ミューズ街の殺人・あらすじ・ネタバレ解説【名探偵ポワロ02】

名探偵ポワロS1E2・第2話「ミューズ街の殺人(Murder in the Mews)」のあらすじ、トリック解説、感想です。原作の日本語タイトルは「厩舎街の殺人」です。
バーバラ・アレンという女性が自宅で死体となって発見されます。


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あらすじ

ジャップ主任警部の依頼により、ある女性の変死事件を捜査することになったエルキュール・ポワロはヘイスティングスと共に死体が見つかった女性の自宅へと向かう。亡くなったのはアレン夫人という未亡人の女性で、死因は、こめかみに打ち込まれた一発の弾丸だった。夫人は利き手ではないと考えられる左手で銃を握っており、銃には夫人の指紋が付着していた。しかしそれは、誰かに無理やり押し付けられたようだった。

事件を捜査する警部とポワロは、死んだ夫人と同居していたカメラマンの女性、婚約者である下院議員、そして、知り合いの少佐から事情を聴く。
警部は現場に残された少佐のトルコ煙草の吸殻やカフスボタンなどの証拠、および、それらは死体のあった部屋に落ちていたが、少佐は死体が見つかった部屋には行っていないという矛盾した証言を根拠に、少佐を逮捕する。一方ポワロは、いくつかの手掛かりをもとに、少佐は犯人ではないという結論に達するのだった。

ゴルフをするポワロ

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
ボールを穴に入れるだけのゲームに興じるポワロ

登場人物

ポワロ、ヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警部以外の登場人物です。

  • バーバラ・アレン
    被害者。未亡人
  • ジェーン・ブレンダーリース
    被害者の同居人。カメラマン。アレン夫人には愛情を抱いていた
  • チャールズ・レイバトン・ウェスト
    被害者の婚約者。下院議員
  • ロバート・アースキン・ユースタス
    被害者の知り合い。少佐
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事件のまとめ・謎

少佐がほんとうに犯人かどうか、犯人でないとすれば、誰が真犯人かどうかです。

自殺か他殺か

夫人はこめかみを撃って、もしくは、撃たれて、死んでいました。左手には銃を握っており、一見、自殺のようにみえます。しかし、銃を無理矢理握らされたような痕跡があり、さらに、夫人は利き手とは逆の手――左手で銃を握っているようでした。

  • 自殺の可能性
    自殺だとすれば、被害者は利き手とは逆の手で銃を撃ったことになります。利き手と逆の手で引き金を引くというのは、不自然ですが、あり得ないことではありません。絶対にないとは言い切れないですが、違和感があることから、死体をいじった謎の人物の存在が疑われます。もし、謎の人物が存在するのであれば、何のためにそんなことをしてたのか?という疑問も浮かび上がります
  • 他殺の可能性
    自殺にみせかけて殺し、銃を握らせるなどの偽装工作をしたが、それが失敗した、という状況かもしれません。その犯人は、カフスボタン、煙草の吸殻、事件当夜に被害者を尋ねていたという事実から、少佐が適当な人物のようにみえます。死体が見つかった部屋は密室状態でした。遺書はありませんでしたが、部屋の中に鍵があれば自殺と断定できる状況です。ところが、鍵はどこにもありません。これらもまた、自殺ではなく、他殺を匂わせています。さらに、被害者が銀行からおろしたはずの200ポンドが無くなっていました。他殺の動機は、金かもしれません。

容疑者の不審な行動

被害者の同居人だったジェーンが、事件後、不審な行動をとります。

  • 階段下の戸棚を、ポワロ達が空けようとした時、ジェーンは、とても焦っていました。戸棚には、カバンやゴルフクラブが仕舞われていたようです
  • ジェーンは事件発覚後、喪に服しているにも関わらずゴルフに興じます。そしてそこで、ゴルフクラブを故意に折って廃棄し、カバンも池に捨てています
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伏線・手掛かり

ポワロはいくつかの手掛かりから、真相を見抜きます。

証拠

現場には、自殺か他殺かを明らかにするヒントが残されていました。

  • 腕時計
    死んだ夫人は、右手に腕時計をつけています。多くの人は、左手につけるはずです。
  • ペン
    被害者の机の上は、左側にペンが起きやすいようになっていました。被害者は右利き、のはずです。
  • 吸い取り紙
    夫人の死んでいた部屋には、机があり、そこには、奇麗な吸い取り紙が残されていました。ゴミ箱にも、吸い取り紙は捨てられていないようです。

状況

死体が見つかった部屋には灰皿、その中にはいくらかの煙草の吸殻と灰が残っていました。しかし、部屋に煙草の匂いは残っていませんでした。

少佐は、被害者の自宅を訪れ、居間で煙草を吸ったと証言しています。これが真実だとすれば、部屋に煙草の匂いが残っていなかった事実とは、矛盾しません。しかしながらそれは、誰かが吸殻などを動かしたという不可解な状況を生み出します。

証言

事件当夜、ある少年が被害者や被害者を尋ねる少佐の姿を目撃しています。どうやら被害者は、誰かに手紙を書いているようですが、吸い取り紙はありません。

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ネタバレ

アラン夫人は自殺です
同居人のジェーンが少佐をおとしめるために、自殺を他殺にみせようとしていました。

同居人が自宅に戻ってきたとき、既に、アレン夫人は死んでいました。そばには遺書があり、自殺は明らかでした。
遺書を読んだ同居人のジェーンは、夫人を自殺へと追いやった少佐に復讐するため、夫人の自殺を、少佐による他殺に偽装します。

  • 自殺隠蔽
    夫人の自殺を隠すため、遺書は暖炉で焼きます。このとき吸い取り紙も一緒に、すべて焼いています。そのため、吸い取り紙が消えるという不自然な状況になっていました
  • 他殺偽装
    死体の左手に握られた銃をとり、指紋を拭き取り、あえて無理矢理指紋を付着させます。その後、左手に銃を戻し、ジェーン自身が右利きだったと証言し、自殺に疑いもたせます。ゴルフクラブを処分したのは、左利き用のゴルフクラブだったためです。夫人が右手に腕時計をしていたのは、字を書く時、邪魔なためだと考えられます(議員は、婚約者の利き手を憶えておらず、右利きと証言しています)
  • 罪のなすりつけ
    夫人殺害の罪を大佐になすりつけるため、居間にあった煙草の吸殻、カフスボタンなどを夫人の部屋に移動します。死体発見現場で煙草の匂いがしなかったのは、吸殻のみ移動されたためです(動機を捏造するために、金も盗んだと考えられます)

動機

自殺した夫人は、昔、インドで妻子ある男性の子供を身ごもり、出産していました。その子供が亡くなった後、夫人はイギリスで下院議員との婚約に至りました。
幸せな生活を送るはずでしたが、そこに、少佐が現れ、過去の不倫と出産をネタに強請られることになります。

結末

全てを明らかにされたジェーン・ブレンダーリースは、ポワロに人を抹殺したいのかと問われ、悲痛な面持ちで「私にはできない」と答えます。

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感想と考察

左利きだと思ったら右利きっぽくて、右利きだと断定していたら実は左利きだったという頭が痛くなる感じです。右利きだと勘違いした理由、本当は左利きだった根拠などが入り乱れ、パズルになっています。さらに、自殺を他殺に偽装したのに、あえて、他殺を自殺に偽装したようにもみせるという、180度じゃなくて、360度回転して元通りみたいな偽装工作も登場。めまいがしそうです。

断固として歯医者に行かない名探偵(のちに歯医者へいくことになります)、カラーの糊付けに憤る名探偵、流行には決して乗らない名探偵、などなど、なんだか笑えてしまいます。

冒頭、大尉が『花火の音で銃声かどうかわからなくなる』という発言をしています。アメリカ(ポワロの舞台はイギリスですが)では、現代でも、花火と銃声を間違えて通報されるようです。花火と銃声などなど、音を誤魔化すトリックは結構みかけたりします。
下記の動画では、花火か銃かを当てるクイズのようなものが紹介されています。

銃や花火の種類によっては、聞き間違えることはない、と判断される場合もあります。

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この記事のまとめ

名探偵ポワロ「ミューズ街の殺人」のあらすじ、真相をご紹介しました。日本で初めて放送されたときの放送順は、このエピソードが第1話になっています。英国放送順の第3話は『ジョニー・ウェイバリー誘拐事件』です。

  • ミューズ街でアレン夫人の死体がみつかる。自殺のような状況だったが、利き手とは逆に握られた拳銃などから他殺だと考えられる
  • アレン夫人は自殺だった
  • 死体の第一発見者が、自殺の原因をつくった人物に復讐するため、自殺を他殺に偽装した
項目 内容
監督 エドワード・ベネット
Edward Bennett
脚本 クライブ・エクストン
Clive Exton
原作 アガサ・クリスティ
Agatha Christie
制作 LWT (現ITV)
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