『デイドリーム』は2014年1月8日に放送された、相棒season12の第11話です。警視庁の特命係に持ち込まれた「予知夢」を巡る奇妙な依頼から始まり、やがて複雑に絡み合った事件の真相が明らかになっていきます。おなじみの陣川公平警部補が登場し、コミカルさとサスペンスが融合した展開が見どころです。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
警視庁捜査一課経理担当の陣川公平は、自身の見た悪夢をきっかけに、インターネットの「夢診断」で知り合った新京大学心理学部准教授の西牟田叶絵と出会う。叶絵は自身が「死に至る不吉な予知夢」を見たと不安を訴え、陣川に警護を依頼。予知夢に興味を抱いた杉下右京と甲斐享も叶絵の警護に加わることになる。研修会場で叶絵と合流した一行は、通用口にできた不自然な水たまりを前にする。甲斐享が漏電に気づき叶絵を突き飛ばして救うのだが…、陣川は勘違いして激怒し、甲斐を突き飛ばして怪我を負わせてしまう。時を同じくして、叶絵の同僚で教授選のライバルである柄本麻耶准教授が殺害される事件が発生し、右京はこの事件にも関心を抱く。その後も、叶絵はガス爆発の危機に見舞われるなど、不審な出来事が続く。右京はこれらの事故が偶発的なものではないと直感し、叶絵を取り巻く人間関係や過去の出来事を追及していく。

登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。予知夢というオカルト的な事象にも興味を示す。 - 甲斐享(成宮寛貴)
警視庁特命係の巡査部長。右京の相棒。陣川に突き飛ばされて負傷し、離脱する。 - 陣川公平(原田龍二)
警視庁刑事部捜査一課経理担当の警部補。惚れっぽい性格。今回も自身が見た悪夢をきっかけに知り合った叶絵の警護を特命係に依頼する。 - 西牟田叶絵(雛形あきこ)
新京大学心理学部准教授。自身に予知夢を見る力があると主張し、自らの死を予感して陣川に警護を依頼する。 - 南雲英嗣(井上肇)
新京大学心理学部教授で、心理学センターの所長。叶絵と柄本の指導的な立場にある。 - 柄本麻耶(森谷ふみ)
新京大学心理学部准教授。叶絵の同僚で、教授選を争うライバル。自身のクライアントの秘密を暴露するなど、評判が良くない。 - 明月(浜近高徳)
私立探偵。柄本麻耶から叶絵のスキャンダルを調査するよう依頼を受けていた。 - 的場太一(藤本浩二)
柄本麻耶のクライアントの一人。自身の相談内容を暴露されたことで、麻耶に恨みを抱いている。 - 柳正吾(外川貴博)
元受刑者で暴力団「銀英会」の幹部。裏カジノのオーナーでもあり、角田課長に追われている人物。叶絵と接点を持つ。 - 西牟田郁子(蓬莱照子)
西牟田叶絵の母親。娘から「遺言のような手紙」を受け取り、その身を案じて訪ねてくる。 - 井波駿介(札内幸太)
叶絵のクライアントの一人。夢遊病を持つとされ、叶絵の研究対象として重要視されている。
ネタバレ
西牟田叶絵は予知夢を見たのではなく、自らの命を絶つことで柄本麻耶に復讐しようと画策していました。叶絵は南雲教授との不倫関係を麻耶に利用され、教授選の辞退を迫られただけでなく、南雲が麻耶に乗り換えたという嘘を聞かされていました。すべてを奪われたと感じた叶絵は、絶望のあまり自殺を決意。その際、死亡保険金を麻耶のクライアントによる訴訟費用に充てる計画を立て、元受刑者の柳章吾に事故に見せかけて自分を殺すよう依頼していました。しかし、計画実行前に麻耶が何者かに殺害されてしまいます。叶絵は柳への依頼をキャンセルしようとしますが、柳はすでに海外逃亡しており連絡が取れません。そのため、柳が仕向けた刺客から自分の身を守る必要が生じ、叶絵は自身の悪夢を口実に陣川を利用して警護させようとしました。麻耶殺害の犯人は、相談内容を無断で本にされ会社をクビになったクライアントのひとり、的場太一でした。的場は麻耶殺害後、現場に叶絵が現れたのを見て顔を見られたと思い込み、口封じのため叶絵を襲撃します。そして、柳が叶絵殺害のために雇った実行犯は、叶絵の患者を装っていた井波駿介でした。井波は叶絵が重視していた夢遊病の症例も、叶絵に近づくための嘘でした。
結末
右京の緻密な推理によって、叶絵の巧妙な策略と、麻耶殺害、そして叶絵襲撃事件の真相がすべて解き明かされます。叶絵はシンポジウムで発表することを望みますが、右京に停められます。その後、叶絵を狙っていた的場太一が麻耶殺害の犯人として、そして、柳に雇われた井波駿介が叶絵殺害の実行犯として逮捕されます。叶絵は自らの計画が明るみになり、その責任を負って連行されることになります。彼女が警護役として陣川を選んだのは、彼の正義感と純粋さにつけ込んだものでした。またもや叶絵に失恋した陣川は、酒に酔い潰れて愚痴をこぼし、物語は幕を閉じます。
感想と考察
「デイドリーム」というサブタイトルが示す通り、このエピソードは登場人物たちがそれぞれ抱いた儚い「夢」の物語でした。叶絵の復讐の夢、麻耶の野心の夢、南雲の再婚の夢、そして陣川の恋の夢。これらすべての「夢」が悪夢へと転じ、叶絵の計画は皮肉にも無意味なものとして完結します。特に叶絵と麻耶の関係は、「人を呪わば穴二つ」というテーマを象徴しており、お互いへの憎しみや野心が最終的に両者を破滅へと導いた点が深く描かれています。叶絵が南雲の言葉ではなく麻耶の嘘を信じて絶望し、衝動的に自殺計画を進めてしまった視野の狭さは、彼女が「心の専門家」である臨床心理士であることと対比され、右京の最後の言葉に重みを与えます。自身の命と引き換えに復讐を企てるという、非常に自己中心的な行動は、母親の気持ちを顧みないという点で、彼女の人間性や職業倫理に対する疑問を投げかけます。
陣川の登場回として、コミカルな要素が随所に散りばめられており、陣川の恋がまたしてもご破算になるというお約束の展開もありました。甲斐享が序盤で負傷し、右京と陣川が行動を共にすることで、普段とは異なるコンビネーションが生まれ、物語に新鮮な変化を与えた点も印象的でした。
余談
- 初回放送日は2014年1月8日です。このときの視聴率は16.2%を記録しています。
- 陣川公平の登場回は、彼が惚れ込んだ女性が事件に関わる、というお決まりのパターンがあります。今回もその期待を裏切らない展開となりました。
作中の名言
- 「クライアントや陣川君を利用しようとしたあなた、そして、母親の気持ちを考えずに死のうとしたあなた。果たして、臨床心理士としての資格がありますかねぇ……」(杉下右京)
(西牟田叶絵に事件の真相を突きつけ、その身勝手な行動と「心の専門家」としての適性を厳しく指摘した場面での言葉)

