鶏と牛刀・あらすじ・ネタバレ解説【相棒シーズン8第7話】

鶏と牛刀』は2009年12月2日に放送された相棒season8の第7話です。年金事務所の係長転落死事件を巡り、杉下右京と神戸尊が年金不正の闇に挑みます。社会問題と絡めながらも、特命係らしい捜査と、登場人物たちの個性豊かなやり取りがみどころです。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレ、感想、余談などをまとめています。

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あらすじ

新宿第2社会年金事務所の係長・藤石正輝がホテルの一室から転落死する。警視庁上層部は自殺と断定するが、右京は遺体の頭部に付着したガラス片から他殺を疑い、捜査を開始する。藤石の婚約者・栗田亜由美(久遠さやか)は、藤石が亡くなる直前まで不正を告発し、会社を辞めると話していたと証言する。右京と尊は、藤石の上司・柴田真(三井善忠)の証言から、この年金事務所でも5年前まで不正が行われていたことを知る。
捜査を進める中で、藤石が死者の年金を自分の口座に振り込ませ着服していた疑惑が浮上し、捜査二課が藤石を逮捕寸前まで追い込んでいたことが判明。しかし、上層部からの圧力で捜査は中断されていた。右京は小野田官房長(岸部一徳)と会談し、年金事務所の横領事件に社会保険庁が関与していることに疑問を投げかける。小野田は「鶏に牛刀だよ」と意味深な言葉を返す。

鑑識の米沢(六角精児)の報告から、藤石の頭部のガラス片が割れた窓のものではないこと、そして薔薇の花びらが見つかったことがわかる。亜由美は、藤石からのプレゼントである薔薇の鉢を口論の弾みで投げつけてしまい、それが原因で藤石が亡くなったと告白し、自身が妊娠していることを明かす。しかし、薔薇の鉢から暴力団構成員・六原修司(さくまひろし)の指紋が検出され、六原の事務所を右京と組対五課が違法捜査と知りながら踏み込むことに(尊はこれに反発しつつも同行)。そして、ダミー会社の脱退届とマニュアルが発見される。

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登場人物とキャスト

  • 栗田亜由美(久遠さやか)
    藤石正輝の婚約者。
  • 柴田真(三井善忠)
    新宿第2社会年金事務所徴収課課長。藤石の上司。
  • 六原修司(さくまひろし)
    暴力団「二見組」構成員。企業舎弟。
  • 鈴村郁夫(桜井聖)
    新宿第2社会年金事務所徴収課職員。
  • 滝美穂子(松下恵)
    新宿第2社会年金事務所徴収課職員。
  • 橘義郎(河野洋一郎)
    警視庁捜査二課刑事。
  • 水木信二(白井圭太)
    警視庁捜査二課刑事。
  • 増沢保(大門正明)
    福祉衛生省の官僚。
  • 藤石正輝(江藤大我)
    新宿第2社会年金事務所徴収課係長。転落死した被害者。
  • 鷲永学人(森富士夫)
    福祉衛生省(または年金保険庁)の官僚。
  • 一ツ木康雄(平田康之)
    一ツ木興業。暴力団組長。
  • 川井謙次郎(矢嶋俊作)
    福祉衛生省(または年金保険庁)の官僚。
  • 焼鳥屋の店員(八巻博史)
    右京と小野田が密会する焼き鳥屋の店員。
  • 杉下右京(水谷豊)
    警視庁・特命係。
  • 神戸尊(及川光博)
    警視庁・特命係、警部補。右京の相棒。時に右京の捜査方法に反発する。
  • 伊丹憲一(川原和久)
    捜査一課 刑事・巡査部長。特命係を煙たがりながらも、時に協力する。
  • 角田六郎(山西惇)
    組織犯罪対策五課 課長・警視。通称「暇課長」。特命係の良き理解者。
  • 米沢守(六角精児)
    鑑識課・巡査部長。右京からの無理な依頼にも応じる。
  • 芹沢慶二(山中崇史)
    捜査一課 刑事・巡査。伊丹の部下。
  • 中園照生(小野了)
    刑事部参事官・警視正。上層部の意向に沿って動く。
  • 大木長十郎(志水正義)
    組織犯罪対策五課。
  • 小松真琴(久保田龍吉)
    組織犯罪対策五課。
  • 小野田公顕(岸部一徳)
    警察庁・官房室長。右京の理解者といえるが、時に敵対する。
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ネタバレ

さらなる捜査で、六原が死んだ暴力団関係者の年金を受け取り、藤石の口座に着服させていたこと、そしてダミー会社の社会保険料逃れを手伝っていたことが明らかになります。藤石を殺害したのは六原に間違いないようでしたが…、右京は柴田を問い詰め、藤石が転落死した状況を知らなければ言えない言葉を口にしたことから、柴田が真犯人であることを暴き出します。つまり、年金事務所の係長・藤石正輝の転落死は自殺ではなく、彼の直属の上司である柴田真課長による殺人でした。柴田は自身の横領に加え、藤石が年金保険庁からの指示で不正脱退を促す「FAデータ」の存在を知り、告発しようとしたため、暴力団構成員の六原修司と共謀して藤石を殺害していました。柴田は逮捕され、右京は焼かれたFAデータのCDを入手します。

結末

後日、右京は小野田にFAデータが1ヶ月ほどで復元可能であることを示唆。小野田はこの情報を元に福祉衛生省の官僚たちと会談し、新たに発足する社会年金機構で懲戒処分歴のある職員は採用しないよう圧力をかけます。伊丹(川原和久)と芹沢(山中崇史)は亜由美を訪ね、藤石が彼女の妊娠を知り、父親になる覚悟で不正を告発しようとしていたことを伝えます。事件解決後、1度目は焼き鳥屋で怪しい変装をしてあっさりバレた神戸ですが、2度目のおしゃれなカフェでの密会では、右京の背後に座る長髪の女性に変装し、盗み聞きに成功。神戸は変装の腕を上げたことに満足げな表情を浮かべます。

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感想と考察

当時社会問題となっていた「消えた年金問題」を彷彿とさせる年金不正がテーマになっています。孔子の論語「鶏と牛刀」が示すように、「取るに足らない小さなことを処理するのに、大がかりなことをする必要はない」という言葉が、犯人の保身と、それに対して命を奪われた藤石の無念さを際立たせています。今回は、神戸尊の成長(?)が見られた回でもありました。右京と小野田の会話を盗み聞きするシーンでの2度目の変装は、右京に気づかれなかったことで神戸が特命係の相棒として、またスパイとしての存在感を確立しつつあることを示しているかのようです。右京の冷静沈着さに対し、神戸が犯人の動機に感情的に憤慨する場面は、亀山薫が相棒だった頃の熱さを思い起こさせ、シリーズにおける神戸の立ち位置がより明確になったと言えるでしょう。

小野田官房長の黒いながらも、不正に対しては毅然とした態度を見せる一面も印象的でした。右京が示唆したFAデータの存在を巧みに利用し、年金保険庁の組織改革を促す手腕は、官房長ならではの正義の形でした。また、捜査一課の伊丹と芹沢が、藤石の遺したプレゼントを直して亜由美に渡すシーンは、普段の厳しさの中にも人間らしい優しさが見え温かい余韻を残しました。ストーリー展開における強引さや、犯人の動機がやや薄く感じられる点、そして遺体を返却する際に凶器となったプレゼントも返却してしまうことに対する疑問の声や違和感もあるかもしれませんが、シリーズの面白さを感じさせる一作だと思います。

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余談

  • 初回放送日は2009年12月2日。視聴率は16.1%を記録しました。脚本は櫻井武晴氏、監督は東伸児氏が担当しました。
  • タイトルは、中国の思想家・孔子の『論語』陽貨編の一節「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん(鶏をさばくのに牛を切るような大きな包丁がどうして必要なのだろうか)」がモチーフとなっています。これは、「取るに足らない小さなことを処理するのに大がかりなことをする必要はない」という意味です
  • 神戸尊の変装は、焼き鳥屋でのスカジャンにサングラス姿はあっさりバレましたが、おしゃれなカフェでの長髪の女性姿は右京にも気づかれないという、コミカルな見どころとなりました。
  • 角田課長がいつもの「暇か?」ではなく「忙しい?」と特命係に入ってくる、ファンにとっては少し珍しいシーンが登場しています。
  • 転落死した藤石正輝を演じた江藤大我は、相棒シリーズに多数出演しており、劇場版にも複数回登場している常連俳優です。
  • 劇中の主なロケ地としては、警察庁官房長室や廊下が川崎マリエン、新宿イーストホテルの外観が鹿島セントラルホテル、右京と小野田が話した店が日比谷茶廊(日比谷サロー)、焼き鳥屋が練馬駅近くの「金ちゃん」などが使用されています。
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