コナン・ドイル「花婿失踪事件(A Case of Identity)」のあらすじ・ストーリー・結末、感想です。
あらすじ
暇を持て余すシャーロック・ホームズの下にミス・メアリー・サザーランドがやってくる。彼女がタイピストであることを見抜いたホームズは依頼人を驚かせ、一緒にいたワトソン博士も同様に驚いた様子だった。
タイピストのメアリー・サザーランドはホームズに婚約者の失踪について相談にやってきたと言う。彼女はは比較的裕福な若い女性で、タイピングで賃金を得つつも、伯父の遺産で利子も受け取っているという。しかしながら、実家暮らしのメアリーは収入の全てを母親と継父のジェームズ・ウィンディバンクに渡していた。そんなメアリーもいずれ結婚するつもりで、結婚すれば、収入はすべて自分のものになるのだった。
継父のジェームズはメアリーが家族以外の人間と交流することを嫌がっていた。そんなジェームズがいるため、メアリーには結婚相手を見つける機会がほとんどなかった。しかし、支配的な継父に反発したメアリーは舞踏会に参加し、ホスマー・エンジェルという青年と知り合う。その後、二人は婚約し、結婚式を迎えるが、花婿が乗ったはずの馬車は空で、どこかに姿を消してしまう。消えたホスマーは失踪直前に「どんなことがあっても、いつも自分に忠実であってほしい」という言葉をメアリーに残している。
メアリーはホスマー・エンジェルに夢中だったが、彼がどこに住んでいるのか、どこで働いているのかなどはほとんど知らなかった。ホスマーは長いひげを生やし、色眼鏡をかけているらしい。彼がメアリーに送る手紙はすべてタイプライターで、署名もタイプだった。メアリーは返事を書いたが住所を知らないので郵便局に送っていた。

登場人物
- シャーロック・ホームズ
名探偵 - ジョン・ワトソン
ホームズの友人 - メアリー・サザーランド
依頼者。結婚式の日に花婿が失踪するという悲劇に遭遇する。やけにでかい帽子を被って現れる - エサリッジ夫人
メアリーの母親。かつてホームズに夫の失踪を依頼したことがある - ジェームズ・ウィンディバンク
メアリーの継父。メアリーとは5歳ほどしか離れていない。ワインの輸入会社で働いている - ホズマー・エンジェル
メアリーの花婿。結婚式当日に姿を消す
ネタバレ
ホスマー・エンジェルとジェームズ・ウィンディバンクは同一人物です。継父のジェームズはメアリーが結婚しないようにするため、舞踏会でホスマーに変装してメアリーに近づきました。当初、ジェームズはメアリーとの婚約までは考えていませんでした。しかし、メアリーが夢中になったため、結婚式で姿を消すという芝居をうちました。ジェームズの狙いは、花婿を失ったメアリーがホスマーのことを思い続け、結婚しなくなるということにありました。
トリック
犯人は金を手に入れ続けるため、変装して義理の娘に近づき結婚を阻止しました。この変装が犯人が仕掛けたトリックといえます。なお、馬車から消えたのは、乗り込んだ反対側からこっそり降りていました。
ホームズの推理
ホームズはホズマー・エンジェルがメアリーに送った手紙に注目しました。手紙はタイプライターで文字が書かれており、そこにはタイプライターのeがぼやけるというのと、rの肩が欠けるという特徴が現れていました。その特徴はジェームズが事務所のタイプライターで打った文字と全く同じでした。
さらにホームズはホズマーの人相から変装らしき頬髭や眼鏡などを取り除き、ある会社に問い合わせました。結果、その会社から、該当する人物がウィンディバンクであるという連絡も受け取っています。
ホームズは初対面のメアリーに「あなたの近眼で、そんなにタイプライターを撃たれるのは少々お辛い仕事でしょうね」と話し掛けています。
タイプライターを使っているというのを見抜いたのは、メアリーの袖についた二本の線でした。近眼というのは、顔に鼻眼鏡の跡が残っていたからです。その他、左右で異なる靴を履いていたことなどから慌てて出てきたこと、指先に付着したインクから出かける前にメモをしたことなどを推理しています。
感想
犯罪とは言えない事件でした。しかしホームズは卑劣な行いをしたウィンディバンクが、いつか他の罪で罰せられるだろうと言っています。
この作品はジェレミー・ブレット主演のドラマで映像化されていません。花嫁が失踪するというよく似た作品(未婚の貴族)は映像化されています。
この記事のまとめ
コナン・ドイル「花婿失踪事件」のあらすじなどをご紹介しました。「花婿失踪事件」以外に「花婿の正体」や「ふきかえ事件」という訳もあります。内容を簡単にまとめると次のようになります。
シャーロック・ホームズが依頼人の女性から失踪した婚約者を探すという依頼を受け、最終的に、その婚約者というが依頼人の継父であることが判明します。義兄は遺産を手に入れるために変装し依頼人に近づき、結婚式当日に姿を消しました。

