就活ミステリー「六人の嘘つきな大学生」のあらすじ、感想、結末などのまとめです。この作品は、伏線の狙撃手と評される浅倉秋成(あさくら・あきなり)氏が書いたミステリーで、ブランチBOOK大賞2021を受賞し、2022年本屋大賞にノミネートされています。単行本の発売日は2021年3月2日で出版社はKADOKAWAです。文庫版も発売されています。
あらすじ
IT企業の最終選考に残った大学生六人は、グループディスカッションで、内定者を一人だけ決めるという課題を与えられる。
「ここにいる六人全員、とんでもないクズだった」
ディスカッション当日、六人は、会場の隅に落ちた封筒を拾う。封筒の中身は人殺しの告発文とそれぞれの秘密を映した写真だった…。

©KADOKAWA
登場人物
タイトルの通り、主な登場人物は、六人の大学生です。この大学生以外に、面接試験を実施する企業側の担当者、大学生達の家族などが登場します。
- 波多野祥吾(はたの しょうご)
立教大学経済学部、経済政策学科。散歩が趣味で名所案内が特技。前半は彼の視点で物語が進む - 嶌伊織(しま いおり)
早稲田大学文学部、社会学科。読書好き。後半、彼女の視点に切り替わる - 九賀蒼太(くが そうた)
慶応大学総合政策学部、総合政策学科。国旗国名あてが特技 - 袴田亮(はかまだ りょう)
明治大学国際日本学部、国際日本学科。運動、力自慢の男 - 矢代つばさ(やしろ つばさ)
お茶の水女子大学文教育学部、グローバル文化学環。外国語が得意 - 森久保公彦(もりくぼ きみひこ)
一橋大学社会学部、社会学科。パソコン組み立てが趣味
学科名などを見ただけでは、何を専攻しているのかわかりにくいですが、全員、いわゆる文系のようです。森久保も文系ですが、唯一、パソコンに詳しいキャラのようです。
ネタバレ
まず、最終的に内定者に選ばれるのは嶌伊織です。内定者は、序盤は九賀、そして中盤から終盤にかけて波多野が優勢になります。しかし、波多野が封筒を置いた犯人であると疑われ、失脚します。
しかし、犯人は波多野ではありません。真犯人は九賀蒼太です。この真相は、グループディスカッションから八年後、社員となった嶌が明らかにします。
最初から最後まで、誰も死にません。そのため、人が死なないミステリーといえます。
結末は嶌がある就活生の選考で二重丸をつけるという場面で終わります。その就活生は昔の嶌にそっくりでした。人を疑うことを知らないその若者が、どのように「成長(Grow up)を超え、新たな自分へと超越(Transcend)する」のか、ということに興味関心を抱いたゆえの行動だと考えられます。成長と超越の文言は会社の人材募集スローガンです。
第三者である読者をも騙し、騙されながら、驚きの結末へと向かっていく。
心理作戦が巧みな小説だと思います。結末を知った上で再読したいです。
感想まとめ
下の画像の言葉は感想でその言葉がよく使われたことを意味しています。また、言葉と言葉を結ぶ線は、その言葉が同じ文で使われたことを意味しております。

- 伏線回収
とにかく見事な伏線回収、という感想の多い作品です。見事以外にも、圧巻、最高、鮮やかなどの言葉で修飾され、絶賛の嵐です。「伏線の狙撃手」という著者の異名に負けない、何度も騙されてしまう大変おもしろい作品です - 一気読み
301ページの長編小説ですが、一気に読めた(一気読みした)という感想が、非常によく投稿されています。面白いから、一気に読めたというのはもちろんですが、読みやすいというのも、評価ポイントの一つのようです。読みやすいというのは、決して文体だけのことではなく、構成や展開なども影響しているようです - 月の裏側
この作品の特徴を表す一言は月の裏側ではないでしょうか。レビュー投稿者も、このキーワードを書き込んでいます。月は自転と公転の周期の関係上、常に同じ面を向けています。住んでいる国で見える面は、多少異なりますが、裏側は見えません。
この裏側は見えない、というのが「六人の嘘つきな大学生」を象徴するフレーズです。星の王子様を思い出すような、レビューですが、これとそれとは、少しニュアンスが違う気がします
当たり前だが、彼らは全員、完全な善人ではなかったかもしれない。でも完全な悪人であるはずがなかったのだ。おそらく完全にいい人も、完全に悪い人もこの世にはいない。(中略)一面だけを見て人を判断することほど、愚かなことはきっとないのだ。
(P266引用)
レビューで頻繁に、伏線回収に言及されてますが、確かに見事でした。もともと期待していた上で楽しませてもらいました。
二転三転、いや、五転六転? 伏線回収しながらラストへと一気に進み、完全に引き込まれた。
伏線を見破れるほど洞察力がないので、最後の怒涛の伏線回収に“すごーい”とか“へー”とか声が止まりませんでした。
後半では鮮やかに伏線回収をしてくれるのでパズルがビシッとハマったみたいに爽快な気分にさせてくれます。イヤミス系かと思ったけど後味は良かったと思う。
ただの物語ではなく人の考え方の根底をグサリと刺されるようなストーリーで一気読みした。色々考えさせられる作品を推理仕立てにしてあるから読みやすい。
読みやすい本をお探しの方におすすめできます。※ただし就活生除く
月の裏側は見えない話、印象的だった。見えているものばかりでついつい決めつけちゃう……。
メディアミックス
本作は映画だけではなく、漫画化や舞台化もされています。マンガで読めるあらすじ、著者情報は公式サイトにまとめられています。登場人物のエントリーシートも確認できます。

