『陣川警部補の災難』は2007年10月31日に放送された相棒season6の第2話で、レギュラー放送の幕開けを飾るエピソードとなっています。タイトルの通り、陣川公平警部補が再登場。今回は陣川が殺人容疑で拘束されるという衝撃的な展開から始まります。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
かつて特命係に在籍したこともある、捜査好きで思い込みの激しい陣川公平警部補が、 男性の転落死事件の殺人容疑で身柄を拘束された。陣川は犯行を否認するものの、なぜか事件に関する詳細を固く黙秘し続ける。杉下右京と亀山薫は、真相を突き止めるべく独自に捜査を開始。陣川の部屋を調べた特命係は、警察関係の書籍に紛れて置かれた株雑誌から、人気女性ファンドマネージャーの紫藤咲江の存在を知る。陣川は咲江からストーカー被害の相談を受けており、転落死した男性・瀬口をストーカーと判断し追跡していた最中に事件が発生したと判明。一見すると陣川は無関係のようにも思えたが…、右京は咲江のような切れ者な女性がなぜ陣川に相談を持ちかけたのか疑問を抱き、事件の背後に隠された真実を深く追求していく。

登場人物とキャスト
- 陣川公平(原田龍二)
警視庁捜査一課一係の警部補。かつて特命係に配属された経験を持つ。真面目で正義感も強いが、短絡的で思い込みが激しい性格、そして、美人に翻弄される特性をもつ。被害者の瀬口と接触した直後に、瀬口が階段で転落して死亡してしまう。紫藤のことをおもって、当初は黙秘していた。 - 紫藤咲江(高橋ひとみ)
SHITOH CONSULTINGの社長を務める敏腕ファンドマネージャー。陣川にストーカー被害の相談を持ちかける。知的な印象の女性。 - 瀬口信大(阪田マサノブ)
大東京印刷会社の校正課主任。階段から転落死した被害者。 - 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。 - 亀山薫(寺脇康文)
警視庁特命係の巡査部長。 - 亀山美和子(鈴木砂羽)
薫の妻。ジャーナリストとして事件に関わることもある。 - 宮部たまき(高樹沙耶)
小料理屋「花の里」の女将。 - 伊丹憲一(川原和久)
捜査一課の刑事。 - 芹沢慶二(山中崇史)
捜査一課の刑事。 - 米沢守(六角精児)
警視庁鑑識課の職員。 - 角田六郎(山西惇)
組織犯罪対策部の課長。
ネタバレ
被害者の瀬口信大が紫藤咲江のストーカーではありません。瀬口は咲江に株のインサイダー情報を売っていた人物でした。瀬口の勤める印刷会社は株主総会前の重要情報に触れる機会が多く、社員は株取引を禁じられていましたが、瀬口はその情報を咲江に流し、見返りに金銭を得ていました。しかし、取引が続くうちに瀬口は咲江を脅迫するようになり、その要求はエスカレートしていきました。追い詰められた咲江は、瀬口を殺害することを計画。階段の上にロープを張って瀬口の足を引っ掛け、転落死に見せかけたのです。右京はこの殺害方法と、咲江が陣川にストーカー被害の相談を持ちかけた不自然さに着目し、咲江が犯人であると推理しています。
結末
右京と薫は、咲江の犯行を証明するために巧妙な罠を仕掛けます。それは、瀬口が亡くなった時にテレビで流れていたニュース映像を咲江に見せるというものでした。もし咲江が犯行時にオフィスを離れていなければ、このニュースを見ていたはずであり、その情報に基づいて株取引を行う指示を出していたはずです。しかし、咲江は映像を見て初めてその情報に反応し、株の買い集めを指示。この行動が、彼女が犯行時オフィスにいなかった動かぬ証拠となり、右京の罠にはまった咲江はついに犯行を自供します。顧客を裏切れないという重圧と、一度手を出してしまったインサイダー取引の過ちが、彼女を殺人へと導いたのでした。陣川は、惚れていた咲江が犯人だったという現実に直面しながらも、特命係の一員として事件解決に貢献できたことを喜び、花の里でいつものように泥酔します。
感想と考察
右京と薫の特命係が事件の真相を追う中で、一筋縄ではいかない敏腕ファンドマネージャーとの関係が浮上。シリアスな事件に巻き込まれながらも、どこか憎めない陣川の言動が、物語に軽妙なテンポとユーモラスな要素を加えています。特に陣川公平というキャラクターの魅力は際立っており、殺人容疑で拘束されるという衝撃的な導入から、特命係が彼の無実を信じて捜査を進める過程、そして彼が惚れた女性が犯人であるという展開は、陣川の弱い部分や、警察官としての正義感を描いていたように思えます。真面目なのに空回りし、美人に翻弄される姿は、シリアスな事件の合間に笑いを誘い、物語に独特のアクセントを加えていました。敏腕ファンドマネージャーである紫藤咲江の動機には、顧客の信頼と自身のプライドが絡んでいたようで、そしてそれが インサイダー取引という過ちに繋がり、彼女を破滅へと追い込んでいきました。まるで、現代社会における倫理観やプレッシャーの問題を浮き彫りにしていたかのようです。
余談
- 本作の初回放送日は2007年10月31日です。このときの視聴率は15.1%を記録しています。
- 亀山薫は冒頭で「特命係、第3の男と呼ばれたアイツを覚えているだろうか?」と語っています。
- 陣川警部補が特命係の部屋に誰もいない隙に、自分の名前が書かれた木札をこっそり右京と薫の隣に掛けてはすぐに外すというシーンが登場しました。
作中の名言
- 「顔はイケてるのに残念なタイプだね」(亀山美和子)
花の里で泥酔し、ぐだぐだになった陣川警部補に対し、初対面の美和子が放った率直な一言。陣川の人間性を端的に表しています。

