名探偵ポワロS6E4・第45話「もの言えぬ証人(Dumb Witness)」のあらすじ、トリック解説です。
自宅の階段から転げ落ちた裕福な婦人が、ポワロの助言を受け入れ遺言状を書き換えます。そして、突然、死亡します。
あらすじ
ヘイスティングス大尉とポワロは、水上ボートを見学するためウィンダミアを訪れます。大尉の友人であるチャールズ・アランデルがボートに乗り込み、最速記録を叩き出そうとしますが、ボートのトラブルに見舞われ、挑戦は失敗に終わります。その日の夜、チャールズの叔母・エミリーが階段から転落して怪我を負います。事故の原因は、階段の手前に落ちていたボールで、それは愛犬・ボブの遊び道具でした。
犯人はボブだった。そう思える事故でしたが、エミリーはポワロに殺人未遂だったのではないかと打ち明けます。ポワロは遺言を書きかえるように助言し、そして、殺人未遂の疑惑をもっともらしくする根拠として、階段の壁にネジが打ち込まれているのを発見します。
夜を迎え、エミリーが突然、死亡します。ジェイコブという医師から受け取った調合薬を飲んだ直後のことでした。警察は、肝臓の市販薬を常飲していたエミリーが肝臓の病気で亡くなった断定し、司法解剖を実施しません。その後、遺言状が読み上げられ、遺産は全て、エミリーの付き添いだったウィルミーナ・ローソンという女性に相続されることになります。
遺言は書きかえられており、書き換え前は親族に分配されるはずでした。そのため、遺産を受け取れないと知った親族達は落胆します。そんな中、アランデル一家の知り合いだったトリップ姉妹が霊媒をポワロに持ち掛け、エミリーの降霊会が始まります。霊媒師のイザベル・トリップが語った犯人は、やはり、ボブでした。
降霊会のあと、チャールズと妹のテリーザは遺産を得る方法を画策しますが、ベラは夫に怯え、それどころではない様子です。ポワロはジェイコブの調合薬をスコットランドヤードに送って成分を調べさせ、調査を続けます。そんな折、被害者の主治医だったジョンがカリウムによる毒殺に気付きますが、何者かによって殺害されてしまいます。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
今回の主役
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス大尉以外の登場人物です。
- エミリー・アランデル
被害者。裕福な御婦人。リトルグリーンハウスに主人 - チャールズ・アランデル
被害者の甥。大尉の友人 - テリーザ・アランデル
被害者の姪。チャールズの妹 - ベラ・タニオス
被害者の姪 - ジェイコブ・タニオス
ベラの夫。ギリシャ人医師。アレクシス、および、カティアという子供がいる - ウィルミーナ・ローソン
被害者の付添婦。遺産を全て相続する - ジョン・グレンジャー
被害者の主治医。ウィルミーナの恋人 - イザベル・トリップ
霊媒師 - ジュリア・トリップ
イザベルの妹。霊媒はしないようである - ボブ
被害者の愛犬。犬種はワイヤー・フォックス・テリア
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Bella ベラ |
Julia St John |
事件のまとめ・謎
被害者の転落は事故だったのかどうか、事故ではない場合、犯人は誰かというのが謎といえます。転落事件のあと、被害者は亡くなっていますが、解剖されていないため死因は不明です。もしも殺人の場合、ジェイコブが渡した調合薬が怪しいです。ただ、ジェイコブが犯人の場合、動機が判然としません。
- 転落事件
被害者が転落した後、階段の手前に落ちていたボールがみつかります。ボブが遊んでいて、置き忘れてしまったようにみえます。階段の壁にはクギがうたれており、糸で手すりと結ぶことで、罠を仕掛けることもできそうです(クギは誰かが、最近、仕込んでいます。視聴者には、このことがわかります。)。 - 死亡事件
被害者はジェイコブの調合薬を飲んだ後、外出しようとして、庭先で倒れました。このとき、霊媒姉妹らが近くにおり、彼女達は「魂が抜けるのをみた」と表現します。被害者の主治医・ジョンも死亡します。寝ている間に、何者かがガス栓をひねり、ガス中毒で亡くなったようです
手掛かり・伏線
謎を解く鍵をまとめます。
霊媒師が登場しますが、ポワロはこの人物の能力を信じていないようです。霊媒師は、ポワロの親族にM.Pというイニシャルの人物がいると言い当てており本物のようにもみえます。しかしこれは、イニシャルMの人物が多いことを利用した、単なる当てずっぽうだったようです。
証言
被害者の姪で、ジェイコブの妻であるベラが夫を恐れています。そして、ベラは夫を罵っているようでもあります。夫のジェイコブは子供に虐待をしているという証言もあり、ジェイコブがひどく残虐な人物であるようにみえます。
- 魂
エミリーが倒れた時、口から魂が抜けました。それは緑色でした。この話を聞いた主治医は、エミリーがリンを飲まされたことに気付き、ジェイコブの自宅に電話します。しかし、電話に出たのはベラでした - T.A.
転落事件が起きる前、屋敷の中で、ウィルミーナがT.Aのガウンを着た人物を鏡越しに目撃しています。T.Aが当てはまるのは、テリーザ・アランデルだけです。彼女は「イニシャルが入ったガウンはしまい込んでいる」と話します
証拠
ボブのボールが階段手前に落ちていました。ボブは階段にボールを転がし、それを追い越しては階下でくわえ、遊んでいる様子です。ボールをキャッチした後は、専用のベッドにボールを持っていています。ポワロが見た限り、失敗したことはなく、いつもボールはベッドにあるようです。
- クギ
階段の壁にクギが打ち込まれていました。このクギを使って糸を張れば、誰かを転落させることができそうです。 - 調合薬
とても怪しい調合薬ですが、スコットランドヤードの分析の結果、毒物は検出されません。調合薬に毒は仕込まれていなかったようです。
ネタバレ
犯人はベラ・タニオスです。ベラはうだつが上がらないジェイコブに嫌気がさしていました。
ベラが話していたジェイコブの話は全て嘘です。ベラは、凶悪な夫が犯行に及んだようにみせ、夫に罪を着せようとしていました。転落事件は、ベラが糸を張り、ボールを置いた張本人です。屋敷にいた人物達が被害者に駆け寄っている最中に糸を回収し、ボールを置きました。なお、ポワロがクギを見つけた時、話し掛けてきたのもベラでした。
- T.Aの正体
鏡越しだったため、左右が反転していました。正しくはA.Tで、これはアラベラ(arabella)・タニオスの頭文字でした。アラベラはベラの名前です - エミリーの突然死
エミリーが死んだのは、ベラが仕込んだリンを飲んだためです。リンは市販の肝臓薬に仕込まれていました。肝臓薬はカプセルで、その中身がリンと入れ替えられていました。肝臓薬は主治医が処分したようですが、被害者は飲むのをやめていませんでした。被害者が倒れた日も薬を服用しており、カプセルだったため、効果が遅れて現れました。遺言を書きかえた後に死亡してしまったのは、犯人が毒入りカプセルを回収できなかったためです - 主治医の死
主治医・ジョンを殺害したのもベラです。ジョンはジェイコブを疑っていたようですが、電話で話したベラこそが真犯人でした
結末
磨き上げられたボートに吠えるボブをみたポワロは、T.A.が鏡像になっていたことに気付き、犯人を突き止めます。謎解きでベラを追い詰め、ベラは自供します。事件解決後、ポワロは相棒となったボブを霊媒姉妹に預け、お別れします。
感想
ボブがとてもかわいかったです。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「もの言えぬ証人」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 殺人の疑惑 |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 遺言書き換え後の死 |

