『老人と寧々』は2026年1月7日に放送された相棒season24の第11話です。今回は、かつて政治家の金塊を巡る事件で特命係と関わったミステリー愛好家の女子大生、大門寺寧々が再登場。右京の知られざる黒歴史小説も絡みつつ、大学の読書サロンで多発する「ミステリー小説へのネタバレ書き込み事件」を巡り捜査が展開されます。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレなどをまとめた上で、感想や考察などのレビューをご紹介しています。
あらすじ
亀山薫は、数年前に金塊事件で出会ったミステリー愛好家の大学生、大門寺寧々と再会。寧々は所属する大学の読書サロンで発生している、ミステリー小説の余白にネタバレを書き込むという事件を、サロンの管理人である初老の男性、蘇我文在ヱ門(嶋田久作)らと共に追っていた。この話を聞いた杉下右京も興味を抱き、問題の読書サロンを訪問する。亀山が伊丹憲一たち捜査一課も巻き込みながら右京の動向を探る中、右京と寧々は協力して連続ネタバレ書き込み犯の特定を進めていく。

登場人物とキャスト
- 杉下右京(水谷豊)
警視庁特命係の警部。中学時代に推理小説『亡霊たちの咆哮』を執筆。この小説は、寧々の大学のミステリー研究会に、『亡霊たちの咆哮』がお宝として厳重に保管されている。右京は『亡霊たちの咆哮』を、なんとしても封印したがっている。 - 亀山薫(寺脇康文)
杉下右京の現在の相棒。今回は右京の尾行を命じられる。 - 大門寺寧々(茅島みずき)
ミステリーマニアの女子大生で、ミステリー研究会に所属。通称「先生」。S21元日SP『大金塊』で初登場。今回のネタバレ書き込み事件を追う。 - 蘇我文在ヱ門(嶋田久作)
読書サロン(久徳記念文庫)の管理人。通称「番人」。学生たちからの信頼も厚い初老の男性。以前は高校の教師だった。 - 尾沢七味(中村守里)
読書サロンに出入りする学生。ネタバレ書き込み事件の模倣犯。ミステリー研究会がお触れを出し、「イキっていたから」という動機で犯行に及んだと説明する。その後、『亡霊たちの咆哮』にもネタバレ書き込みをし、『亡霊たち…』を読んだ出雲麗音を、違う意味で仰天させることになる。 - 鷲宮嘉留人(西野遼)
ミステリー研究会の学生の一人。 - 楠ノ木詠一(斉藤莉生)
ミステリー研究会の学生の一人。 - 小谷野寛(山下諒)
ミステリー研究会の学生の一人。 - 鯨浜真士郎(安清光星)
ミステリー研究会の学生の一人。 - 双葉耕起(渡辺色)
ミステリー研究会の学生の一人。 - 伊丹憲一(川原和久)
警視庁捜査一課刑事。亀山が駆り出したことで、今回の捜査に巻き込まれる。 - 芹沢慶二(山中崇史)
警視庁捜査一課刑事。伊丹と共に現場に駆り出される。 - 出雲麗音(篠原ゆき子)
警視庁捜査一課刑事。伊丹、芹沢と共に捜査に加わり、『亡霊たちの咆哮』を読む。 - 小出茉梨(森口瑤子)
家庭料理店「こてまり」の女将。 - 宮部たまき(鈴木砂羽)
亀山薫の妻。
ネタバレ
大学の読書サロン「久徳記念文庫」で発生したミステリー小説へのネタバレ書き込み事件。以前にもネタバレ事件があり、激怒した寧々が抗議すると、管理人である「番人」がすぐに犯人を捕まえたという話が浮上します。今回の連続ネタバレ事件に関しては、右京の提案で設置されたペットカメラの映像が根拠となり、右京と寧々は、一連のネタバレ事件が管理人である蘇我自身の自作自演ではないかと推理します。右京は、蘇我の孫が「お疲れさん」や「犯人」という字を、おじいちゃん(番人)に言われて書いたことがあると証言したことや、ミステリー研究会メンバーが、蘇我によって本棚に予め用意されたネタバレ本を発見したことなどを突きつけ、番人を自白へと追い込みます。番人は「寧々と一緒にいたかったから」という動機を語り、犯行を認めます。
結末
番人こと、蘇我文在ヱ門は寧々の気を引くため、そして彼女と関わり続けるために一連のネタバレ書き込み事件を自作自演していました。これを受けて番人は、大学を依願退職する形で責任を取ります。右京は自身の「黒歴史」である小説『亡霊たちの咆哮』を塗りつぶしたいという強い思いにかられながらも、尾沢に落書きされたネタバレ部分に墨を入れ、比較的穏便な結末を迎えます。
感想と考察
今回は、殺人事件が起きませんでした。右京の「黒歴史」である『亡霊たちの咆哮』が物語の重要な要素として登場し、冷静さを失った右京の一面が描かれたのは見どころでした。右京が自身の過去の作品を消し去ろうとして暴走する姿は、ユーモラスな要素として機能していました。「先生」と呼び合う右京と寧々の関係性は、微笑ましくも新鮮な「相棒」の形を提示していたのかもしれません。
事件自体は殺人ではなく、ミステリー小説のネタバレではありますが、作品を楽しんでいる最中に結末を明かすという、ひどい迷惑行為が登場していました。こういった経験は、ミステリーに限ったものではなく、誰しもが経験しているのではなでしょうか。ネタバレ犯である蘇我の動機「寧々と一緒にいたかったから」というものでした。一見すると純粋な感情にも見えますが、他人に迷惑をかけたのは間違いなく、退職という罰も受けました。そこには、恋愛であろうが、金であろうが、名誉であろうが、理性を保てなかった人間の悲しい一面が描かれていたように思います。模倣犯の尾沢七味は「出がらしみたいな社会でやりたいことをみつけられない」と語り、現代社会における若者の閉塞感が表現されるだけではなく、ここにも理性を保てない人物が登場していたように思えます。そして、右京が自分の「黒歴史」小説に対して、思わず理性を失いかける場面もいくつか登場し、これはむしろ、笑いを誘っていました。
余談
- 初回放送日は2026年1月7日で、世帯平均視聴率は9.0%を記録しています。
- シリーズの歴史を繋ぐ要素として、『亡霊たちの咆哮』が3度目の登場を果たしました。杉下右京の中学生時代の自作小説『亡霊たちの咆哮』は「監禁」や「大金塊」に登場します。相棒シーズン4第8話『監禁』についてはこちらにまとめています。相棒シーズン21第11話『大金塊』についてはこちらにまとめています。
- 本エピソードには、角田課長、益子、土師太、内村刑事部長、中園参事官といったレギュラーメンバーは登場しませんでした。
作中の名言
- 「犯人は市中引き回しのうえ、打首獄門」(大門寺寧々)
ミステリー小説にネタバレを書き込む犯人への憤慨を表現した言葉。 - 「この件に関して僕はいくらでも理性を失う可能性がある」(杉下右京)
自身の「黒歴史」小説『亡霊たちの咆哮』を前に、理性を保つことの困難さを語る場面。 - 「理性を保てた人と、保てなかった人。ただそれだけの話かもしれませんね」(杉下右京)
ネタバレ書き込み事件の犯人と、自身の小説への執着を巡る心の葛藤を振り返り、人間の「愚かさ」について語る場面。

