(小野了)
    刑事部参事官。内村刑事部長の腰巾着的存在で、特命係の動きを監視している 。
  • 大木長十郎(志水正義)
    特命係の部屋の前の廊下を警備する刑事。
  • 小松真琴(久保田龍吉)
    特命係の部屋の前の廊下を警備する刑事。
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ネタバレ

事件の犯人は、有吉比登治の親友であった榊隆平でした。有吉が死の直前に描いたとされる最後の作品「晩鐘」ですが、実は引き裂かれていません。手紙に「絵を引き裂いた」と書いたのは、ひねくれた性格の有吉が唯一心を許せる友人である榊を、自身の最期に駆けつけさせるための嘘でした。しかし、榊が駆けつけた時、有吉は既に他界しており、榊は深い後悔を抱えることになります。
数十年後、榊は三木が企画した有吉の回顧展で、有吉が本当に絵を引き裂いたことになっている小説を読み愕然とします。榊にとって「晩鐘」は、亡き親友との友情の証そのものであり、それを金儲けのために傷つけようとする三木の行為が許せず、カッとなって灰皿で殴り殺してしまいます。自首を考えた榊ですが、かつて有吉と交わした「個展が開けたら互いに入場券のもぎりをしよう」という約束を教会の鐘の音で思い出します。そして、贋作師の手に渡っていた本物の「晩鐘」を回顧展で飾られる姿を見届けるため、自首を思いとどまることになります。

結末

右京によって全ての真相を解き明かされた榊は、静かに罪を認めます。伊丹たちに連行される前、回顧展の会場に多くの人々が詰めかけている光景を穏やかな表情で見つめ、『晩鐘』を取り戻してくれた伊丹たちに深々と頭を下げました。事件後、関係者が「殺人事件があった絵として宣伝になる」と話すのを耳にした右京は、「絵の価値は見た人が決めるものです」と静かに語り、物語は幕を閉じます。

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感想と考察

「最後のアトリエ」は、芸術家の友情と悲劇的な動機が深く描かれた、叙情性あふれる作品として高い評価を得ました。特に ゲストの米倉斉加年さんが演じた榊隆平の円熟した演技は、頑固でありながらも深い情を秘めた老画家の心情を見事に表現し、視聴者の感情移入を誘います。有吉の「俺の個展を開く時はおまえにモギリをやらせる」という言葉が、最初は傲慢に見えながらも、最後には親友への愛情の証として反転する展開は、相棒らしいひねりの効いた構成でした。また、ラストシーンでの右京の「誰かの演出や話題性で本当の名画が生まれるとは思えません。絵の価値は見た人が決めるものです」という言葉は、メディアの扇情性や大衆の消費行動に対する批判的な視点を含み、番組制作陣のメッセージが込められているとも解釈できます。一方で、ミステリーとしての推理の過程や、一部キャラクターの描写に整合性の甘さを指摘する声もありましたが、全体としては感動的なヒューマンドラマとして深く記憶に残るエピソードとなりました。

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余談

  • 初回放送日は2010年11月10日(水)で、このときの視聴率は18.4%を記録しました。
  • 右京の元妻・宮部たまきと右京の美術館デートシーンは、過去シーズンで登場した絵が再利用されるという小道具の使い回しがあり、ファンには嬉しいサプライズとなりました。
  • 作中に登場する小説「筆折れ命果つるまで」の著者「北之口秀一」は、シーズン5第6話「ツキナシ」に登場した川崎麻世さん演じる直木賞作家と同名です。そのため、同一人物が書いたと考察されています。

作中の名言

  • 「誰かの演出や話題性で本当の名画が生まれるとは思えません。絵の価値は見た人が決めるものです。」(杉下右京)
  • 「あなたは、ご自身を画家では無いと仰いました。でも、やはり画家だからこそ『晩鐘』を理解できるんですよ。」(杉下右京)
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