名探偵ポワロ・第37話
名探偵ポワロ『なぞの遺言書』のあらすじ、トリック解説です。
多額の遺産を持つ紳士が亡くなり、その遺言書が消えます。紳士は亡くなる直前、ポワロに遺言の書き換えを申し出ていました……。
あらすじ
ポワロは友人のアンドルー・マーシュに屋敷へと招待され、そこで、死期を悟ったアンドルーに遺言の執行役を依頼されます。アンドルーは十年前に遺言書を残していましたが、彼はそれを書き換え、すべての遺産をバイオレットという養女に渡そうとしていました。
アンドルーがポワロに執行役を頼んだその夜、彼は電話で呼び出され、翌朝に死体となって発見されます。医師は死因を心不全で片づけますが、のちに遺言書が消えていることが発覚し、ポワロは事件の調査に乗り出します。
ポワロは医師から被害者には隠し子がいるらしいという話を聞き、その息子がどうやら相続人になりそうだということを知ります。事件関係者の中で、被害者の息子として適齢なのは、ロバートとピーター以外には考えられませんでした。
被害者の隠し子が遺産目当てで犯行に及んだと考えられていた事件ですが、現場から発見されたインスリンの瓶を証拠として、警察は医師を逮捕します。どうやら医師には、末期の患者を安楽死させていたという過去があったようです。
医師が逮捕され事件は解決したようにみえましたが、今度は、女性学長がエスカレータで何者かに突き落とされるという事件が発生します。
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス大尉、ミス・レモン、ジャップ警部以外の登場人物です。
- アンドルー・マーシュ
被害者。ポワロの友人。お金持ち - バイオレット・ウィルソン
被害者の養女。優秀な女学生 - ポーリン・ウェザビー
アイリスの妹 - ジョン・H・C・シダウェイ
弁護士 - セーラ・シダウェイ
ジョンの妻。看護師 - ロバート・シダウェイ
ジョンとセーラの息子 - ウォルター・ベーカー
巡査 - マーガレット・ベーカー
ウォルターの妻。家政婦。バイオレットの乳母 - ピーター・ベーカー
ウォルターとマーガレットの息子 - プリチャード
医師。逮捕される - カンピオン
学長。エスカレータで突き落とされる。命に別状はなかったが、足の骨を折るなどの重傷を負う
注目のシーン
汚れを気にするポワロ。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
謎
医師のプリチャードが逮捕されますが、彼にはカンピオン学長の犯行は絶対に不可能です。アンドルーを殺し、学長を突き落とした人物が別にいます。そして、誰がアンドルーの子供なのかというのも大きな謎です。
アンドルーは遺言を書き換えようとしていたところ、突然、亡くなりました。そして、弁護士が管理していた遺言書はどこかに消えてしまいました。その遺言書には、バイオレット以外の関係者に遺産を残すという内容が書かれていましたが、これをアンドルーは「すべてバイオレットに相続する」という内容に変えようとしていました。
死体発見時の医師の診断は心不全ですが、のちに、死体から注射痕がみつかります。
被害者には息子がいたようです。遺言書が紛失しているため、もしも息子がいるのならば、その息子が財産を引き継ぐことになります。
また、学長もエスカレータで突き落とされています。命は助かりますが、重症を負います。このとき、医師は逮捕されており犯行は不可能でした。
手掛かり・伏線
事件の謎を解くヒントです。
現場で見つかったインスリンの瓶は、死体発見時にはなかったようです。巡査やポワロが見逃したという可能性もありますが、誰かが後から持ち込んだということも考えられます。事実、被害者には何かを注射されたような痕跡があります。
証言
プリチャードは被害者に息子がいると証言しています。この証言をもとに、ポワロは息子らしき人物を探すことになります。
- 巡査の息子
ピーターが巡査の妻と被害者アンドルーの息子という可能性です。妻のマーガレットは家政婦として働いていたようですが、身ごもった時、アンドルーは別の国に滞在していたようです - 弁護士の息子
ロバートは自分がアンドルーの息子だと信じるようになります。つまり、母親のセーラとアンドルーの間に生まれた子供ということです。
ロバートは学長と弁護士である父親の会話を盗み聞きしています。その内容は、死んだアンドルーの子供であるかどうかを証明するために、出生記録などは必要なく、ただ宣言すればいいという内容でした - 出産の痕
突き落とされたカンピオンは手術を受けます。このとき、担当医が帝王切開のキズが残っていることに気付きます。どうやらカンピオンは出産を経験しているようです。しかし、その子供や父親は紹介されていません
証拠
前述のインスリンの薬瓶には番号が表記されており、その所在を追跡できるようになっていました。これにより、それはプリチャードのものであることが判明します。しかし、犯人がプリチャードでないとすれば、犯行に使われたインスリンは、誰かが盗み出したということになります。
真相(ネタバレ注意)
犯人はセーラ・シダウェイです。彼女は自分の息子に全財産を相続させようとしていました。
看護師のセーラは注射の扱いに慣れていました。さらに彼女は、医者であるプリチャードに頼まれ、彼の鞄から聴診器を取り出しています。彼女にはインスリンを盗む機会があったといえます。
インスリンを盗むような不審な行動が映像で残っているわけではありません。
カンピオンを突き落としたのもセーラです。彼女はカンピオンがポワロを訪ねるのを阻止しようとしました。セーラがそのことを知り得たのは、息子のロバートから聞かされたためです。
正体
息子ではなく娘でした。被害者アンドルーの子供はバイオレットです。母親は学長のカンピオンで、その出生記録をミス・レモンが調べています。
つまり、アンドルーは自分の実の娘に遺産を相続しようとしてたことになります。
結末
犯人であると告げられたセーラは警察に連行されます。
自分が正当な相続人であることを知ったバイオレットは、会社を始める決意を固めます。
感想
遺言書はどこかに消えてしまいました。犯人が燃やしたのかもしれません。ドラマの原作となった短編小説では、遺言書の隠し場所に焦点が当てらており、殺人事件はそもそも発生しなかったりします。
【ネタバレ注意】なお、原作における遺言書の隠し場所は、封筒でした。火であぶると封筒に遺言が浮かび上がるという仕掛けで、心理的な盲点をついたトリックとなっています。エドガー・アラン・ポーの『盗まれた手紙』に通ずる内容です。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「なぞの遺言書」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | ― |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 犯人は誰か |

