名探偵ポワロ・第52話・S9E3『ナイルに死す』のあらすじ、トリック解説です。親友の恋人を奪った美人の大金持ちが、ハネムーンで、親友に付きまとわれます。
あらすじ
金に困っていたサイモンと婚約者のジャクリーンは、ジャクリーンの親友で大金持ちのリネット・リッジウェイを訪ねます。その用件は、サイモンの仕事の斡旋で、ジャクリーンはリネットに、リネット邸の管理人の仕事をサイモンに任せるよう頼み込みます。
三ヶ月後…、リネットはサイモンと結婚し、新婚旅行でエジプトにやって来ていました。そこには、恋人を奪われたジャクリーンの姿があり、彼女は、新婚夫婦に付きまとっていました。うんざりした夫婦はジャクリーンを出し抜くため、偽名を使い豪華客船カルナック号への乗船を決めます。しかし、夫婦が船に乗り込むと、そこには何故かジャクリーンの姿がありました。
その後、寄港先の神殿でリネットが落石の下敷きになりそうになります。その犯人は、どうやら、ジャクリーンではない様子でしたが、誰もが、ジャクリーンにはリネット殺害の動機があると感じているようでした。
そして、夜遅く、船内でサイモンとジャクリーンが言い争いになります。激昂したジャクリーンは、携帯していた小型の拳銃を取り出し発砲。弾がサイモンの足に命中します。発砲に取り乱したジャクリーンは乗客に付き添われ自室へ向かい、そのまま朝まで介抱されます。太ももを撃たれたサイモンも、乗客の医者に連れられ、医者の客室で一晩を過ごします。
翌朝、リネット殺害が発覚します。リネットは自室のベッドで死んでおり、拳銃で頭を撃たれていました。死体近くの壁にはJの文字が残され、それはジャネットの頭文字を意味しているようでした。しかし、ジャネットは発砲騒動のあと、別の乗客とずっと一緒にいたため、完璧なアリバイがありました。騒動前の犯行も不可能で、その理由は、ジャネットがサイモンらと一緒にいたというアリバイがあったためでした。
レイス大佐と捜査を進めるポワロは、関係者から話を聞き、さらに、所持品や室内を調べ手掛かりを集めます。最中、被害者リネットのメイドが刺殺され、さらに、メイド殺害の犯人をみたというご婦人までもが、銃殺されてしまいます。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
トゥトゥトゥー♪
登場人物とキャスト
ポワロ以外の登場人物です。このエピソードでは、ポワロの友人であるレイス陸軍大佐が助手となります。
- リネット・リッジウェイ
最初の被害者。金持ちの美人。親友であるジャクリーンの恋人を奪って結婚する。結婚後の姓はドイル - サイモン・ドイル
リネットの夫。ジャクリーンの元婚約者。ジャクリーンに足を撃たれる - ジャクリーン・ド・ベルフォール
サイモンの元婚約者 - ルイーズ・ブールジェ
二番目の被害者。リネットのメイド - ジョアナ・サウスウッド
リネットの友人。冒頭、ネックレスをいじっている女性 - アンドルー・ペニントン
リネットの管財人 - ヴァン・シュワイラー
老婦人。コーネリアに口うるさく物を言う女性 - コーネリア・ロブスン
シュワイラー夫人の親戚、付き添い。発砲事件のとき、その場にいた女性 - サロメ・オタボーン
三番目の被害者。作家 - ロザリー・オタボーン
サロメの娘 - ティモシー・アラートン
リネットの友人。マザコンと評判。客船では何かとポワロにかみつく - ミセス・アラートン
ティモシーの母親。ジョアナとは親戚 - コンラッド・ファーガスン
ヒゲの男性 - ベスナー
医師
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Jacqueline De Bellefort ジャクリーン |
Emma Griffiths Malin |
| Simon Doyle サイモン |
JJ Feild |
| Linnet Ridgeway リネット |
Emily Blunt |
事件のまとめ・謎
殺されたのはリネット、メイドのルイーズ、そして、ルイーズ殺害の犯人らしき人物を目撃したサロメです。リネット殺害の明確な動機があるのは、ジャクリーンだけですが、彼女にはアリバイがあります。また、神殿での落石事件もジャクリーンには不可能なようです。
- 凶器の拳銃
リネット殺害に使われたジャクリーンの拳銃は、ナイル川に捨てられていました。銃に装填できる弾は二発で、二発とも撃たれたようでした。弾はまず、ジャクリーンがサイモンに向けて発砲しています。その後ジャクリーンは、発砲に驚き、銃をその場に落としてしまいます。その銃を、何者かが広い、そして、リネット殺害に使用したようです - 落石の謎
神殿で一度、リネットは命を狙われました。それは、リネットのちょうど真上にあった大きな石が落下するという事件でしたが、ジャクリーンは落石が起きた神殿nからやや離れたところにいました。そのため、ジャクリーン自身に犯行は不可能なようです - 盗難事件の謎
リネットの身につけていた高価な真珠のネックレスが盗まれます。このネックレスは、3カ月前、リネットの友人ジョアナが触っています
伏線・手掛かり
リネット殺害、落石、ネックレス盗難の謎を解く手掛かりをまとめます。
証拠
リネットが死んだ部屋の壁にはJの血文字が残されていました。ジャクリーンの頭文字のようですが、彼女にはアリバイがあり、犯行は不可能です。そのため、被害者以外の人物が残したと考えられます。
- スカーフ
川で見つかった拳銃はスカーフにくるまれており、そのスカーフには発砲によって穴があいていました。スカーフはシュワイラー夫人がなくしたもので、紛失したのはジャクリーンの発砲事件よりも前でした。発砲事件が起きたのは偶然で、さらに、たまたま拳銃を拾った犯人が犯行に及んだ、というのが事件発覚時の見立てでした。これに対して、穴のあいたスカーフは、発砲事件の予見を示すような証拠となります - 偽のネックレス
リネットの客室からネックレスを盗んだのは、威張った態度のシュワイラー夫人でした。夫人には盗み癖があり、コーネリアはその見張りのため、旅行に随行していました。コーネリアは靴下の中でシュワイラー夫人が盗んだネックレスをみつけ、それをポワロに返します。しかし、そのネックレスはレプリカでした - ローズのマニキュア
リネットの部屋にはローズ色のマニキュアがありましたが、中身は空でした。ローズ色は、リネットが旅行中に使っていた色ではないようです - メイドの握った紙幣
メイドは1000フラン札の切れ端を握っていました。これを根拠にポワロは、メイドが何者かを脅迫し、金を受け取ったところを殺害されたと推理します - 3つの拳銃
ナイル川で見つかった拳銃、すなわち、ジャクリーンが持っていた拳銃以外に2つの拳銃が客船に存在します。1つは管財人ペニントンの部屋から発見されます。さらに、ロザリー・オタボーンのバッグの中からも見つかります。ポワロは、ロザリーが拳銃所持について正直に話していなかったと問い詰めますが、ロザリーは所持を否定します。再び調べてみると、本当に、ロザリーのバッグに拳銃はないようです
証言
リネット殺害が発覚した後、ポワロとレイス大佐は関係者に話を聞いています。
ラウンジでの発砲事件について、ジャクリーンはその蛮行を認めています。しかし、リネットは殺していないと話しています。
- リネットの敵
夫であるサイモンが、リネットの敵について語っています。それは、リネットの父親が原因で大損した人物の子供が、リネットに恨みを抱いているという内容でした。ただし名前は不明です - メイドの証言
メイドは「なにか見たかもしれません。その殺人犯が奥様の部屋に入る、あるいは出るのを」と話し、サイモンに「どう答えればいいですか!?」と大声で問い掛けています。このあと、メイドは殺されてしまいます - 水音
- アラートン夫人は、パシャンという水音と誰かが走る音を耳にしています。水音が先か、それとも足音が先かは、定かではないようです
- アラートン夫人の息子・ティモシーは、走る音の後に、水音を聞いています。ただ、水音は銃声かもしれないし、コルクの抜ける音かもしれないと、あやふやな証言をしています
- 発砲事件からやや過ぎた頃、シュワイラー夫人も水音を聞いています。夫人によれば、ロザリーが水面をのぞいてたようです。しかし、ロザリー本人は、このことを否定しています。この真相は、ロザリーの母親サロメが隠していたアルコールを川に捨てた音でした。作家のサロメはアルコール中毒で、その症状が、乗船中にも現れていたようです
- 物音
シュワイラー夫人は、他にも、死んだリネットの部屋で誰かが動き回る音も聞いているようです。シュワイラー夫人自身も、ネックレスを盗んでいますが、他にも、リネットの部屋に忍び込んだ人物がいるようです - 落石時の居場所
管財人のペニントンは神殿で落石があったとき、神殿の中にいたと話しています。しかしこれは嘘で、神殿の中にはいませんでした
ネタバレ
リネットを殺害した犯人はサイモンです。そして、メイドと作家を殺害したのはジャクリーンで、彼女はサイモンと共犯関係にありました。二人の動機はリネットの財産です。
ラウンジでのジャクリーンの発砲は予め計画されていました。そして、ジャクリーンの撃った弾はサイモンには命中していませんでした。まずサイモンは、マニキュアの瓶に入った赤いインクを使って撃たれたふりをし、ラウンジから人を遠ざけました。そして、誰もいなくなった瞬間に銃を拾い、走ってリネットのもとに向かいました。リネット銃殺後、ダイイング・メッセージを残し、ラウンジへと戻り、そこで自分の足を撃ちました。この時点で、3発の弾丸が発射されていますが、サイモンは3発目の弾丸ももっていました。
自分の足を撃ったあと、サイモンは凶器の拳銃をスカーフにくるんで川に投げ捨てています。
- メイド殺害の真相
メイドを殺害したのはジャクリーンです。メイドは、実は、リネット殺害の犯人、つまりサイモンを目撃していました。メイドは、このことをほのめかす内容をポワロの聴取のときに証言し、サイモンを脅していました - 作家殺人の真相
作家はメイドの部屋を訪れるジャクリーンを目撃していました。このことをポワロ達に伝えた時、そばにはサイモンがいました。共犯者であるジャクリーンの犯行が発覚すると思ったサイモンは大声でジャクリーンに知らせ、それに気付いたジャクリーンが犯行に及びました - 落石の真相
石を落としたのはペニントンのようです。すくなくともポワロは、そう考えているよです。ペニントンはリネットの財産を管理していましたが、その財産を使い込んでしまったため、リネットの殺害を企んだようです - 盗難の真相
見つかった真珠のネックレスはレプリカでした。このレプリカと本物をすり替え、本物のネックレスを盗み出したのはティモシー・アラートンでした。彼は、ジョアナと共謀し、ネックレスを盗んでいました。ネックレス盗難は3ヶ月前から始まっていました。まず、ジョアナがリネットに近づきネックレスを調べ、レプリカを作成。そのレプリカをティモシーが受け取り、客船の中ですり替えました - その他の隠された真実
ヒゲの男性ファーガスンは爵位をもつ身分にあり、お金持ちでした。ファーガスンの正体に加え、作家のアルコール中毒、威張った婦人の盗み癖、ネックレス盗難などなどは、殺人事件には直接関係がなったといえます
結末
港に到着し、関係者達は下船します。そこには犯人のサイモンとジャクリーンの姿もありました。ジャクリーンは、キスさせて欲しいと願い出て、ポワロの許可を得たのち、サイモンに近付きます。そして、隠し持っていた銃でサイモンを撃ち、さらに自分も撃ち抜いて、恋人とともに心中します。
ロザリー・オタボーンのバッグからみつかった拳銃はジャクリーンのもので、持ち物検査のとき、ジャクリーンはロザリーのかばんに拳銃を隠していました。この拳銃は、二人が口紅を比べたときに回収され、その後は、最後までジャクリーンの手元にあったようです。
ポワロはこのことに気付いていながらも、ジャクリーンとサイモンのキスを承諾していました。
感想
新婚旅行につきまとう元恋人、そんな溢れんばかりの醜い行動に、殺人以上の恐ろしさを感じています。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「ナイルに死す」のあらすじ、真相をご紹介しました。原作「Death on the Nile」の邦題は「ナイルに死す」です。原作に登場する人物のうち、ドラマでは弁護士、考古学者、看護師など何名か省かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 嫌がらせの相談 |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 容疑者のアリバイ |

