『警察官A~逆転殺人!真犯人は二人いる!!』は2024年10月23日に放送された相棒season23の第2話です。本エピソードでは、総理大臣を狙った爆破テロと、議員殺害事件という二つの大事件を軸に、特命係の杉下右京と亀山薫が巨大な権力の闇に挑みます。かつて特命係に救われた少年Aこと高田創が警察官として再登場し、「警察官の在り方」や「相棒の存在意義」といったシリーズの根幹を問いかける、骨太な人間ドラマが展開されます。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレ、感想、余談などをまとめています。
あらすじ
元国家公安委員長・芦屋満の刺殺事件に加え、総理大臣・藤原龍一が遠隔操作の爆弾で襲撃されるという前代未聞の事態が発生。右京は現場の痕跡からテロ実行に「闇バイト」が使われた可能性に気づき、捜査を進める。右京と薫は、警察官となった高田創の協力を得て、芦屋殺害事件の現場を再検証。残された血痕から、思いも寄らない真実が浮かび上がる。その直後、薫と高田は犯人の罠にかかり、絶体絶命の窮地に陥ってしまう。事件の背後には、政界を裏で操る与党幹事長・利根川吉伸の影がちらつき、捜査は複雑な様相を呈する。

登場人物
- 高田創(加藤清史郎)
かつて無戸籍少年Aとして特命係に救われ、右京と冠城に憧れて警察官になった青年。正義感が強く、右京たちの捜査に積極的に協力する。 - 利根川吉伸(でんでん)
「キングメーカー」の異名を持つ与党幹事長。政界を裏で操るフィクサーであり、温和な表情の裏に冷徹な顔を隠し持つ。 - 藤原龍一(柴俊夫)
支持率の低下に悩む現職の内閣総理大臣。テロの標的となる。 - 二科征司(内野謙太)
高田が勤務する交番の先輩警察官。警察学校の同期である日高とは親友だった。 - 日高行人(中村歌昇)
6年前の無差別殺傷事件で犯人から市民を守り負傷した元警察官。その時の傷が原因で重い病を患っている。 - 川路利良(松田洋治)
「日本警察の父」と称される明治時代の初代大警視。本作のテーマである「警察官の矜持」を象徴する人物として回想シーンに登場する。 - 芦屋満(並樹史朗)
元国家公安委員長。何者かに刺殺される。 - 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。卓越した推理力と洞察力で事件の真相に迫る。 - 亀山薫(寺脇康文)
右京の“初代”相棒。熱血漢で、右京を深く信頼し支える。 - 社美彌子(仲間由紀恵)
元警視庁広報課長で内閣情報調査室総務部門課長。藤原総理と親交がある。 - 衣笠藤治(杉本哲太)
警視庁副総監。特命係の捜査に圧力をかける。
ネタバレ
「芦屋議員殺害事件」と「総理爆破テロ事件」は、連続した要人襲撃に見えましたが、実際には全く別の犯人による別個の事件でした。
まず、芦屋満殺害事件の真犯人は仁科征司です。動機は、6年前に無差別殺傷事件で重傷を負い、その後のキャリアを絶たれた親友・日高への想いです。仁科は日高が負傷したのは、当時国家公安委員長だった芦屋が自身のパーティーの警備を優先させ、事件現場の警備が手薄になったためだと考えていました。そのため、芦屋を殺害して復讐を果たしています。さらに、殺害方法を6年前の事件に酷似させることで世間の注目を集め、未だ執行されていなかった無差別殺傷事件の犯人の死刑を早めようとしていました。しかし、その独善的な正義は、結果として彼の行動を察した日高に無理をさせ、死期を早めることになっています。仁科の偽りの告白を聞いた日高は、仁科が現場に落としたと語ったメモ(実際は病室にあった)を探すため病院を抜け出し、その無理がたたり吐血して倒れ、命を落とします。現場に残された血痕は、この時の日高のものでした。
総理大臣爆破テロの首謀者は利根川吉伸です。利根川は、支持率が低迷する藤原内閣を立て直すため、闇バイトを使って殺傷能力の低い爆弾テロを自作自演し、すべての罪を暴力団員に着せようとしました。藤原が襲撃された後に、亡き芦屋との絆を語らせ、国民の同情を誘うことで支持率を回復させ、解散総選挙での勝利を狙っていたわけです。右京と薫は陰謀を暴き出しますが、利根川は決定的な証拠を残さず、最終的には幹事長を辞任することで政治的に幕引きを図りました。
当初、右京の相棒にふさわしいのは自分だと考えていた高田創でしたが、絶体絶命の危機に陥った薫が「俺は杉下右京って人を知ってる」と絶対の信頼を寄せる姿を見て、真の相棒とは何かを悟ります。右京も高田に「君自身の相棒を見つけるべきだ」と語りかけ、成長を促しています。
感想と考察
今回の初回スペシャルは複数の事件とタイムリーな時事問題を織り交ぜた重厚かつ骨太なストーリーでした。
- タイムリーな社会描写
「闇バイト」や「解散総選挙」など、放送当時の社会情勢を驚くほどタイムリーに描かれており、物語のリアリティと緊迫感が増幅されました。 - 高田創の登場
ファンサービスに留まらず、物語のキーパーソンとして高田が出演し、その成長も描かれました。特に、薫と右京の絆を目の当たりにして相棒の意味を理解する姿が印象的です。 - テーマ性
警察手眼に記された川路利良の訓話を通じて、警察官としての正義と矜持が深く掘り下げられました。また、右京が相棒の存在を正義を貫くための拠り所として語る場面は、長寿シリーズのテーマに合致していました。 - 右京の激昂
事件の真相を解き明かした右京が、犯人・二科に対して「これ以上、警察官の名を汚して、日高さんに恥ずかしくないのか!」と激しく怒りをぶつけるシーンは、やるせない感情を代弁するかのようであり、非常に印象的でした。 - 政治的事件の結末
利根川の突然の辞任という結末は、完全な解決とはいかない、グレーな幕引きといえます。政治が絡む事件において権力の一端を揺るがすという相棒ならではのラストでした。
余談
- 初回スペシャル後編として、15分拡大版となりました。
- 「警視庁創立150年」という現実の記念年に合わせたエピソードでもありました。本作のテーマの一つである「警視庁創立150年」にちなみ、テレビ朝日の公式サイトには主演・水谷豊氏からの記念メッ セージが掲載されました。
- 伊丹刑事(川原和久)が、特命係が様々な場所に現れる様子を「亀バスツアーかよ!」と揶揄し、新しいワードが誕生しました。また、角田課長が暴力団員の顔と名前を一瞬で判別する特技も披露されています。右京が薫をサシ飲みに誘うシーンからは、二人の関係性の深さを改めて感じます。
- 明治時代の警視庁黎明期を描くシーンでは、水谷豊、松田洋治、加藤清史郎といった子役出身俳優が揃い踏みする豪華な共演が実現しています。
- 爆破事件の現場など、大規模なセットや多岐にわたるロケ地が使用されており、制作規模の大きさがうかがえます。ロケ地としては、旧石川組製糸西洋館(右京が編纂する150年史に登場する、川路利良がいた明治時代の洋館)、千葉工業大学新習野キャンパス(爆破テロ事件の会場)などが使用されています。

