ビデオテープの証言・あらすじ・ネタバレ解説【刑事コロンボ30】

刑事コロンボ第30話・S4E5『ビデオテープの証言(Playback)』はビデオテープでアリバイを作るエピソードで、1975年に放送されました。ハイテク機器がちりばめら れた豪邸を舞台に、電子機器メーカーの社長が義母を殺害し、監視カメラの映像を駆使してアリバイ工作を図ります。74分と比較的コンパクトなエピソードながら、練り込まれたトリックとコロンボの鋭い洞察力が光る作品として評価を得ています。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、犯人の偽装工作や結末、感想、考察、小ネタ(豆知識やトリビア)などをまとめています。

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あらすじ(ネタバレ注意)

ミダス電子工業の社長であるハロルド・ヴァン=ウィック(オスカー・ウェルナー)は、会社の業績悪化や不倫を理由に、会長である義母によって、社長を解任されそうになります。ハロルドは社長の座に居座るべく、強盗殺人を偽装して義母を自宅の屋敷内で殺害。殺害時の様子を屋敷の防犯カメラで録画し、その映像をタイマーを使って屋敷のガードマンにみせることで、犯行時刻を操作します。そして、ハロルド自身は、招待状をもってある画廊に出掛け、アリバイを作ります。

強盗殺人に疑いをもつコロンボは、ハロルドが屋敷にいる時に銃声が鳴ったことなどを根拠に、ハロルドを追求しますが、うまくかわされてしまいます。そこで、コロンボは決定的な証拠をつかむため、義母殺害時のビデオを徹底的に見直します。そしてついに、ビデオに映った画廊の招待状をみつけます。画廊の招待状が映っているということは、義母が死んだとき、ハロルドがまだ屋敷にいたということになる――コロンボに、決定的な証拠を突き付けられたハロルドは、完全に取り乱し、連行されます。

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登場人物とキャスト

  • コロンボ警部(ピーター・フォーク)
    ロサンゼルス市警の警部。珍しく風邪をひいている。
  • ハロルド・ヴァン・ウィック(オスカー・ウェルナー)
    犯人。ミダス電子工業の社長。妻エリザベスの車椅子生活のため、ハイテク機器を導入した豪邸に住む。義母マーガレットに解雇と浮気を突きつけられ、殺害を計画。冷酷さと幼児性が同居する人物として描かれる。日本語吹き替えは山田吾一。
  • マーガレット・ミダス(マーサ・スコット)
    被害者。ミダス電子工業の会長であり、エリザベスの母。ハロルドの会社の私物化と浮気に我慢の限界を迎え、彼を解雇し、息子のアーサーを後任に据えようとする。日本語吹き替えは佐々木すみ江。
  • エリザベス・ヴァン・ウィック(ジーナ・ローランズ)
    ハロルドの妻で、車椅子生活を送る。夫のハロルドを深く愛し、彼が自身の障害のために開発したというハイテク機器を感謝している。夫の悪事を最後まで信じようとしないが、最終的には真実を受け入れる。日本語吹き替えは二階堂有希子。
  • アーサー・ミダス(ロバート・ブラウン)
    エリザベスの弟。マーガレットがハロルドの後任社長として推薦しようとしていた人物。日本語吹き替えは佐々木功。
  • フランシーヌ(パトリシア・バリー)
    ハロルドがアリバイ工作のために訪れた画廊の店主。日本語吹き替えは曽我町子。
  • バクスター(ハーバート・ジェファーソンJr.)
    ヴァン・ウィック邸のガードマン。監視カメラのモニターを管理し、マーガレットの遺体を発見する。日本語吹き替えは伊武雅之(伊武雅刀)。
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トリック解説

犯人は、強盗殺人に偽装して、標的を殺します。そして、アリバイを作るため、防犯カメラの映像を利用します。

強盗殺人の偽装

犯人のハロルドは、義母を強盗殺人にみせかけて殺します。そのために、屋敷にある格子状の窓の一部を外し、窓を開けておくことで、強盗が窓の一部を壊して鍵をはずしたようにみせています。さらに窓の下の外壁には、泥をつけています。

アリバイ工作

屋敷の防犯カメラ、録画機能などを使って、犯行時刻を遅らせます。カメラの映像はガードマンが常に監視しています。この映像は、センサーが反応した時だけ録画される仕組みになっています。

  • 映像の切り替え
    ガードマンが見ているモニターに、監視カメラの映像とは別の映像を送ります。屋敷の装置は、配線を少し変えるだけで、映像を切り替えることができます。犯行現場は屋敷の書斎のため、ガードマンのモニターには、書斎の映像を送ります。
  • 義母殺害と録画
    ガードマンに違う映像をみせている間に、花瓶を倒して、義母を書斎におびき出し、殺害します。義母殺害の様子は、録画しておきます。
  • 殺害映像の転送
    タイマーを使って、ガードマンのモニターに義母殺害の映像が映るように仕込みます。
  • 外出
    タイマーが作動する前(義母殺害映像が映る前)に外出し、アリバイを作ります。ガードマンは、犯人が外出した後、被害者が何者かに殺されたと思い込みます。
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犯人のミス

コロンボが強盗殺人に疑いをもち、真犯人を追求する手がかりです。

いつもと違う行動

犯人のハロルドは、アリバイ工作のため、いつもと違う行動をとります。

行先のメモ

ハロルドは、義母殺害後、画廊へ出掛けますが、屋敷を出る時に、行先を雑誌に書いて、ガードマンに渡します。普段は、口頭で伝え、それをガードマンが用紙にメモしていました。義母殺害の映像が流れる時刻に、画廊へと辿り着いていなければ、犯人のアリバイを証言する人がいなくなります。そのため、急いで画廊に向かう必要がありました。

ちぐはぐな証拠

強盗殺人について、ちぐはぐな証拠が発見されます。

  • 何も取られていない
    強盗は、何も盗んでいませんでした。盗みに入り、殺人は犯したけれど、何も盗まなかったという状況は、不自然です。

  • 屋敷の中には、泥(庭の土の乾燥を防ぐマルチ)が一切ついていませんでした。
  • 浅い足跡
    窓から逃げた場合、やや高いところから飛び降りることになるため、窓の下の土には、深い足跡が残るはずです。しかし、足跡はどれも浅いものでした。犯人のハロルドは、靴を脱いだ、そっと降りた、などと言い、コロンボの追求から逃れています。

犯行の証拠

犯人の犯行や偽装工作を匂わせる証拠です。

妻の証言

義母殺害時、屋敷には犯人の妻が、寝室にいました。妻は、銃声を聞いており、その時、「椅子の上のピエロをみた」と話します。椅子の上のピエロをみるためには寝室のドアが開かなければなりません。コロンボは、実験によって、書斎の銃声でドアが開ことを証明します。
この実験について、犯人は、ドアの誤作動であると言い逃れします。銃声でドアが開くのは確かですが、妻がピエロをみた時に銃声が鳴ったとは断定できません。

招待状

義母殺害時の映像には、画廊の招待状が映っていました。その招待状は、ハロルドに宛てた特別なものであり、画廊の受付が受け取り、保管していました。つまり、ハロルドが画廊へ向かう前に義母は殺されたことになり、犯人のアリバイは完全に崩れます

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感想

コロンボの愛犬が登場するエピソードでした。その特異なキャラクターとテーマ性から、視聴者の印象に残る作品になっていると思います。義母を殺害する冷酷な犯人ながらもどこか憎めない、あるいは「子供のような性格」と評されるハロルド・ヴァン・ウィックを演じたオスカー・ウェルナーの演技は絶賛されています。また、犯人の妻エリザベスを演じたジーナ・ローランズの「流石の存在感」と「とても美しく見えた」という評価も多く、彼女の優雅で哀愁漂う演技もまたみどろになっています。ハイテク豪邸の描写は、当時の視聴者に「アメリカってすごいや!」という感動を与えたようです。音に反応するドアや電動車椅子昇降機といった先進的な設備は、今見てもその先見の明に驚かされます。コロンボが風邪をひいてくしゃみをするシーンや、画廊で換気口をアート作品と間違えるコミカルな場面も、警部の人柄を表す魅力的な要素として楽しまれました。
「古畑、風邪をひく」では、古畑任三郎が風邪をひきます。内容は「ビデオテープの証言」とだいぶ異なります。原題は「Playback」で意味は『再生』などです。邦題の「ビデオテープの証言」とは異なります。

口コミ分析

海外サイトの口コミには、electronics、good、excellent、国内サイトには、ビデオテープ決め手、換気口などが書き込まれています。

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余談

  • ハロルド役のオスカー・ウェルナーは、フランソワ・トリュフォー監督作品などで知られる映画俳優であり、本作が彼のキャリアで唯一のテレビドラマ出演でした。ピーター・フォークが彼を口説くためにスイスまで出向いたと言われています。
  • エリザベス役のジーナ・ローランズは、第10話「黒のエチュード」で犯人役を演じたジョン・カサヴェテスの妻です。同じく「愛する夫の犯行を知る妻」という役どころで、カサヴェテス夫妻の友人であったピーター・フォークとの共演は、ファンにとって感慨深いものとなりました。
  • 劇中に登場するデジタル表示の腕時計は、1975年当時としてはまだ非常に目新しく、高価な最先端機器でした。ハロルドが誇らしげに時計を見せびらかす描写から、当時の雰囲気を感じとれます。
  • コロンボ警部が終始風邪をひいてくしゃみをするという珍しい設定があります。
  • コロンボが画廊で現代アート作品を理解できず、最終的に壁の換気口を作品と間違えてしまうシーンは、彼の庶民的な人柄を際立たせる、計算された「笑えるシーン」として人気です。
  • 日本語吹き替え版では、エリザベスが夫の逮捕に泣き叫ぶシーンで終わりますが、オリジナル版ではコロンボがうつむく静止画で静かに幕を閉じます。この「日本独自の演出」は、視聴者の間で語り継がれています。
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この記事のまとめ

刑事コロンボ「ビデオテープの証言」について、あらすじやトリックをご紹介しました。最後にドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。犯人は、監視カメラに映る映像をすり替え、犯行時刻を偽装します。

項目 内容
殺人の計画性 あり
偽装工作 強盗殺人を偽装
ミス 招待状
動機 社長解任を阻止
凶器 拳銃
トリック 映像すりかえ
コロンボの罠
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