満潮に乗って・あらすじ・ネタバレ解説【名探偵ポワロ57】

名探偵ポワロ第57話・S10E4『満潮に乗って』のあらすじ、トリック解説です。2年前の爆発で大富豪のゴードン・クロードが死亡し、生き残った若い未亡人に全財産が相続されます。未亡人の兄がその財産を厳しく管理し、クロード一族に嫌われます。

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あらすじ

二年前――大富豪のゴードン・クロードの屋敷で爆発が起き、ゴードンや使用人が死亡します。爆発で多くの犠牲者が出ましたが、ゴードンの若き妻ロザリーンとロザリーンの兄デビッド・ハンターは生き残りました。
死んだゴードンには弟と妹がおり、生前、金持ちだったゴードンは特に経済面でクロード一族の面倒をみていました。しかし、ゴードンの遺産は全て生き残ったロザリーンに相続され、その財産は兄のデビッドが完全に支配していました。デビッドはクロード一族を寄生虫と蔑み、一切の金銭を与えません。そんな態度のデビッドは当然ながら一族に嫌われ、妹は嫌がらせの電話に精神を痛めつけられていました。

故人ゴードンの妹キャサリン・ウッドワードは、遺産を相続した未亡人ロザリーンの重婚を証明するため、ポワロにロザリーンの先夫を調べるよう依頼しますが…、ポワロは依頼を丁重にお断りします。事業に失敗したジェレミー・クロードとその妻のフランシスが何かを企む中、なんと、デビッドの前にロザリーンの先夫ロバート・アンダヘイが現れます。

デビッドを脅し始めたアンダヘイですが、宿泊していたホテルで死体となって発見されます。アンダヘイの知人であるポーター少佐が検死審問で、死体はアンダヘイ本人であると証言し、さらにデビッドが犯行時刻のアリバイを明確にしなかったことから、デビッドが犯人であるという見方が強まります。

デビッドが連行され、その後、なぜかポーター少佐がピストル自殺し、さらに、大量のモルヒネを飲み込んだロザリーンが重症を負います。死んだアンダヘイの正体が判明し、その男を殺した人物も明らかになりますが、事件の背後にはもっと大きな陰謀が隠れていました。

ポワロとマダムと犬(満潮に乗って)

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
ポワロvs.マダム&伯爵(犬)

登場人物とキャスト

ポワロ、ジョージ(ポワロの執事)以外の登場人物です。

  • ゴードン・クロード
    故人。お金持ち。爆発で死亡
  • ロザリーン・クロード
    ゴードンの若き妻。未亡人となり、故人の遺産を相続する
  • デビッド・ハンター
    ロザリーンの兄。土木関係のエンジニアだった
  • ロバート・アンダヘイ
    ロザリーンの先夫。アマゾンで死亡したとされている
  • イノック・アーデン
    アンダヘイを名乗るホテルの宿泊客。デビッドを脅すが、死体となって発見される
  • ジェームス・ポーター
    少佐。爆発で顔や足を負傷し車椅子
  • アデーラ・マーチモント
    ゴードンの妹。請求書を抱えている
  • リン・マーチモント
    アデーラの娘。ポワロの知人
  • キャサリン・ウッドワード
    ゴードンの妹。アンダヘイの捜索をポワロに依頼した女性
  • ライオネル・ウッドワード
    キャサリンの夫。医師。胃腸が悪い様子
  • ジェレミー・クロード
    ゴードンの弟。顧客の年金を失い、金に困っている
  • フランシス・クロード
    ジェレミーの妻。兄がいる
  • ローリー・クロード
    ゴードンの甥。農園を営んでいる。リンと愛し合っている様子

主要ゲストの役名と役者名をまとめます。

役名 役者名
Lynn Marchmont
リン
Amanda Douge
Rowley Cloade
ローリー
Patrick Baladi
Rosaleen
ロザリーン
Eva Birthistle
David Hunter
デビッド
Elliot Cowan
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事件のまとめ・謎

アンダヘイを名乗って殺された被害者(宿泊名はイノック・アーデン)だけではなく、2年前に起きた爆発事件も含めると、被害者は大勢います。生き残ったロザリーンやデビッドも被害者といえます。
これら被害者の正体だけではなく、嫌がらせ電話の犯人、少佐が自殺した理由、ロザリーンが多量のモルヒネで自殺を図ったのに生き延びた理由なども謎といえます。

ホテルで死亡した男はロバート・アンダヘイと名乗っていました。アンダヘイはロザリーンの先夫で、既に死亡しているはずでしたが、もしもアンダヘイが生きているならば、ロザリーンは重婚ということになります。この場合、故人ゴードンの残した遺言が変わり、ロザリーンは遺産を相続できなくなります。そして代わりにクロード一族が均等に遺産を手に入れることになります。

この事件では、1件の自殺既遂と1件の自殺未遂が発生します。いずれも、その動機が不明です。

一人目は車椅子のポーター少佐で、彼は死んだ人物がアンダヘイであると証言していました。自殺したのは証言の後で、ピストルで頭を打ち抜き死亡しました。
もう一人はロザリーンで、こちらは未遂に終わりました。ロザリーンはモルヒネを大量に摂取し自殺を図りましたが、一命を取りとめます。

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伏線・手掛かり

主に殺人に関する手掛かりをまとめます。

証拠

被害者は後頭部に傷を負って死亡していました。殺人現場には血のついた火かき棒が落ちており、これが凶器と推定されていましたが、被害者の傷痕とは一致しませんでした。

  • 暖炉周辺のブロック
    死体発見現場には暖炉があり、その暖炉の周囲には暖炉を囲うようにして石のブロックが地面に並べられていました。このブロックにはホコリが積もっているようですが、一つだけホコリのないブロックがありました
  • 口紅
    現場で口紅が見つかっています。見つけたのは警視のようですが、泊まっていたのは男性です。娼婦が置き忘れたのかもしれません
  • 鏡台
    ロザリーンの鏡台には鍵付きのケースが置いてあり、鍵は兄のデビッドがもっています。中身は途中まで明らかにされませんが、これは、モルヒネです。ロザリーンはモルヒネ中毒者で、デビッドが精神を安定させるために与えているようです

証言

関係者の証言をもとにホテルでの事件についてまとめると以下のようになります。

検死の結果、被害者の死亡推定時刻は死体発見の前日で、午後6時から午後9時の間に絞り込まれます。まず、デビッドがホテルの部屋でアンダヘイと会っています。このとき、アンダヘイはデビッドを脅し、2万ポンドを要求しました。
その後、午後6時30分頃にローリーがホテルに現れ、アンダヘイと会っています。ローリーはこのときまだアンダヘイは生きていたと話しています。さらにこの後、デビッドが金を払うことを伝えるために、アンダヘイの部屋を訪ねています。デビッドは、この時もまだアンダヘイは生きていたと証言します。

ホテルの宿泊客セシリー・レドベター(犬連れのご婦人)は事件があった日の夜、娼婦を目撃したと話しています。その人物は黄色いスカーフを被っていた様子で、現れたのはデビッドが2回目に訪れた後のようです。

アリバイ

被害者を訪ねた人物はデビッド、ローリー、娼婦の三人です。この中で、最も怪しいのはデビッドといえます。しかし、デビッドにはアリバイがあるようでした。デビッドはアンダヘイと会った後、リンと会っています。そして、午後7時2分の汽車に乗ってロンドンへ向かいました。デビッドはリンにロンドンに着いたら電話すると約束しており、実際にリンは電話交換手とのやり取りののち、デビッドと電話で会話しています。

  • デビッドのアリバイの証人
    デビッドは死亡推定時刻にリンと会っていましたが、このことを検死審問ではっきりとは証言しませんでした。その理由はリンにはローリーという婚約者がいたためです。しかし、のちにリンが自らデビッドと一緒だったことを公言しています
  • アデーラとキャサリン
    ポワロにアリバイを尋ねられたアデーラとキャサリンはハングマン(相手の思い浮かべた単語を当てるゲーム)をやっていたと話します。ゲームの最後に登場した単語は手斧(adze)だったと言っています
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ネタバレ

ホテルに現れた男はアンダヘイではなく偽者で、この偽者を殺した犯人はローリーでした。偽アンダヘイの正体を知ったローリーは怒りが噴出し、偽アンダヘイを殴りました。殴られて偽アンダヘイは倒れ、ブロックに頭を打ち付けて死亡しました。

ホテルに現れたイノック・アーデンこと偽者のアンダヘイはフランシス・クロードの兄チャールズでした。フランシスは夫ジェレミーが失った年金をなんとかするため、兄と協力し遺産を手に入れようとしていました。

ローリーは盗み聞きしていたホテルの店主から、イノック・アーデンがアンダヘイを名乗ったという報せを受けます。しかし、イノック・アーデンなる人物を既に目撃していたローリーは、ジェレミーとフランシスの自宅で写真をみて、イノック・アーデンの正体がチャールズであることに気付きます。かねてから夫妻に侮られていたローリーは、チャールズの態度などに憤慨し、チャールズを死に至らしめました。

犯行後、ローリーは死体を動かし、ブロックの血痕を拭って、火かき棒で被害者を殴りました。罪はデビッドになすりつけることができると考えていたようです。

デビッドが2回目にホテルを訪れたとき、イノック・アーデンは既に死亡していました。この時点で、自分が疑われると思ったデビッドはリンを使ってアリバイを捏造しました。さらに娼婦に変装してホテルへ向かい、その姿を宿泊客にみせることで、イノック・アーデンが生きているようにみせました。
ホテルにいたデビッドはロンドンには向かっていません。ロンドンからの電話は、妹のロザリーンに電話交換手のふりをさせることで、リンを信じ込ませていました。

自殺したポーター少佐は、ホテルで死んだイノック・アーデンがアンダヘイであると嘘をついていました。嘘をついたのは、ローリーに100ポンドで買収されていたためです。

ポーターがポワロの自宅にやってきたとき、ポーターは一緒にいたローリーではなく、ポワロだけに煙草を求めました。これは、ローリーが非喫煙者であることを知っていたからであり、つまり、面識があることを意味していました。

ポーター少佐は自分の過ちを悔いて自殺しました。

ロザリーンはある事実を隠すために自殺を図りました。それは、ロザリーンが偽者であるという事実です。本物のロザリーン・クロードは爆発で死亡しており、爆発事件の後はメイドのアイリーン・コーリガンがロザリーンのふりをしていました。

メイドをロザリーンに仕立て上げたのはデビッドです。ゴードン・クロードと本物のロザリーンから締め出しをくらったデビッドは、ガス爆発にみせかけてゴードンやロザリーンを殺害しました。つまり爆発はガス漏れによる事故ではなく、デビッドがダイナマイトを仕掛けて意図的に起こした殺人でした。メイドを一人味方につけたデビッドは安全な地下に隠れて大爆発をやり過ごし、カミソリであえて傷をつけることで、爆発で負傷したようにみせていました。

なお、自殺に使用されたモルヒネは鍵のかかったケースに納められていましたが、兄のデビッドがあえて鍵をかけないことで、ロザリーンの自殺を促していました。デビッドは信仰深いアイリーン・コーリガンを妊娠させ、堕胎させるなどして精神的に追い詰めていたようです。

モルヒネのアンプルはひまし油にすり替えられていました。そのため、ロザリーンは死亡しませんでした。

モルヒネをひまし油にすり替えたのは医師のライオネル・ウッドワードでした。ライオネルもモルヒネ中毒者でしたが、金欠のため、モルヒネを手に入れることができませんでした。

ロザリーンに迷惑電話をしていたのはキャサリン・ウッドワードでした。このことに気付いた姉のアデーラ・マーチモントは、アリバイを捏造するため、ハングマンをしていたという嘘をついています。

結末

爆弾を仕掛けたというデビッドですが、リンの説得により、爆弾はブラフであることを正直に話します。事件解決後、爆破事件の真犯人デビッドは絞首刑となります。愛した男性をほぼ同時に二人失ったリンはアフリカへと旅立ちます。

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感想

リンはアリバイ工作に使われて浮気をし、その浮気相手も、そして結婚した相手も殺人者だったわけです。見る目がないとはこのことだと思いました。よくわかりませんが、そういった危ない人を好きになってしまうのかもしれません。原題は「Taken at the Flood(満潮に乗って)」で、ドラマと原作は大きく異なります。ドラマで大富豪のゴードンは爆発で死んでいますが、原作小説では空襲で死亡しています。発端が違うため、結末も原作とドラマでは異なります。
ちなみに、吹き替えでは“リキュールのポワレ”となっていますが、英語では“You killed what?(何を殺したって?)”になっていました。

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この記事のまとめ

名探偵ポワロ「満潮に乗って」のあらすじ、真相をご紹介しました。

項目 内容
依頼 殺人の調査
事件分類 遺産関連の殺人
被害者の正体
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