名探偵ポワロ・第10話『夢(The Dream)』のあらすじ、トリック解説、感想です。第1シーズン最終話は、パイ工場の社長が変死するエピソードです。
あらすじ
パイ工場の社長に手紙で呼び出された名探偵エルキュール・ポワロは工場内にある社長の自宅を訪ねる。秘書の部屋へ通されたポワロは、そこで、社長から夢の話を相談される。その夢は、社長が12時28分に自殺するという催眠術による殺人を疑わせるような不気味な内容だった。
ポワロは、社長の部屋を調べたいと申し出るが断られ、すぐに帰されてしまう。
翌日、社長の死体が発見される。死亡推定時刻は12時28分頃だった。ポワロによる夢の話や、死亡推定時刻の前後に現場へ出入りした人物がいなかったことなどが根拠となり、警察は自殺と断定。ポワロは独自に捜査を始めることになる。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
部下への理解が深い、と信じて疑わないポワロ
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス大尉、ミス・レモン、ジャップ警部以外の登場人物です。
- ベネディクト・ファーリー
被害者。社長 - ジョアンナ・ファーリー
社長の娘。先妻との間の子 - ルイーズ・ファーリー
社長の後妻 - ヒューゴー・コーンワージー
社長秘書 - ハーバート・チャドリー
ジョアンナの恋人
事件のまとめ・謎
社長は自殺かどうかというのが大きな謎です。自殺でない場合、犯人は誰か、そして、どうやって殺したのかという手口が、問題になります。
社長は、自室で、死んでいました。こめかみに銃創があり、手には銃を握っています。なお、第一発見者は秘書です。
昼の12時20分頃に社長が部屋から出てきています。これを廊下で待っていた工場長らが目撃しています。その後、秘書が現れ死体を発見する12時55分まで、工場長らはずっと廊下にいました。
つまり、誰も社長の部屋には入っておらず、出てきた人物もいません。もちろん、社長の部屋へ窓から侵入することもできません。衆人環視による密室といえます。
社長が自殺する前の日、ポワロは社長が自殺するという奇妙な夢の話を聞かされています。このとき、いくつか不審な点がありました。
- 手紙の回収
ポワロは手紙で呼び出されています。その手紙には、面会時、手紙を持参するように書かれており、その手紙は面会後に回収されてしまいます - 手紙と眼鏡
手紙回収時、ポワロは間違って別の書状を渡してしまいます。受け取った人物は書面を確認したようですが、別のものであることに気が付きませんでした。
社長は目が悪く、眼鏡がないとほとんど何も見えないようですが、このとき、眼鏡はかけているようです - 薄暗い照明とスポットライト
薄暗い部屋の中で、ポワロにはスポットライトが当たっています。このような状況では周囲がみえにくいはずです
伏線・手掛かり
ポワロが自殺かどうかを明らかにし、真相を掴むヒントです。
娘、秘書、工場長、その他関係者による証言をまとめると次のようになります。
- 娘が父の遺産相続について証言しています。遺産の25万ポンドが後妻のルイーズへ渡り、それ以外は全て娘のものになるようです
- 工場におけるパイの焼き始めはいつも昼12時半頃です。社長は自室にいながらも、パイの焼き始めを知っていました。いつもの時刻を遅れると社長から電話があったと工場長は話しています
- 社長の夢の話は誰も知りませんでした。専門家や探偵には相談したようですが、身内には話していなかったようです
- 社長が拳銃を所持していることも、誰も知りませんでした
- 社長は目が悪く、眼鏡を3から4つほど持っていました
- ぜ社長室ではなく秘書の部屋に通されたのかというポワロの疑問に対して秘書は「初対面の客はいつも秘書の部屋に通す」と答えています
時間を尋ねられたミス・レモンが、窓を開け、身を乗り出すようにして教会の時計を確認します。この行動をみたポワロは何かに閃いています。
ネタバレ
社長は自殺ではなく他殺です。そして、犯人は秘書のコーンワージーです。
彼は被害者の後妻と不倫関係にあり、共謀して遺産の25万ポンドを手に入れる計画でした。
社長は自室の窓の外を覗いて、工場から排出される水蒸気をみることで、パイの焼き始めを確認する習慣がありました。
このとき、窓から頭を出すため、その瞬間に、犯人は発砲しました。そして犯人は、社長の死体に銃を握らせるため、自ら第一発見者となります。
ポワロに夢の話をしたのは、社長に変装した秘書でした。秘書は自殺をもっともらしくするため、ポワロを利用しました。照明や手紙の回収は変装がばれないようにするためだったと考えられます。また、「初対面の客は秘書の部屋」という証言は嘘の可能性があります。
秘書は変装のため、社長の度の強い眼鏡をかけていました。秘書は、特に目が悪いわけではないため、逆に視界がぼやけてしまい、手紙を確認することができませんでした。
眼鏡は3、4つあり、そのうちのひとつを秘書が拝借したと考えられます。
結末
秘書の部屋から拳銃を発砲し殺害するという手口を明らかにされ、犯人のコーンワージーは、その場から逃走します。
しかし、バイクでやってきたジョアンナの恋人に追跡され、ほどなく御用となります。
感想
ミス・レモンへのプレゼントは、絶対に、タイプライターだと思いました。ミス・レモンは時計がなくて困っている感じではなかった気がするのですが、名探偵、なぜそこは気付かない?という感じです。人が死んでたりしないと灰色の脳細胞は発揮されないのかもしれないです。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「夢」のあらすじ、真相をご紹介しました。このエピソードは英国放送でも日本放送でも第10話で、第1シーズンの最終話となります。第2シーズンの第1話は『エンドハウスの怪事件』です。エンドハウスは2時間ドラマになっています。
- ポワロが自殺の夢について相談を受ける。その後、相談者が死んでしまう
- 自殺したと思われていたが、他殺だった
- 犯人は秘書のヒューゴー・コーンワージーで、被害者の後妻と不倫をしていた
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 監督 | エドワード・ベネット Edward Bennett |
| 脚本 | クライブ・エクストン Clive Exton |
| 原作 | アガサ・クリスティ Agatha Christie |
| 制作 | LWT (現ITV) |

