『悪魔への復讐殺人』は2006年11月8日に放送された相棒season5の第5話です。シーズン4で描かれた連続殺人事件の犯人たちが再び登場し、その後の悲劇的な展開が描かれます。精神鑑定による責任能力の有無という、司法制度のあり方をも問う重厚なテーマが、右京と薫の捜査によって解き明かされていきます。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
快楽殺人犯の助手として働くうちに、自身も連続殺人犯となった安斉直太郎は、鑑定の結果「刑事責任能力なし」とされ不起訴処分となり、精神病院に強制入院していた。しかしながら退院が検討されるのだが…、外出訓練中に何者かに殺害さてしまう。現場には、安斉の外出訓練に同行していた看護師の堀切真帆も負傷して倒れていた。特命係の杉下右京と亀山薫は捜査を開始。まもなく、安斉によって娘を殺された父親の末次が犯行を自供するが、その証言には曖昧な点が多く、取り調べは難航する。右京と薫は、安斉のかつての上司であり、現在末次の担当医でもある精神科医・内田美咲と接触し、事件の真相へと迫っていく。

登場人物とキャスト
- 安斉直太郎(高橋一生)
被害者。前シーズンで逮捕された連続殺人犯。精神鑑定で不起訴となり入院していたが、外出訓練中に殺害される。 - 内田美咲(奥貫薫)
精神科医であり犯罪心理学の専門家。安斉直太郎のかつての上司。 - 堀切真帆(石橋けい)
安斉直太郎の外出訓練に付き添っていた看護師。安斉の死体とともに負傷して発見される。 - 末次朝雄(竹本純平)
安斉直太郎の被害者遺族の一人。安斉殺害を自供するが、その供述には不審な点が多い。 - 牧百合江(志水季里子)
安斉直太郎によって娘を殺害された被害者遺族。京都に住んでいる。 - 村木重雄(小日向文世)
回想シーンで登場する快楽殺人者。 - 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。論理的思考と卓越した洞察力で事件の真相を解き明かす。 - 亀山薫(寺脇康文)
警視庁特命係の巡査部長。情に厚く、時に直感で右京をサポートする。
ネタバレ
安斉直太郎殺害事件の捜査を進める特命係は、自首した末次の証言の不審な点から、真犯人が他にいると推測します。内田美咲が末次の担当医であること、また安斉の精神鑑定に深く関わっていたことが判明し、右京たちは美咲が事件に関与している可能性も探ります。
真犯人は末次ではなく、京都に住む別の被害者遺族、牧百合江でした。百合江は、安斉の外出訓練に同行していた看護師の堀切真帆から、安斉が退院に向けて外出訓練を行っているという情報を得ていました。真帆は、安斉が犯した罪を悔い改めている様子を百合江に伝えることで、百合江の心の救いになることを願って情報を漏らしましたが、その思いが裏目に出て、百合江は安斉への復讐を決行してしまいます。
結末
真帆の証言と右京たちの推理により、牧百合江が安斉を殺害した真犯人であることが明らかになります。百合江は安斉への復讐を果たし、安斉は自らが犯した罪への罰を受け入れるかのように、刺された瞬間に微かに笑みを浮かべていました。内田美咲は自身の責任を感じていましたが、右京の「もう二度とこんな事件を起こさない。そういう気持ちで、続けることはできないんですか?」という言葉に励まされ、医師としての道を続けることを決意します。この事件は、精神鑑定によって罪を問われなかった者への被害者遺族の深い恨みと、司法制度の限界を浮き彫りにするものとなりました。
感想と考察
本エピソードは、シーズン4の連続殺人事件の「その後」を描いています。司法と個人の感情が交錯したストーリーで、後日談ではありますが、精神鑑定による「心神喪失」という判断が、被害者遺族にとってどれほどの苦痛と不満をもたらすのか、その複雑な感情がテーマとして深く掘り下げられています。安斉直太郎が刺された瞬間に見せた曖昧な笑みは、彼が本当に罪を悔い改めていたのか、あるいは自らの死を「当然の報い」として受け入れたのかという様々な解釈を可能にするシーンとなっていました。演じておられるのが高橋一生さんということで、みどころとしてかなりの魅力があります。また、堀切真帆さんの「良かれと思ってしたこと」が悲劇的な結果を招いたことは、善意と結果の乖離、コミュニケーションの難しさを浮き彫りにしています。内田美咲が医師としての責任と葛藤する姿も人間味があり、右京の言葉が彼女の再起を促す場面は感動的でした。
余談
- 初回放送日は2006年11月8日です。このときの視聴率は15.4%を記録しました。
- 特命係の二人が事件捜査のために京都へ出張するシーンがありますが、実際に京都で撮影されたのは新幹線と五重塔の映像のみでした。
- 安斉が京都で犯した殺人事件の場所は「京都市右京区」です。
作中の名言
- 「もう二度とこんな事件は起さない。そういう気持ちで、続けることはできないんですか?」(杉下右京)
責任を感じ医師を辞めようとしていた内田美咲に対し、右京が医師の職を続けるよう諭した言葉。

