たかが殺人じゃないか【あらすじ・ネタバレ・感想】

辻真先著「たかが殺人じゃないか(Isn’t it only murder?)」は終戦直後の昭和24年を舞台にした推理小説で、このミス2021年1位の作品です。このページでは、あらすじ、ネタバレ、感想などをまとめています。

©東京創元社/辻真先・南波タケ・しらこ・石松経章

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あらすじ

新制高校三年生になった風早勝利(かざはや・かつとし)はたった一年だけの高校生活・男女共学を送っていました。推理小説研究部の勝利は、推研の部員と映研の部員、そして顧問の別宮操(べつく・みさお)を含めた六人で、一泊の修学旅行に出掛けます。

顧問の計らいで、廃墟見学に向かった一行は「民主一号」とあだ名されるモデルハウスで高名な評論家・徳永の撲殺死体を発見します。不思議なことに、モデルハウスは密室で、室内に犯人が隠れている様子もありませんでした。

風早が想いを寄せていた同級生・咲原鏡子(さきはら・きょうこ)が売春婦だったことが判明した後、推研と映研の一行は、デブな市会議員・郡司のバラバラ殺人事件に遭遇します。キティ台風が襲来したその日、死体を発見したのは風早と映研の部長・大杉で、彼らは他の部員と共に学園祭のため撮影を行っていました。

徳永の密室殺人、そして、郡司のバラバラ殺人に加え、節という少女の失踪も謎に加わります。別宮は事件解決のため、看板絵描きの名探偵・那珂一平(なか・いっぺい)に調査を依頼します。

キーワード:戦後

昭和24年(1949年)が舞台となっており、戦後という言葉がよく書き込まれています。終戦が1945年だったので、4年後の日本・名古屋が舞台です。

戦後、いきなり男女共学になって、戸惑う生徒たちなどなど、ミステリー要素だけではなく、昭和時代のドラマとして純粋におもしろかった。特に終盤は戦前、戦中、戦後を生で知る著者ならではの生々しさがあって、終わり方もとても魅力的でした。

描写が細やかで、戦後の雰囲気が色鮮やかに示されている。あらためて混沌とした時代だったのが分かる。この部分に気を取られていたが、非常に正統派な推理小説。

戦後間もない時代の雰囲気をうまく反映させたストーリー展開。高い評価はうなづける。それぞれの思いも深い。

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ネタバレ

徳永と郡司を殺害した犯人は別宮操です。操は失踪した節の姉で、節は徳永と郡司に殺害されました。節殺害を知った操は復讐のため、二人を殺しました。
節は、墜落した戦闘機の米軍パイロットを助けようとしていました。墜落したのは1945年の8月14日で、その翌日に、終戦を迎えました。パイロットは敵兵ではなくなったわけですが、徳永と郡司はパイロットを始末しました。パイロットの救助を訴えた節は郡司に抑えつけられ命を落としました。

  • 密室殺人のトリック
    室内から部屋を解体することはできませんが、室外からであれば屋根を外すことができます。犯人は屋根を外して、死体を室内に入れました。投げ入れたわけではなく、滑り台、ロープ、そろばんを使って死体を滑り込ませていました。そのため、死体に目立った外傷はありませんでした
  • バラバラ殺人のトリック
    風早と大杉は郡司の生首をみたと思っていましたが、実は、胴体が繋がっていました。郡司は確かに息絶えていましたが、車の屋根に座って、廃墟の穴から首だけを出している状態でした。解体される前だったため、五分程度の時間しかないとしても、別宮に犯行は可能となります
  • たかが殺人
    パイロットと節殺害を操に問われた徳永は「たかが殺人ではないか!」と言い放ちます。多くの死者を出した戦争に比べれば、たいしたことはないという言い分です
  • 仕掛け
    最初のページで、真犯人の別宮操が犯人だと指摘されています
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感想まとめ

みんなの感想をご紹介します。

下の画像の言葉は感想でその言葉がよく使われたことを意味しています。また、言葉と言葉を結ぶ線は、その言葉が同じ文で使われたことを意味しております。

「たかが殺人じゃないか」の感想をまとめた図
  • 仕掛け
    最後に、とても面白い仕掛けが用意されています。この点について書き込んでいる方が多いです
  • 興味深い
    戦後間もない頃の高校生、名古屋の風景など、時代背景に興味を寄せている読者が多いようです
  • 男女共学
    突然、男女共学になったという時代背景に、青春が描かれています

最後にニヤリとする。最後まで読んでまた戻りたくなる仕掛けに遊び心を感じる。

あっと驚く基本に忠実な真相と最後の仕掛けに加え、結末から冒頭につながる仕掛けも心憎い。

辻真先御大らしい遊び心もあり、楽しく読めた。特に、最後の仕掛けは、らしさ全開。

謎解きの部分でも楽しめたし、その当時の時代背景も興味深かった。時代背景の勉強になるし、登場人物が興味深い人ばかりだった。

戦後の教育制度も経験した方ならではの現実味があり興味深い。

終戦直後の名古屋を舞台に世相や男女共学初年度の学生たちや周囲の戸惑いと青春を描いて瑞々しい。

テクニカル情報
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