名探偵ポワロ・第44話『ゴルフ場殺人事件(Murder on the Links)』のあらすじ、トリック解説です。
休暇先で大富豪に詐欺事件の調査を依頼されたポワロですが、その依頼人がゴルフ場のバンカーで死体となってみつかります。
あらすじ
ベロルディというお金持ちの夫人が夫殺害の容疑で逮捕されます。ベロルディの夫・アーノルドは押し入り強盗に殺されたと考えられていましたが、実は、アーノルドの仕事上のパートナーであるジョージ・コナーとベロルディ夫人が共謀して、強盗を企てていたようでした。夫人は裁判にかけられますが、コナーは国外に逃亡します。
10年後――休暇でヘイスティングス大尉と共にフランスを訪れたポワロは、ホテルで大富豪・ルノー氏から詐欺事件の相談を持ち掛けられます。「詳しい話は明日…」そう言って退散したルノー氏でしたが、翌日、誘拐されたうえ、ゴルフ場のバンカーで死体となって発見されます。死体は長すぎるコートを羽織り、身に着けていたのは下着だけでした。
捜査を始めたポワロでしたが、イギリスへ帰国する必要があると話し、急遽、フランスを発ちます。フランスに残った大尉はポワロに頼まれた仕事を進めますが、そこにイザベル・デュビーヌという女性が現れます。イザベルは大尉が惚れた女性でした。
イザベルは大尉の捜査に付き添い、なんと、警察署でルノー氏殺害に使われたナイフを盗み姿を消してしまいます。
その後、ルノー邸の敷地内で浮浪者の死体が見つかり、その胸にはナイフが刺されていました。
フランスに戻ったポワロは10年前の事件で容疑者となったベロルディ夫人が、隣人のベルナデット・ドブレーであるという事実を掴んでいました。ルノー氏殺害に関しては、被害者の義理の息子が犯人であるという見立てが強まり警察が義理の息子・ジャックを逮捕します。しかし、ジャックの裁判の最中にイザベルが犯行を自白します。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
二人は結婚します
登場人物とキャスト
ポワロ、ヘイスティングス大尉以外の登場人物です。
- ポール・ルノー
被害者。ゴルフ場オーナー。大富豪 - エロイーズ・ルノー
被害者の妻 - ジャック・ルノー
被害者の義理の息子。エロイーズの実子 - ストーナー
被害者の秘書 - ベルナデット・ドブレー
ルノー一家の隣人 - マルト・ドブレー
ベルナデットの娘。ジャックの恋人 - ベラ・デュビーヌ
歌い手。ヘイスティングス大尉に近づく女性。ジャックの元恋人 - ジロー
パイプの警部 - ベロルディ夫人
夫・アーノルド殺害の容疑で捕まった女性。娘がいる。裁判の結果無罪となる - ジョージ・コナー
アーノルドのビジネスパートナー。夫人と共謀しアーノルドを殺害した男。実行犯。英国国外に逃亡する
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Bella Duveen ベラ |
Jacinta Mulcahy |
| Jack Renauld ジャック |
Ben Pullen |
| Marthe Daubreuil マルト |
Sophie Linfield |
事件のまとめ・謎
被害者のルノー氏は押し入り強盗に誘拐され、ゴルフ場で死体となってみつかりました。ルノー夫人が犯人を目撃しており、ルノー氏は強盗に殺されたようです。本当に強盗が犯人なのか、その強盗とは誰なのか、などなど謎は深まります。
死体はバンカーにありました。コートを羽織っていましたが、そのサイズは被害者よりも大きく、何故か下着姿でした。さらにコートからB.D.なる人物からの手紙が発見され、手紙には殺すという文言がみられます。このB.D.が事件に関わっていそうですが、一体誰なのか不明です。
- 証拠盗難
ベラはヘイスティングス大尉を利用し、ルノー殺害に使われたナイフを警察から持ち去っています。なぜ凶器を持ち去る必要があったのか不明です - 金
ルノーは隣人のベルナデット・ドブレーに金を渡していたようです。ドブレーはその理由を語ろうとはしません - 浮浪者の死体
ルノー家の敷地内で浮浪者の死体が見つかります。浮浪者ですが、身なりはよく、上等な服を着ていました。ナイフで刺されていましたが、刺される前に発作で死んでいたことが明らかになります - 二人の自白
ジャックは義父・ルノー殺害に対して何ら反論せず、警察に連行されます。そして、元恋人のベラはルノー殺害を自白します。なぜ、どちらも罪を認めようとしていたのかは定かではありません
さらに10年前に起きたアーノルド殺人事件とルノー殺害との関連も不明です。ポワロの調査によって、無罪となった夫人がルノー氏の隣人であることは明らかになります。
手掛かり・伏線
謎を解く鍵をまとめます。
ルノーの死体のそばにはスコップや鉛管が落ちており、足跡も残されていました。そして、近くの茨から破れた布切れも見つかります。ルノー家の敷地とドブレー家の敷地は塀を隔てて隣接しています。ヘイスティングス大尉はベンチに乗って、ジャックとマルトの逢引きを目撃していました。
10年前の事件では、ベロルディ夫人が強く縛られていました。夫人は強盗が押し入って夫を誘拐したと話しますが、誘拐は狂言で、夫人を縛ったのはジョージ・コナーのようでした。
ルノー氏誘拐でも、夫人のエロイーズが強く縛られており、共通点があるといえます。
証拠
足跡はジャックのものでした。ジャックは海外へ向かうため、街を離れていたはずでしたが、戻ってきていたようです。
- 布きれ
布きれはベラのものであることが明らかになります。つまり、現場に彼女もいたということになります - 手紙
ルノー氏が着ていたコートのポケットには手紙が入っており、そこにはB.D.というイニシャルが書かれていました。B.D.が当てはまる人物は隣人のベルナデット・ドブレーとベラ・デュビーヌです
アリバイ
ジャックのアリバイ証言は嘘で、本当は帰ってきていました。このことは駅長の証言によって発覚します。ルノー氏の妻・エロイーズは強盗に襲われ縛られていたため、アリバイがあります。
ネタバレ
犯人はマルト・ドブレーです。マルトはジャックと結婚してルノー氏の遺産を全て手に入れようとしていました。
ルノー氏の誘拐は狂言誘拐でした。妻のエロイーズを縛ったのはルノー氏であり、エロイーズの目撃証言は嘘でした。
ルノー氏は隣人のドブレー夫人に脅されており、恐喝から逃れるために、狂言誘拐を計画していました。計画では、浮浪者の死体をルノー氏にみせてルノー氏が死んだことにし、その後、夫人と落ち合うはずでした。ルノー氏の死体のそばに鉛菅が落ちていたのは、浮浪者の顔をずたずたにするためでした。
浮浪者が死んだのは偶然です。突然現れた浮浪者がルノー氏の目の前で発作により亡くなったため、この死体をルノー氏は利用しました。
マルトは狂言誘拐の計画を知り、逃亡を阻止するため、ルノー氏を殺害しています。マルトはルノー夫妻の会話を盗み聞きしたため、計画を知っていました。
夫妻は塀の近くのベンチに座って計画について話し合っていました。このとき、塀の向こう側にはマルトがいました。
- 死体のコート
被害者が着ていたコートは息子・ジャックのものでした。これは、ジャックが間違って父親のコートを着て行ったため、残っていたのがジャックのコートだけになっていました。手紙は元恋人のベラからジャックに送られたもので、父親は何も関係がありませんでした - 自白の理由
ジャックは事件のあった日、ゴルフ場を横切って、父親の死体をみつけました。このとき、父の死体に駆け寄り足跡が残りました。この姿をベラが目撃しました。ジャックはベラがルノー氏を殺したと思い、逆にベラはジャックが父を殺したと勘違いします。そして、お互いがお互いをかばうために、罪を認めるような行動をとっていました
過去の事件とのつながり
ドブレー夫人はベロルディ夫人です。そして、ポール・ルノーはジョージ・コナーでした。つまり、ポールは海外に逃亡した殺人犯でした。このことをネタにルノー氏は強請られていました。
ドブレー夫人は夫の死で手に入れた財産をすべて使い果たしており、さらなる金を得るためにルノー氏の隣に引っ越してきました。なお、ドブレー夫人がルノー氏を見つけたのは偶然のようです。
結末(ヘイスティングス大尉の結婚)
息子に財産を相続させないため遺言状を書きかえる、エロイーズ・ルノーのそんな発言を耳にしたマルト・ドブレーは、ルノーの屋敷に忍び込みます。エロイーズを殺害しようとしたマルトでしたが、護衛をしていた秘書ストーナーに撃たれ、死亡します。
事件解決後、傷心のヘイスティングス大尉のため、ポワロはベラを大尉のもとへ連れて行きます。大尉とベラはキスを交わします。
大尉はベラ(イザベラ)と結婚しますが、のちのエピソードで結婚生活などが描かれることはありません。原作でもゴルフ場殺人事件をきっかけに、結婚します。相手はダルシーで、ダルシ―はベラの妹です。ドラマと原作では、若干異なります。
感想
殺人、狂言誘拐、恐喝、過去の事件とのつながり、死体を見つけた二人の人物の行動などなど、盛りだくさんでした。登場人物はそれほど多くないですが、内容が複雑だったように思います。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「ゴルフ場殺人事件」のあらすじ、真相をご紹介しました。なお、このエピソードの脚本はアンソニー・ホロヴィッツさんです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | 詐欺 |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 誘拐の顛末 |

