刑事コロンボS3E8「権力の墓穴(A Friend in Deed)」は第3シーズン最終話で、今回は、コロンボの上司であるロサンゼルス市警の本部次長が犯人です。大胆な設定、巧妙に張り巡らされた伏線、そして爽快なラストシーンがみどころの名作エピソードのひとつです。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、犯人の偽装工作や結末、感想、考察、小ネタ(豆知識やトリビア)などをまとめています。
あらすじ(ネタバレ注意)
ロサンゼルス市警察本部次長マーク・ヘルプリンは、隣に住む友人が妻を誤って殺してしまったと聞き、その犯行の隠蔽を買って出ます。マークは、友人の妻が生きているように見せ、友人のアリバイを作り、世間を騒がせている連続窃盗犯の犯行に偽装します。自身の立場を利用して、窃盗犯の犯行をでっち上げたマークは、自分の妻も殺し、窃盗犯の犯行にみせます。この時、アリバイを作るため、妻を殺してしまった友人に、犯人役を演じるように命令します。
コロンボは、最初の被害者の着ていたナイトガウンや電話の指紋などから、共犯を疑い、上司である次長に疑いの目を向けます。そして、次長を逮捕するため、本物の連続窃盗犯を使って、次長を罠にはめます。次長は、すべての犯行を、連続窃盗犯になすりつけるため、窃盗犯の自宅に、証拠を残します。この自宅というのは、実はコロンボが借りていた部屋でした。コロンボの部屋と窃盗犯の部屋を勘違いできる人物は、次長のマーク以外におらず、言い逃れできなくなったマークは、黙って、連行されます。

©Universal City Studios
登場人物とキャスト
- コロンボ警部
ピーター・フォーク
ロサンゼルス市警の刑事。ロサンゼルス市警の警部。愛車プジョーはエンジンの調子が悪く、バッテリー上がりを起こしたりセルモーターがいかれたりと散々だが、買い換える気はない。 - マーク・ハルプリン次長
リチャード・カイリー
【犯人】ロサンゼルス市警の次長。ギャ ンブル好きで、妻の財産を狙って殺害を企てる。警察の権力を利用して捜査を攪乱する。 - ヒュー・コードウェル
マイケル・マクガイア
【犯人】マークの友人で隣人。妻ジャニスを衝動的に殺害してしまい、マークに協力を求める。気弱な性格で、マークに脅されてマーガレット殺害の偽装工作を手伝う。 - マーガレット・ハルプリン
ローズマリー・マーフィ
【被害者】マークの妻。慈善事業に熱 心で、莫大な財産を持つ。夫の金銭欲のために殺害される。 - アーティ・ジェサップ
ヴァル・エイヴリー
前科者の宝石窃盗犯。コロンボの巧妙な罠に協力させられ、事件解決の重要な鍵となる。シャム猫を恐れる愛すべきキャラクター。 - ダフィ警部
ジョン・フィネガン
ロサンゼルス市警の警部。コロンボと連携して捜査を進める。 - ランドール刑事
ベン・マリノ
ロサンゼルス市警の刑事。 - マクマレイ検視官
ジョシュア・ブライアント
検視官。マークが妻を風呂で溺死させたことを示す「石けん」の成分を発見する。 - チャーリー・シュープ
ジョン・カルヴィン
自動車整備員。ジャニス・コードウェルの浮気相手。 - ウェクスラー
エリック・クリスマス
宝石店店主。ジャニスの宝石が模造品であ ることをコロンボに伝える。 - テルマ・ジェサップ
エレノア・ズィー
アーティの妻。柄は悪いが夫婦仲は良い。 - ドイル刑事
ビクター・カンポス
コールドウェル夫人やハルプリン夫人の現場検証で指揮を執る。
トリック解説
事件はマーク・ハルプリン次長の隣に住む友人ヒュー・コードウェルが、誤って妻を殺してしまったところから始まります。コードウェルに助けを求められた次長は隣人の妻の死を連続窃盗犯の犯行に偽装します。この時、自ら、目撃者となることで、犯行時刻を誤魔化します。
- 隣人のアリバイ
隣人はクラブにいたというアリバイを作ります。これは、隣人がクラブで自宅に電話をかけ、それに次長が応えるというアリバイトリックです - ナイトガウン
次長は、死体をナイトガウンに着替えさせます。寝室にいたところ、物音がしたので、階下に降りたところ窃盗犯に殺されたというストーリーです - 目撃
帰宅した次長は、何気なくベランダに出て、隣の家に不審な人物がいたと騒ぎ、警察に通報します。次長の目撃証言ということもあり、犯行推定時刻は、次長が通報した時刻になります
次長は、入浴中の自分の妻を浴槽で溺死させます。そして、窃盗犯の犯行に偽装するため、隣人を使います。
- プールに投げ込む
隣人に窃盗犯役を押し付け、妻の死体を自宅のプールに投げ込むよう指示します。これにより、妻がプールで溺死したようにみせます - パトロール
ヘリコプターでパトロール中の次長が、プールに投げ込むそ窃盗犯(隣人)を目撃します - 動機の捏造
次長は、記者会見で、妻が窃盗犯を目撃した、という内容を発表します。窃盗犯は、妻を口封じで殺害したことになります。実際、目撃したのは次長だけです(そもそも目撃情報が嘘です)
犯人のミス
コロンボはうまく説明できない状況に頭を悩ませます。
ちぐはぐな証拠
- 電話の指紋
犯人は、隣人の犯行を偽装する際、妻が電話を出たという証言を捏造します。しかし、電話には指紋が残っていませんでした。電話に出たのは、妻ではなく、手袋をしていた人物となります - クローゼットの指紋
最初の被害者である隣人の妻は、クローゼットからナイトガウンを出して着換えている様子でした。このクローゼットの取っ手にも、指紋がついていませんでした。 - 枕の下のナイトガウン
最初の被害者は、その日着るナイトガウンを、枕の下に置いていましたが、死体は、クローゼットのナイトガウンを着ていました。被害者の夫(次長の友人であり隣人)は、妻のその習慣を知っていました。そのため、ナイトガウンを着せた人物は、夫以外となります
不自然な言動
- 通報
次長は、隣の家で不審者を目撃した直後に通報し、殺人課のコロンボを指名します。殺人が起きたかどうかはわからないはずなのに、コロンボを指名するという言動は、不自然です - 被害者の袖
次長の妻は、殺された日、公演の予定がありました。出掛けるところを殺されたようにみえる被害者ですが、袖は破れていました。破れた服で公演に向かう人物というのは、不自然です。
証拠
- ボーイフレンド
最初に死んだ妻には、ボーイフレンドがいました。犯行のあった日、妻はその男と会う約束をしており、男が電話をしていました - 泡ぶろ
次長の妻は、殺されたとき泡ぶろに入っていました。そのため、肺から石けんが検出されました
コロンボの罠
コロンボは本物の連続窃盗犯アーティ・ジェサップに次長の隣人ヒュー・コードウェルを脅迫させます。脅迫を知った次長は窃盗犯に罪をなすりつけようと画策。コロンボに窃盗犯の住所をそれとなくみせられ、その住所に証拠品である宝石を隠します。次長は、窃盗犯の自宅から決定的な証拠が出たという、偽装を成り立たせるつもりでしたが……、実はこの住所は偽物で、コロンボが借りた部屋の住所でした。コロンボの罠にはまった次長は、隣人の家から持ち出した宝石をコロンボの部屋に隠したことになります。さらに宝石はイミテーションだったので、目の肥えた窃盗犯が盗むはずがない代物でした。
感想
警察関係者が犯人、罠にはまって完全に追い詰められる犯人など、とても面白いエピソードです。世間の評価も高く、もっとも面白いコロンボのエピソードに挙げる方もいらっしゃいます。犯人が身内であろうと逮捕への執念が揺らがないコロンボに感動しますし、コロンボが最後に仕掛けた罠も見事です。警察関係者が犯人ということで、割とよくみかける真相ですが、古畑任三郎では第1シーズン最終話「最後のあいさつ」が該当し、このエピソードを思い出します。
- ボーイフレンド
最初に死んだ妻には、ボーイフレンドがいました。犯行のあった日、妻はその男と会う約束をしており、男が電話をしていました - 泡ぶろ
次長の妻は、殺されたとき泡ぶろに入っていました。そのため、肺から石けんが検出されました
口コミ分析
海外サイトの口コミには、wife、good、bestなどが書き込まれています。
国内サイトでは、次長、ラストシーン最高などが書き込まれています。
小ネタ
- 邦題の読み方
「権力の墓穴」は「はかあな」とも読めるが、正しくは「ぼけつ」と読む。 - 原題の意味
原題「A Friend in Deed」は、英語のことわざ「a friend in need is a friend indeed(まさかの時の友こそ真の友)」をもじったもので、「実行を共にする友」や「共犯」という意味が込められている。 - プジョーの評価
コロンボの愛車プジョー403は、査定でわずか80ドル……。
この記事のまとめ
刑事コロンボ「権力の墓穴」について、あらすじやトリックをご紹介しました。最後にドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 殺人の計画性 | あり |
| 偽装工作 | 強盗殺人を偽装 |
| ミス | 石けん |
| 動機 | 金 |
| 凶器 | (風呂場で溺死) |
| トリック | 交換偽装トリック |
| コロンボの罠 | 偽の住所 |
犯人は、過失致死で妻を殺してしまった隣人の犯行を連続窃盗犯の犯行に偽装し、その後、自分の妻を殺害します。

