名探偵ポワロ第70話・S13E5『カーテン~ポワロ最後の事件~(Curtain: Poirot’s Last Case)』のあらすじ、トリック、ネタバレ解説です。車椅子のポワロが滞在するスタイルズ荘にヘイスティングスを招き、事件の予感を話します。名探偵ポワロシリーズはこのエピソードが最終話です。
あらすじ
父親を殺害したマーガレット・リッチーフィルドが絞首刑となる――。
1949年、ポワロに呼び出されたヘイスティングス大尉は、ひさかたぶりに、スタイルズ荘を訪れます。第一次世界大戦の頃、スタイルズ荘では女主人が毒殺されるという事件がおき、この事件がきっかけで、ポワロとヘイスティングスは共に捜査をすることになりました。
そんないわれのあるスタイルズ荘は宿泊施設となっているらしく、具合の悪そうな車椅子のポワロは宿泊客として滞在しているようでした。
ヘイスティングスと再会したポワロはスタイルズ荘で再び殺人が起きそうだと大尉に伝えます。ポワロに犯人の目星はついているようでしたが、顔に出やすいタイプの大尉には、その犯人とやらを教えることはありませんでした。
かくして、身動きのとれないポワロに代わり調査を進めることになったヘイスティングス大尉ですが、スタイルズ荘には大尉の娘であるジュディス・ヘイスティングスも宿泊しており、彼女が大尉の悩みの種となってしまいます。
ジュディスは宿泊客のアラートン少佐と仲がいいらしく、同じく宿泊客のノートンから少佐の悪い噂を吹き込まれた大尉は、娘と少佐の仲を勘繰り始めます。そして、ノートンと共に、娘と少佐の接吻を目撃してしまった大尉は少佐が常用している睡眠薬を使って、殺人を企てます…。
さらにその後、宿泊客のバーバラ・フランクリンが毒を盛られて死亡してしまいます。バーバラの死に関してポワロは、バーバラが自殺したようだという内容を証言しますが、それは、どうやら嘘のようでした。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
誰にも見抜けなかったであろう驚愕の事実が明らかになる
登場人物とキャスト
ポワロとヘイスティングス大尉以外の登場人物です。執事のジョージも少し登場します。
- ジュディス・ヘイスティングス
ヘイスティングス大尉の娘。フランクリン博士の秘書をしている。母、すなわち、大尉の妻は他界している。 - バーバラ・フランクリン
スタイルズ荘の宿泊客。派手な女性。いやな感じの女性。 - ジョン・フランクリン
スタイルズ荘の宿泊客。バーバラの夫であるが、バーバラとは対照的に地味な印象。医学博士で、カラバル豆の研究のため、動物実験などを行っている。 - クレイブン
バーバラの世話をしている女性。看護師。不満は隠さずに口に出すタイプ。 - スティーブン・ノートン
スタイルズ荘の宿泊客。吃音のような話し方をする男性。 - ウィリアム・ボイド・キャリントン
スタイルズ荘のの宿泊客。準男爵。バーバラと親しくしている紳士。 - エリザベス・コール
スタイルズ荘の宿泊客。ピアノを弾いていた女性。ノートンに好意を抱いている様子。 - アラートン
スタイルズ荘の宿泊客。大尉に睡眠薬について話していた青年。ジュディスと接吻していた。 - デイジー・ラトレル
スタイルズ荘の経営者。ブリッヂで夫のトービーに悪態をつく。恐妻な印象。 - トービー・ラトレル
スタイルズ荘の経営者。デイジーの夫。尻に敷かれている感じ。 - カーティス
ポワロの世話をしている屈強な男。無口(話すシーンがほとんどない)。
主要ゲストの役名と役者名をまとめます。
| 役名 | 役者名 |
|---|---|
| Judith Hastings ジュディス |
Alice Orr-Ewing |
| Barbara Franklin バーバラ |
Anna Madeley |
| Stephen Norton ノートン |
Aidan McArdle |
事件のまとめ・謎
ポワロのいう殺人者が誰なのかというのが最大の謎になります。そして、スタイルズ荘で起きた事故や殺人未遂、そして、殺人事件と、過去の事件、すなわちマシュー・リッチーフィルドの事件とフリーダ・クレイの事件の関係も不明です。
- 誤射
ヘイスティングス大尉がスタイルズ荘に到着した後、まず、経営者のトービーが撃った猟銃の弾が妻のデイジーに命中してしまうという事故が発生します。ただの事故だったかどうかはわかりません。 - ヘイスティングスの犯行!?
ヘイスティングス大尉がアラートン少佐を殺害しようとしますが、これは未遂に終わります。詳細は最後まで語られませんが、大尉は眠ってしまったため、犯行に及べなかったようです。朝、目を覚ました大尉は、我にかえり、ポワロに心境を話しています。 - バーバラの死
バーバラ・フランクリンがカラバル豆に含まれる毒物などを飲み、死亡します。トービーや大尉のように、何者かが犯行に及んだようにみえます。なお、バーバラの死について、自殺願望があったことや小瓶を手に持っていたことなど、ポワロは明らかな嘘を証言していますが、その真意は不明です。 - 過去の事件
ジュディスがポワロと大尉に話した事件がリッチーフィルドの事件で、看護師のクレイブンが語った事件がフリーダ・クレイの事件です。フリーダの事件はディナーの席でも話題になっています。
過去の事件については下記の通りです。
- リッチーフィルド事件
マーガレット・リッチーフィルドが父親のマシュー・リッチーフィルドを殺害したという事件です。自首したマーガレットは、その後、絞首刑となります(ドラマ冒頭のシーン)。マシューはマーガレットを含む姉妹を虐げていたため、殺害されたようで、マーガレットの妹がショパンの“雨だれ”を弾いていたエリザベス・コールです。ややこしいことに、エリザベス・コールは姉の犯行を信じていません。 - フリーダ・クレイ事件
ノーラ・シャープルズが死亡した事件がフリーダ・クレイの事件です。この事件では、姪のクレイがシャープルズ殺害を疑われますが、証拠不十分で無罪となります。現在バーバラの看護師となっているクレイブンは、以前、シャープルズの看護をしていたようです。
伏線・手掛かり
ポワロは犯人を知っており、犯人の関与を示唆する状況証拠を握っています。しかしながらこれは終盤で明かされることになります。
証拠
作中では最後まで詳しく語られませんが、バーバラは毒入りコーヒーを飲んだため、死亡しました。コーヒーのカップは二つあり、どちらもサイドテーブルの上に置いてありました。
証言
前述の通り、ポワロは審問らしき場で嘘をついています。バーバラが自殺をほのめかしていたということはなさそうですし、右手に小瓶を持っていたということもなさそうでした。実際、バーバラが話していたのは、夫が自分に毒物を試しそうということでした。
ポワロの執事だったジョージについてポワロは、家族の看病のためにポワロのもとを離れたと話していました。しかし実際は、ジョージがポワロに暇を出されていました。その理由についてジョージは、カーティスを雇いたかったからだと話しています。
状況
トービー・ラトレルはブリッヂの最中に妻のデイジー・ラトレルに恥をかかされていました。普段からデイジーがトービーを蔑ろにしていたというのは、誰の目にも明らかだったように思います。そして、ヘイスティングス大尉が娘を心配しているということも、観察していれば把握できたように思います。
いずれも、犯行動機の種のようなものがあったのは間違いありません。
死んだバーバラ・フランクリンについて、明らかな動機がありそうなのは、夫のジョン・フランクリンです。ジョンは妻のために、アフリカでの研究を断らなければならない状況でした。とはいえ、わがままな性格のバーバラは周囲から嫌われていたような人物なので、ジョン以外にも動機を持つ人物はいそうです。
- 大尉の行動
バーバラの死の直前に、宿泊客達がバーバラの自室に集まって歓談しています。流れ星で宿泊客が屋外に出たとき、大尉だけは室内に残り、本を探しています。本が置いてあったのはソファの横のサイドテーブルで、回転式になっています。大尉は少しテーブルを回転させて、目当ての本を手に取っています。 - 準男爵と看護師
バーバラが部屋に入ったとき、キャリントン卿と看護師のクレイブンが何やら親し気にしています。手相をみてもらっていた、などと言っていますが、全く隠しきれていない気がします。これを目撃してしまったバーバラは機嫌を損ねたようです。 - バードウォッチング
ノートンがヘイスティングス大尉やエリザベス・コールを連れてバードウォッチングをしているとき、ノートンは何かを目撃したようです。ノートンが何を見たのかはわかりませんが、大尉はそれが、娘とアラートンだと早合点したようです。のちにノートンは、それがバーバラの死に関することだったかもしれないということをほのめかしますが、結局、誰だったのかはわかりません。 - ノートンの死
スティーブン・ノートンの死体が自室で見つかります。部屋に鍵がかかっていたこと、拳銃が手に握られていたことなどから自殺と考えられますが、額を撃ち抜いていることなどから他殺説も浮上します。この一件に関してポワロは、自殺だと断定しているようです。
ネタバレ
全ての事件の黒幕はスティーブン・ノートンです。ノートンは、言葉巧みに加害者達を操り、犯罪へと導いていました。そして、ノートンを殺害したのはエルキュール・ポワロです。殺人教唆の確たる証拠がなかったポワロは自ら犯罪者を裁き、その後、心臓発作でこの世を去ります。
ポワロがノートンの関与を指摘したのは、リッチーフィルド及びフリーダ・クレイの事件だけではなく、エザリントンの事件も加えられていました。
ポワロは犯行直前のフリーダ・クレイとノートンが歩いている写真を握っていました。また、リッチーフィルド事件では、事件が起きた時ノートンが現場にいたことを指摘しています。
エザリントン事件についてポワロは、麻薬中毒でサディストだった夫を妻が毒殺しようとしたと語っています。夫とノートンは親しくしていたようです。
ノートンこそが全ての事件の黒幕といえますが、基本的に、“ちょっとお話した”程度のことしかしていません。それでも、相手の心理を把握する能力が非常に高いため、相手をうまく操ることができます。たとえ、能力があったとしても、雰囲気がやり手風だと警戒されてしまいます。しかしノートンは人を威圧するようなキャラクターではないため、誰もが油断してしまいます。それぞれのノートンの関与についてまとめると次のようになります。
- トービー
ノートンは、スタイルズ荘でまず、トービー・ラトレルが妻に手を下すよう仕向けました。それが、ブリッヂのときの発言です。ノートンは、あえてトービーに聞こえるように「おぞましい光景ですよね――」と話し、トービーを焚きつけました。 - ヘイスティングス
ノートンは大尉にアラートンの女癖を話しています。これが本当かどうかはわかりませんが、この話を信じた大尉は、不安を募らせてしまいます。その後、バードウォッチングの一件が起こります。これに、ジュディスとアラートンの接吻が重なり、アラートンが相手をアパートに連れ込むという話も耳にしてしまいます。以上のことが積み重なり、ヘイスティングス大尉はアラートン殺害を決意します。睡眠薬を盗んで、それをアラートンと一杯やりながら飲ませる計画だったようですが、眠ってしまったため、犯行は未遂に終わります。ヘイスティングス大尉の犯行を阻止したのはポワロで、実はポワロは歩けました。歩けないふりをするためにジョージに暇を出し、歩けることに気付かなそうなカーティスを雇いました。ポワロはヘイスティングス大尉の足音を耳にし、鍵穴からのぞいて、大尉が睡眠薬を盗む姿を目撃。大尉の殺意を確信したポワロは、大尉に睡眠薬入りココアを飲ませて眠らせました。 - バーバラ
ノートンはバーバラに夫のジョンを殺させようとしていました。夫の地位などに不満をもっていたバーバラはキャリントン卿との結婚を企んでいました。そんなキャリントン卿が看護師のクレイブンと親し気にしていたため、キャリントン卿を逃さまいと、夫殺害を決意します。コーヒーカップに毒を入れたのはバーバラ自身で、バーバラは夫を殺害しようとしていました。しかし、ヘイスティングス大尉がサイドテーブルを動かしたため、毒入りのカップがバーバラの手元に移動してしまいました。サイドテーブルが動いたことに気付かなったバーバラは、自分で毒入りのコーヒーを飲んでしまいます(バーバラがソファを離れようとしなかったのはコーヒーカップを見張るためだったのかもしれません)。ノートンにとってバーバラの死は、計画の失敗でしかなかったため、フラストレーションがたまることになります。これを解消するため、バードウォッチングの話を持ち出し、バーバラが他殺であるようにみせようとしていました。一方ポワロは、バーバラの夫などが疑われることを回避するため、バーバラが自殺であることを示唆するようなことを証言していました。 - ジュディス
ジュディス・ヘイスティングスも実はノートンの標的になっていました。ディナーの席で、ジュディスが席を立ったのは、ノートンに挑発されたためです。
ノートンのねらいは、ジュディスによるバーバラ殺害です。バーバラの夫であるジョン・フランクリンに好意を抱いていたジュディスとって、バーバラは邪魔な存在でした。父親であるヘイスティングス大尉はジュディスとアラートンの関係を疑っていましたが、ジュディスの本当の相手はジョンでした。つまり、大尉は勘違いをしていたということになります。キスをしていたのは、そんな雰囲気になったからで、恋人同士だからではありませんでした。そして、アラートンが会話していたのはジュディスではなく、看護師のクレイブンで、アラートンの相手はクレイブンでした。なお、ジュディスとジョンは、その後、結婚することになります。
最後の事件
ポワロはノートンを自室に呼び出し、直接、殺人教唆を告発。そして、悔い改める気配のないノートンに睡眠薬入りのココアを飲ませて眠らせました。その後、ガウンを羽織り、つけ髭を外してヘイスティングス大尉に目撃され、眠ったノートンをノートンの部屋へと運びました。
ノートンをベッドに寝かせたあとは、ノートンの額を撃ち抜いて殺害し、銃を握らせました。部屋は、予め用意していおいた合鍵をつかって施錠しています。
自殺に偽装するために、拳銃をもっていたようにみせたりしていましたが、あえて額を撃ちぬいたのは、ポワロの美学だったようです。
結末
ポワロの死後4カ月が経過したのち、ヘイスティングス大尉はポワロから手紙を受け取ります。そこには、全ての真相が書かれていました。
感想
70話分の想いがありますので、ポワロがベッドで事切れているシーンをみるのは辛かったです。架空の人物とはいえ、自ら罪を犯した上で亡くなってしまうというのは、悲しすぎる結末だったと思います…。最終回に相応しい、感慨深い内容でした。『本当に素晴らしい日々だった』というポワロの言葉にも、込み上げてくるものがありました。それにしても、ポワロがつけ髭だったというのは、驚愕の事実でした。
原題は「Curtain: Poirot’s Last Case(カーテン:ポワロの最後の事件)」で、原作とドラマのストーリーは同じですが、関係する事件の数が少なかったり、冒頭の絞首刑が原作小説になかったりします。
ロケ地
ドラマに登場したスタイルズ荘はシャーバーン城という白のようです。
| 作中 | ロケ地 |
|---|---|
| スタイルズ荘 | Shirburn Castle |
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「カーテン」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | – |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 殺人者の正体 |

