名探偵ポワロ・第7話『海上の悲劇(Problem at Sea)』のあらすじ、トリック解説、感想です。ポワロの乗船する客船がエジプトの港に停泊し、事件が発生します。
あらすじ
ポワロとヘイスティングスが乗船する船で、嫌われ者の女――クラパントン夫人が、何者かによって殺される。
アデリン・クラパトンが亡くなったのは、船がエジプトのアレクサンドリア港に停泊しているときだった。死体の状況から死亡推定時刻は午前10時頃と推定され、前後2時間ほどの幅があった。9時半頃、夫のクラパトン大佐がドア越しに、船室の中にいた夫人の声を聞いている。この様子はポワロを含め複数名が目撃していた。その後、正午にフォーブス将軍が夫人を船室を訪ねたが、返事はなかったらしい。その後の調べで、船員が夫人の船室に盗みに入っていたことが発覚する。その時、既に夫人は死んでいたようだった。
将軍、強盗、地元の土産物売り、そして、ネックレスを買った女性など、疑わしい人物が次々と登場する中、ポワロは、あるアリバイトリックに気が付く。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
「ぶっ殺しましたか?」
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス大尉以外の登場人物です。
- アデリン・クラパトン
被害者。胸を刺されて死亡 - ジョン・クラパトン
アデリンの夫。大佐。その昔、劇場(ミュージックホール)で活躍していた。手品師のようにみえる - エリー・ヘンダーソン
琥珀のネックレスを買った女性 - フォーブス
将軍。船内で走り回っていた男性 - ファウラー
船長 - スキナー
船員。クラパトン夫人の部屋に盗みに入る
事件のまとめ・謎
アデリン・クラパトン殺害の犯人は誰か、というのが大きな謎です。
午前9時半頃、夫人は夫のクラパトン大佐とドア越しに会話しています。ポワロや他の乗客がその会話を聞いており、このとき夫人はまだ生きていたと考えられます。
- アリバイ
クラパトン大佐は午前9時半から死体が発見されるまで、エジプトに上陸していました。終始、他の乗客と一緒で、一人になったのは、昼頃に、ほんの1~2分だけだったようです。つまり、大佐には完璧なアリバイがあると言えます - ヘイスティングスの失言?
トランプの手品を披露する大佐を、ヘイスティングスが「その腕なら舞台にだって立てますよ」と褒めます。何気ない一言でしたが、大佐はひどく立腹した様子です。どうしてあんなに怒ったのか謎です
伏線・手掛かり
犯人を示唆する証拠をまとめます。
死亡推定時刻は午前10時頃です。ただし、気温の影響で、前後1時間ほどの幅があります(すなわち、午前9時半から午前10時半の間です)。
現場には琥珀のネックレスが落ちていました。地元の土産物売りが扱っている商品ですが、誰の落とし物なのかはわかりません。
ネックレスを購入したエリーが、買ったばかりのネックレスを紛失しているので、エリーが落とし主なのかもしれません。
ポワロは恐らく気付いていませんが、怪しい土産物売りが夫人の船室を覗いているようです。
将軍、スキナー、エリーに係る状況証拠は下記の通りです。なお、夫人の船室から宝石が盗まれていましたが、これは船員スキナーの仕業であることが明らかになります。
- 将軍の証言
将軍は自ら夫人の船室を訪ねたと証言しています。このとき、夫人の応答はありませんでした。嘘をついているという可能性を除けば、正午には既に夫人は殺されていたことになります。そしてこれは、死亡推定時刻とも矛盾しません - スキナーの証言
スキナーは泥棒に入り、そこで、夫人の死体を発見しました。それが、正午よりも前であれば、将軍は容疑から外れます - エリーの証言
エリーは物売りからかったネックレスを、失くしたと証言します。現場に落ちていたネックレスが彼女のものであることが証明できれば、彼女が犯人である可能性が高くなります。しかし、指紋などの確たる証拠はないため、状況証拠といえます
ネタバレ
犯人は被害者の夫のクラパトン大佐です。大佐は腹話術師でした。このことがバレるのを避けるためトランプのマジックを披露していました。
大佐がドア越しに夫人と会話をしたとき、既に、夫人は殺されていました。犯人は夫人が生きているようにみせて犯行時刻を誤魔化し、アリバイ工作を仕掛けています。
大佐がアリバイ工作に用いたのは声真似と腹話術で、夫人の声を真似、夫人が生きているようにみせていました。その後、乗客と一緒に過ごすことでアリバイを作り、容疑者から外れています。
結末
ポワロの謎解きに集められた乗客船員一同は、ポワロのお人形遊びを温かい目で見守ります。しかし、お人形がスーツケースに入れられ、喋り出した時、大佐がひどく取り乱します。そして、逃げようとしたところを取り押さえられ、ついに、自供します。
感想
いろいろ怪しい人物が登場するエピソードでした。医者、パイロット、棋士など、特殊な職業の犯人は多いですが、腹話術師というのは面白いです。日本で腹話術というと、テレビなどで有名なある方が思い浮かびますが、腹話術師として有名になっているので、トリックとしては使えそうにないです。密かに練習して、密かにプロレベルの腕前にならないといけないので、相当な復讐心がないと計画を実行できそうにないです。
まとめ
名探偵ポワロ「海上の悲劇」のあらすじ、真相をご紹介しました。このエピソードは英国放送でも日本放送でも第7話です。第8話は『なぞの盗難事件』です。
- 嫌われ者の夫人がクルーズ船の客室で殺害される
- 犯人は夫のジョン・クラパトン大佐だった。ジョンは支配的な態度の妻を憎んでいた
- ジョンは特技の腹話術を使って被害者が生きているようにみせていた
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 監督 | レニー・ライ Renny Rye |
| 脚本 | クライブ・エクストン Clive Exton |
| 原作 | アガサ・クリスティ Agatha Christie |
| 制作 | LWT (現ITV) |

