刑事コロンボ・第1話『殺人処方箋(Prescription: Murder)』は、刑事コロンボシリーズの第1話にあたる作品です。記念すべき最初の犯人は精神科医のレイ・フレミング(ジーン・バリー)です。なお、単発の二時間ドラマとなっているため、シーズンという設定はありません。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、犯人の偽装工作や結末、感想、考察、小ネタ(豆知識やトリビア)などをまとめています。
あらすじ
精神科医のレイ・フレミングは若い女性との不倫が妻のキャロル・フレミングにばれ、不倫を公表されそうになったため妻を殺害します。そして、妻の死を強盗殺人にみせるために、愛人に妻の変装させ空港へ行き、アリバイを偽装します。
事件を担当するコロンボは強盗殺人に疑念を抱き、レイを疑いますが、決定的な証拠をつかめず逮捕することができません。そこで、共犯者である愛人を利用し、ある方法でレイを罠にはめます。

©Universal City Studios
登場人物とキャスト
- レイ・フレミング
犯人。精神科医。 - ジョーン・ハドソン
共犯者。犯人の愛人。 - キャロル・フレミング
被害者。犯人の妻。
| 名前 | キャスト |
|---|---|
| レイ・フレミング Dr. Ray Flemming |
ジーン・バリー Gene Barry |
| ジョーン・ハドソン Joan Hudson |
キャサリン・ジャスティス Katherine Justice |
| キャロル・フレミング Carol Flemming |
ニナ・フォック Nina Foch |
犯人
- レイ・フレミング
若い女との不倫がバレたので妻を殺す。殺害後、愛人の変装で妻が生きているようにみせて死亡時刻をずらし、旅行中だと思って押し入った強盗に殺害されたようにみせかける。これだけみると、わりと一般的というか初歩的(エレメンタリー)な殺人である。飛行機に乗っていた他人の証言が重要になっているが、冷たい人達だったら、何も憶えていないだろうし、どうして妻だと思ったのかと刑事に尋ねられたら、たぶん、答えられないだろう。そして、ミステリー批判あるあるな、検死でもっと死亡時刻が絞り込めるだろというのも容易に思い付いたりする。科捜研の女登場というわけで、これはもうケチつけているだけにしか思えないのだが、それはさておき、このエピソードでは被害者が生きていたので、死亡推定時刻の話は大した問題ではなくなっている。文字通りの半殺し状態は犯人が意図したものではなく、偶然なので、偶然が嫌いなミステリーファンは評価を下げてしまうかもしれないのだが、よく考えられているとは思うはず/思ってほしい。飛行機の変装の方も、刑事が変装を疑っていないと突っ込んだ質問はできないはずなので、犯人は妻と一緒だったと思い込むかもしれない。
最終的に決め手となったのは共犯者の愛人だった。「固い絆で結ばれています、不倫だけど」と思っていたら所詮は不倫だった。さっさと始末するというのは、知能犯っぽくないし、愛人は動機を形成した人物でもあるので、殺してしまうのは心理的に矛盾を感じる。ただ、死んでみたら本音が出ている。共犯者という重荷が消えて、かなり油断したのだろう。
トリック解説
犯人のレイは妻のキャロル殺害後、愛人の変装で妻が生きているようにみせてアリバイを作り、その上で、強盗殺人に偽装します。
犯行後、愛人に妻のふりをさせて、ふたりで飛行場へと向かいます。年齢が違う妻と愛人ですが、“自分と一緒にいる女性を妻だと思い込む”という固定観念を利用し、妻と二人でいたという証言を得ることになります。レイと妻に変装した愛人は、離陸直前の飛行機の中で喧嘩の芝居をし、乗務員らの記憶に残るようにします。そして、愛人は飛行機を降り、自宅へ帰ります。こうすることで、夫婦が喧嘩し妻が怒ってひとりで家に帰ったというストーリーができあがります。
犯人は喧嘩して帰宅した妻が窓から侵入した強盗と鉢合わせになり殺されたようにみせます。偽装をもっともらしくするため、窓ガラスを割る、盗品となる宝石を旅行鞄につめて旅行先で処分する、第一発見者となる人物(メイド)を用意しておくなどの細工をします。
妻が強盗に襲われたとき、レイは旅行中だったので、完璧なアリバイが作られることになります。
犯人のミス
計画性の高い犯罪ですが犯人はいくつかミスを犯します。たとえ小さなミスであっても、うまく説明できない状況であれば、疑われることになります。そして、そういった小さな綻びが事件の真相へと繋がっていきます。
いつもと違う行動
レイは旅行から帰宅した際、「ただいま」とは言いませんでした。まるで誰もいなことを知っているような素振りです。事件を知らせるため部屋にたコロンボが、この点について指摘していますが、喧嘩していたから無言だったと言い逃れしています。(正確には犯人自身ではなく、犯人の知人が話した内容です)
ちぐはぐな証拠
辻褄が合わない、説明がつかない状況です。
- 重量オーバーの荷物
犯人は旅行鞄に宝石をつめたため、空港で重量オーバーとなり、追加料金を払うことになりました。しかし、宝石類を旅先で処分したため、帰りは、超過荷物が減っていました。なお、行きは6kgでしたが、帰りは2kgまで減っていました。 - 変装時の手袋
共犯者の愛人は変装時に手袋をしていましたが、その手袋を部屋に戻すのを忘れました。このミスにより、強盗がなんの変哲もない女性用の手袋を盗んだという不可解な状況が生まれます。このことをコロンボから知らされた犯人は手袋を部屋に戻しています。
犯行の証拠
レイによる犯行を疑う根拠です。
レイが首を絞めて殺したはずの妻はまだ生きていました。被害者が生きていたら大失敗ですが、妻は何も証言せず息を引きとったため、レイの犯行は明らかになりませんでした。
犯人は知り合いを使って、コロンボを捜査から外すように圧力をかけます。しかしながらこの圧力は、警察にコロンボの捜査が真相に近づいていると捉えられます。結果、レイの圧力は全くの逆効果となります。
コロンボの罠
決定的な証拠をつかむため、コロンボは、偽の犯人を仕込み、レイの反応をみようとします。この時は、決定的な証拠を得られませんでした。偽の犯人は、前から首を絞めた、という発言をします。被害者は、後ろから首を絞められています。
最終的にコロンボはレイに愛人が自殺したようにみせ、自供を促します。レイは自供こそ拒みますが、罠にはまり、愛人を利用しただけと口を滑らせます。
実際、愛人は自殺しておらず、レイの発言を近くで聞いていました。利用されたことを知った愛人は自供を決意します。
感想
コロンボの最初のエピソードで、1968年に放送されました。最終話は2003年の放送ですので、35年ほど経っていることになります。コロンボを演じるピーター・フォークが恐ろしく若かったり(逆に最近の作品が年老いてみえることもあります)、背景映像に時代を感じたりもしますが、ストーリーの構成は基本的に倒叙形式で一貫しており、名作推理ドラマとして、楽しめます。
アガサ・クリスティの作品や、最近のミステリー作品に比べると、最後のインパクトは薄いかもしれません。叙述トリックやどんでん返しとかが好きな方は、それほど、面白くないのではないかと思ったりもします。正直、最初に真相やネタバレみたいな内容が語られてしまうので、あとは刑事の捜査を眺めるだけです。ただ、刑事が真相へとたどり着く道筋に理屈があるので、論理的とか、ロジックとかが好きな方には、とても楽しめる物語となっています。全部で70話あり、中には仕掛けに凝った作品もあったりするので、飽きません。
口コミ分析
海外サイトの口コミにはfirst、characterなどが書き込まれています。
国内サイトの口コミには、初めてみる、電気を消すシーンが好き、若いピーター・フォークなどが書き込まれています。2021年9月から土曜日の夕方に刑事コロンボが放送されています。その前は水曜夜の放送でした。
この記事のまとめ
刑事コロンボ「殺人処方箋(Prescription: Murder)」について、あらすじやトリックをご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画性 | あり |
| 偽装工作 | 強盗殺人 |
| トリック | 変装 |
| ミス | ただいま |
| 動機 | 不倫の発覚 |
| 凶器 | (扼殺) |
| コロンボの罠 | 共犯者の自殺 |

