エラリー・クイーン「九尾の猫(CAT OF MANY TAILS)」のあらすじ、ネタバレです。猫と呼ばれる連続殺人犯をエラリー・クイーンが追います。
あらすじ
ニューヨークで連続絞殺事件が発生。しかし、凶器の絹紐の他に手がかりはなく、被害者らの接点や共通点も明らかにならなかった。猫とよばれる殺人犯に、ニューヨーク市民は怯え、暴動も発生してしまう。捜査責任者のクイーン警視は息子のエラリイ・クイーンに協力を要請する。ある事件の失敗を引きずっていたエラリイだったが、市長からの要請に応えて、捜査に乗り出す。

©早川書房
真相(ネタバレ注意)
犯人はカザリス夫人です。カザリス夫人は精神に異常をきたし、「猫」として連続絞殺事件を起こしていました。夫人は二度も死産を経験しており、結果、子供が生めなくなってしまいました。これをきっかけに、当時産科医だった夫が他人の子供を誕生させることに対して、ねじ曲がった認識を抱くようになります。カザリス夫人は精神的に壊れていき、夫への責任転嫁や八つ当たりのため、夫が担当した子供たちを殺していきます。
夫のエドワード・カザリスは妻が「猫」であることに気付いていました。そして、妻をかばうために、絞殺事件の現行犯として逮捕されます。
カザリスは、妻の犯罪に責任を感じ、罰を受けるべきは自分だと思い込みます。神経症の再発もあいまって、カザリスは十番目の絞殺事件を起こします。
結末
エラリー・クイーンは真犯人がカザリス夫人であることに気付きますが、カザリスもその夫人も、毒を飲んで、死んでしまいます。
トリック
連続絞殺犯「猫」の犯行を解説します。犯行を偽装しようとしたのはカザリスであり、それは、自ら罪を被るというものでした。これは、共犯者になったといえます。
真犯人の夫人が犯行を隠蔽するため何かトリックを使ったというと、そうではないように思えます。
連続絞殺事件には、ある規則がありました。これらは、犯人を示すヒントになっていたようです。そして、捜査当初は見当たらなかった被害者の共通点も見つかります。
- 青とピンクの紐
青は男児、ピンクは女児を示していました。産婦人科の診療記録がこの色で、男女を区別していました。これは犯人を示す証拠になっていたようです - 年齢が下がる
診療記録の古い順番に、被害者を選んでいたため、年齢が下がっていました - 電話をもっている
被害者は電話をもっており、電話帳に登録されていました。これは、「猫」が電話帳で、標的の所在を調べていたためです - 未婚の女性
女性は、結婚して苗字が変わるため、電話帳から所在を調べることができません。
そのため、出生時から名前が変わっていない、未婚の女性が被害者になっていました
ABC理論
犯行動機を隠蔽するため、無関係な人物を殺して猟奇殺人にみせ、本当の動機をわかりにくくするというトリックです。同一人物による連続殺人であるようにみせるため、凶器を揃える、秘密のメッセージを残すなどの細工がなされます。作中、エラリーがこの理論を紹介していますが、猫の真相は猟奇殺人でした。
なお、アガサ・クリスティー「ABC殺人事件」に登場したため、ABC理論と名付けられています。
感想まとめ
感想は、ミステリーとサスペンス、パニックに陥るニューヨークの描写、意外なミッシングリンク、一気にわかる被害者の共通項、国名シリーズとはまた違う、などがよく書き込まれています。
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- ミステリーとサスペンス
ミステリー要素とサスペンス要素の混ざった作品だと感じている方がいらっしゃるようです - ミッシングリンク
被害者達をつなぐ何かを探すミッシングリンクもの、と呼ばれています
あっさりと犯人確保に成功したので、何だかサスペンス小説みたいだなぁ、なんて思ったら、その裏に真相がもう一つ隠されていた。
サスペンス調のミステリー。国名シリーズとはまた違った趣き。
パズラーの要素は薄いですが、ミッシングリンクの解読シーンでの端正な論理的考証など、十分にクイーンらしさを感じる場面もあります。
ミッシングリンクものとしては推理による謎解きの面白さという点では物足りないが、カザリスが被害者たちを繋ぐ輪として浮上する部分には興奮したし、女性の被害者がすべて未婚であることの理由には思わず膝を打った。
| レビュー数 | 文章数 | 異なり語数 |
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