エドガー・アラン・ポー「盗まれた手紙(The Purloined Letter)」のあらすじ、ストーリー、結末、考察です。
あらすじ
とある高貴なお方の秘密の手紙が、ある大臣によって盗まれる。犯人は大臣に違いなく、その大臣は手紙を使って、強力な権力を握り始めていた。
大臣の傍若無人に耐えられなくなった高貴な方は、警視総監に相談。警察は、極秘裏に大臣の部屋を捜索するが、手紙をみつけることはできなかった。困り果てた警視総監は、オーギュスト・デュパンを訪ねる。デュパンは言う、「たぶん簡単すぎる謎なんだろうな」と。
事件概要
手紙を盗んだのは大臣に間違いないですが、手紙の隠し場所がわからないという事件です。
警視総監は大臣の屋敷のあらゆるところを調べたようですが、手紙は見つかりませんでした。本人がずっと持っているというのも考えられますが、抜き打ちで大臣の所持品を調べても、やはり手紙は出てきませんでした。警視総監は、どうやら、大臣の隣の家も調べたようですが、やはり、見つからなかったようです。
警視総監は、デュパンに、もう一度調べるよう言われ、それに従っています。もう一度手紙を捜索した警視総監だったわけですが、やはり手紙は見つかりませんでした。
ネタバレ
手紙は屋敷の中にありました。それは、マントルピースの前にぶら下げられた名刺差しに堂々と入れられていました。警視総監は、手紙が隠してありそうな場所をみつけようとして、とても目につく場所を見逃していました。
警視総監がデュパンの助言に従ってもう一度調べている頃、デュパンは偶然を装って大臣の屋敷を訪れていました。そして、大臣と会話しながら、室内を観察し、名刺差しに気付きました。名刺差しには、名刺だけではなく、手紙が仕舞ってあり、その手紙こそが、盗まれた手紙でした。

隠し場所トリック
犯人の大臣は、手紙を目立つところに置いていました。手紙をあえてボロボロにし、取るに足らない紙屑のようなものにしていました。さらに、手紙(封筒)を裏返して本来のあて名などを見えなくし、裏面に大臣の宛名などを書き加えていました。
大臣が部屋を調べやすくしていたのも作戦の一つで、大臣は警察に調べさせることで、家に手紙はないと断定させようとしていました。
デュパンは、人を雇って発砲騒動を起こさせ、大臣が騒動に気を取られているうちに、手紙を拝借しています。なお、代わりの手紙を用意することで、発覚を遅らせてもいます。
結末
再びやってきた警視総監に、手紙を渡したデュパンは、真相を語り始めます。どうやらデュパンは、過去に、大臣との因縁があり、大臣がデュパンにすり替えられた手紙に気付く瞬間を、楽しみにしているようです。
考察
手紙の隠し場所は心理的な盲点を使ったトリックといえます。しかしながら、大臣の家にはなかった、しかし、実はあった、というふうに読んでしまうと、アンフェアになる気もします。ただ、探していたのは、あまり賢くない警視総監だったので、警視総監にはどうしても見つけられない隠し場所がある、というように解釈して読むべきでした。
盲点
この短編小説は盲点をつくトリックの最初の作品であるとされています。より細かく分類するのであれば、この作品に登場した盲点のトリックは、絶対に見つからない隠し場所に関するトリックだといえます。
隠すものは様々で「盗まれた手紙」の場合は手紙でしたが、死体、犯行の証拠などなど、バリエーションは様々です。
隠し場所以外の盲点トリックとしては、あまり気にされない人物などがあると思います。いずれにしても、人間の心理を利用したトリックであることは間違いありません。
数学と詩
謎解きの場面でデュパンは、数学だけではなく、詩の心得も必要と話しています。これは、おそらく、論理的に物事を考えるだけではなく、時には、飛躍も必要であると語っているのだと思います。
感想
古畑任三郎の作品で、ブルガリ三四郎という探偵が登場しますが、この探偵が、「探偵の背中」という隠し場所を紹介していました。確かに、背中は盲点…というか、そもそも通常は目視できていない部分なので、盲点といえないかもしれないですが、面白い隠し場所です。
ブルガリ三四郎に関する内容は、本編であっさり語られる内容なので、ネタバレではありません。

